見出し画像

VAN HALEN / VAN HALEN

 突然飛び込んできたエディ・ヴァン・ヘイレンの訃報に驚いた。もうそんな年齢だったのか? という思いだったが、癌で闘病中、65歳という若さで亡くなったということらしい。

 個人的にはアメリカン・ロックをそれほど聞く方ではないので、VAN HALENの音楽も、すごく詳しいというわけではない。それでも、初期の何枚かはすごく印象に残っていて、特に1stアルバムが衝撃的なサウンドだった。

 このアルバムでもっとも有名になった曲は"You Really Got Me"だろう。KINKSをカヴァーした1曲で、今ではVAN HALENのバージョンの方が有名なんじゃないかと思われるぐらいヒットした。他の曲ではテクニカルで変幻自在のフレージングが売りのエディのギターだが、この曲においては、あの印象的なリフをひたすら切れ味よく、かっこよく聞かせてくれる。デヴィッド・リー・ロスのヴォーカルも奔放で、思いのまま歌っているのに、しっかり曲にハマっているのが凄いと思わせる。

 ギターキッズに強烈なインパクトを与えたインスト曲"Eruption"は、もう言うまでもなくハードロックギター史に残る1曲だ。ライトハンド奏法によるタッピングが世に広まっていない頃、後半のフレーズはテープの早送りで実現しているという噂が広まったと言われるほどだ。邦題の"暗闇の爆撃"もなかなか秀逸であるが、原題の"Eruption"の方が、この曲のほとばしるエナジーをよく表していると思う。

 アルバムのオープニングを飾る"Runnin' with the Devil"も、ミドルテンポながらところどころにインパクトあるプレイが聞ける曲。冒頭からテクニカルなギタープレイを混じえながら、骨太のリフが展開する。そこに乗るデイヴのヴォーカルが、これまた自由にメロディを歌いながら、しっかりとバッキングにハマっていく様が素晴らしい。メロディアスなエディのソロは70年代とは思えないぐらいきらびやかなサウンドで、この当時にこういう音作りをしていたのはすごい。

 そして、なんと言っても"Ain't Talkin' 'Bout Love"がこのアルバムの白眉だ。親しみやすいキャッチーなリフで展開していくどこか寂しげな曲調。そしてそれに合わせて徐々に盛り上がっていくデイヴ・リー・ロスヴォーカル。すごく単純な構成の曲なのに、歌メロの非凡さと、随所にオカズを入れてくるエディのギターが本当にすごい。ワンパターンのリフをこれだけリフレインしながら、こんなに盛り上がる曲はなかなか無い。

 ちょっと書ききれないが、他にもいい曲が目白押しのVAN HALENの1stアルバム。デビューアルバムにしてこのクォリティは驚きだ。プロデューサーのテッド・テンプルマンの功績も大きいのだろう。

 VAN HALEN自体は、あまり聞いてこなかったバンドであるが、そんな僕の記憶にもしっかりと残っている辺り、彼らの、いやエディの凄さが感じられる。とか言って、1stアルバムはしっかりLPもCDも持っていたりする。なんだかんだ言って、かっこいいサウンドなのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?