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昔のゲーム実況の話

 15年ほど前にゲーム実況をしていたことがある。当時、YouTubeはこの世に登場したかどうかという頃である。ニコニコ動画もあったのかどうかはっきりしない。

 ではどうやってゲーム実況をしていたのかというと、有志が開発したP2Pの配信ソフトを使用して、配信者のIPアドレスに直接接続して、ゲームプレイを配信していたのだ。よく覚えていないが、ビットレートとしては数百 Kbps程度が主流だったのではないだろうか。ときどき1Mbpsなどの超高ビットレートで配信している人が現れたりして、視聴者を驚かせていたような時代だ。(ちなみに現在のYouTubeは数Mbps程度が主流)

 個人のIPアドレスに直接アクセスすることのリスクはさておき、当然配信者のIPアドレスなど誰にもわからない。そこで、巨大掲示板の該当スレッドに宣伝を書き込み、その上で配信を始めるようにするのが定番のやり方だった。

 YouTubeのように世界中に膨大なユーザーが存在するわけではないので、1人が配信を始めると、結構な人数が集まる。と言っても、ユーチューバーのライブ配信とはケタが違うが、数百人の視聴者が集まると、掲示板上ではかなり加熱した盛り上がりが見られた。

 しかし、1人のPCに数百人が接続すると当然重くなる。そこで、人気配信者の配信を中継し、ミラーリングでさらに配信する「鏡」と呼ばれるユーザーが登場する。規模が大きくなると、複数の「鏡」ユーザーが登場し、人気配信者の配信を支える。なんとも草の根的な実況風景が存在したのだ。

 僕もそういう実況をしていた一人で、主にホラーゲーム、特に『バイオハザード4』の実況が好きだった。普通にクリアするのはもちろん、ハンドガン縛りなどの特殊なゲームプレイも実況したりして、以外にバリエーションに富んだ(?)ことをしていた。当時の配信者や視聴者は、そのままツイッターなどのSNSが登場してもフォロー、フォロワー関係が続いている人もいる。

 これらのゲーム実況は、もちろん個人でやっているから、今のユーチューバーのようにお金になることもない。社会的にも知る人ぞ知るマイナーな存在であった。

 その後、ライブ的なゲーム実況は、国内においては主にニコニコ動画がその役割を担うようになる。僕はその頃にはゲーム実況をやらなくなっていたが、中には動画をライブ配信するサービスへ活躍の場所を移していた人もいたようだ。

 確実に、こういう人たちの動きがその後のYouTubeやTwitchでのゲーム実況につながっていくわけだが、他人のプレイを見て楽しむ。あるいは、自分の攻略の参考にする、という動きは当時から確実に存在していたのだなと思う。

 今や、ゲームのプレイ動画を見せる/見るという行動と、ゲームのプロモーションは切っても切れない関係にあり、派手な広告を打つよりも、プレイ動画を配信、アップロードしてもらう方が口コミでゲームの人気がアップする例もあるようだ。これから、ゲーム実況/配信はどのような動きを見せていくのか実に興味深い。

 そんなことを考えつつ、最近また細々とゲーム実況をしている。


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