見出し画像

邪教の子 / 澤村 伊智

 ホラーオリエンテッドな新進気鋭の作家、澤村伊智の最新作。早く読みたくてうずうずしていた。

 純粋なホラーかと言えば、むしろ新興宗教を題材にしたリアルな怖さを描いた作品。そういう意味では、ホラーよりももっと身近に存在しそうなぞっとする恐怖を描いている。

 帯に書かれている通り、新興宗教から少女を救い出す話が語られるストーリーが語られる。しかし、展開が早い! 展開が早いから一気に読み進めてしまうのだが、話は徐々に驚愕の展開を見せる。

 もう、全然具体的なことを書いていないのはわかっているが、ネタバレを考慮するとこんなことしか書けない。しかし、過去の澤村伊智作品とはまた違った怖さの物語であることは間違いない。

 特に、新興宗教という言葉から来る怖さ。我々の抱くイメージからさらに数段ブーストしたような恐怖が描かれる本書は、すべてのホラーファン、いや、ホラーファンならずとも一読してほしいセンセーショナルな内容だ。

 初期の本当にホラー然とした小説を書いていた澤村伊智とはまた別の角度が見えてきた今作。今後の作者の新展開が楽しみになる一冊であった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?