【映画】クリストファー・ノーラン監督作の体験
ノーラン監督の映画についても語っておきましょう。
以下、未見が❌で鑑賞済みは⭕️です。
『バットマン ビギンズ』『インセプション』『インターステラー』は配信かBDで鑑賞。
あとは劇場で観ています。
❌フォロウィング
❌メメント
❌インソムニア
⭕️バットマン ビギンズ
❌プレステージ
⭕️ダークナイト
⭕️インセプション
❌ダークナイト ライジング
⭕️インターステラー
⭕️ダンケルク
⭕️TENET テネット
⭕️オッペンハイマー
この中で、単純に面白くないなと思ったのは『バットマン ビギンズ』。
マジメなだけという感じがしました。
『ダークナイト』を公開時に劇場で観てものすごく面白かったのですが、それよりだいぶ後になって『ビギンズ』を配信で観たのでそれもあるかも。
バットマンにおけるジョーカーの重要性を強く感じた次第です。
私が強く名作だと感じたのは『インターステラー』で、宇宙ものSFでありSFでなければありえない物語、特に映像化しづらいコンセプトにチャレンジしたのは素晴らしいと思いました。
『2001年宇宙の旅』を目指した映画は多くありますが、『インターステラー』はその中で出色の作品です。
一方、『インセプション』は、映画として面白くはあったけど、SF映画としてダメだと思いました。
他人の夢を探索するという古典的な題材ですが、それにもかかわらずシュールレアリスティックな光景などはあまりないのは完全に欠点でしょう。
前半に出てくる、街がせりあがる、後に『ドクター・ストレンジ』で拡大されたイメージは良かったです。
しかし、夢の中で夢を見てさらにその中の夢……という話だったら、最深部ではよほど現実離れした異常なイメージを期待するじゃないですか。
それが、何か雪山の中の砦みたいな、妙に現実的な世界でリアルなバトルを繰り広げるって、こりゃいくらなんでもイマジネーション不足にもほどがあると思いました。
夢の中という設定だからと現実離れした映像を出す安直さを避けたいというなら、なんでそんな設定の映画作ったのというぐらい、意味がないと思いました。
ただ、すごいカーチェイスを繰り広げているのに運転手以外は全員ぐっすり寝ているとか、少し間抜けさもある面白さはあって、ちょっとバカ映画的テイストがのぞくのは、ノーランの美点であること間違いないです。
この『インセプション』の評価と対極で、一貫性があるんだかないんだか自分でもよくわかりませんが『TENET テネット』はすごく良かったと思うんですよ。
フィルムを逆回しすれば、映画の中での時間は逆転します。
これはもっともプリミティブで古典的な、映画というメディアの面白さであって、それが実現する世界というアイディアのみで3時間近く大騒ぎする映画って、最高だと思うんですよね。
これはSFアイディアと映像手法のマッチングという点で、極めて優れたSF映画と言ってよいと思います。
戦争ものの『ダンケルク』は、十分に出来が良くて面白く、しかも尺が短いといった良いところも多いですが、思い返すとちょっと印象が薄くなってます。
戦争映画はどうしても、刺激の強いスゴい作品がたくさんあるので、ノーランの上品さが裏目に出てるのかもしれません。
最初に主人公の一人がズボンを下ろして排泄しようとして、それができず戦闘に巻き込まれてしまう出だしなので、もう少しトイレにフォーカスしたら良かったかも。
あの出だし、良かったと思うんですよね。
戦争という時間を感じやすい仕掛けだと思います。
これらの作品で、劇中で可変する時間の流れ、そうしたコンセプトを映像化するというテーマに一貫してこだわってきたノーランが、ナノセカンド単位で変化する核分裂という現象が発端となる『オッペンハイマー』を作ったのもよくわかります。
見えない現象を視覚化する努力も、あえていえばキューブリックのやってきたことへのチャレンジでもあるし、それが最大限の効果をあげているという点で、ノーランの現時点の最高傑作が『オッペンハイマー』であると思います。
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