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【映画】ゴジラ×コング 新たなる帝国

字幕上映が減っていて、吹替で鑑賞。
他に観るべき映画はあるのではと思ったりもしましたが、モンスターバースシリーズは結果的にコンプリート気味なのと、SF系作品で上映中だったのはこれ以外は猿の惑星キングダムぐらいでそっちのシリーズは全然観ていないので、本作をおさえておくことにしました。

GODZILLA ゴジラ
キングコング:髑髏島の巨神
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
ゴジラvsコング

上記では、2015年のギャレス・エドワーズ版『GODZILLA ゴジラ』だけ配信で観てて、あとはすべて子供の希望で劇場公開時に観ていたのでした。
正直、上から順にだんだん興味が低下していったのですが、Apple TV+で『モナーク: レガシー・オブ・モンスターズ』も全部観ていて、未見なのはアニメ『髑髏島』ぐらいと、そこそこの怪獣映画好きよりおさえてる状態でした。

怪獣ものとしてよくできている1作目、なぜか怪獣版『地獄の黙示録』を狙った『髑髏島の巨神』までは良かったんですが、そのあとは……
「怪獣同士が戦うのってそんなに面白いかな」ってなってしまうのでした。
Apple TV+のドラマは、なんとかSF的に拡張しようという試みと、日本描写のマトモさなどで、まあまあ面白くて少し興味が回復した感じです。
しかし「ペルシダー世界」(と劇中では言われないけど、SF的には言わずと知れたそれ)という飛び道具に白けつつも、そのぐらいの飛び道具がないと世界観の裏付けができないから仕方ないね、となんとか自分を納得させたりしてきました。
子供たちも、もう観に行きたがりません。

というわけで以下ネタバレかもしれませんが正直それでも支障はないと思われる感想……

今回の映画は、バカ映画路線を順調に歩み、過去もっともバカさが前面に出ておりそれが好感を抱かせるという方向になっていました。
昭和時代のゴジラシリーズ末期の「ラドンもそうだそうだと言っています」のノリが超豪華VFXで描かれます。
昭和ゴジラのザ・ピーナッツ、平成ガメラの藤谷文子に相当する少女、ジア(カイリー・ホットル)が聴覚障害を持っているのは映画的に何か意味あるのかなと思ったのですが、健常者だと過去のそれらキャラクターと差別化が難しかったんじゃないかと想像されます(もちろん、テレパシー種族出身という設定が主ですが)。

また、基本的に世界をまたにかける壮大さを背景に、少なめの登場人物でシンプルなドラマを展開しており、そこで無理して厚みを出そうとがんばらないところは良かったような気がします。
血のつながりのない親子の愛、みなしごの居場所、というテーマを人間とコングで同時に語り、とくべつ深みはないのですが演技も良好でファミリー映画として悪くないです。
明るくて軽い獣医師のトラッパーは、脚本の都合のために生まれてきた感、ロック系音楽の非常にカッコ悪い使い方などでB級感を爆上げしてくれてますが、物語に深く関与しないのがエライ。
達者な声優陣の中でひとり、なんじゃこりゃという芝居でイラッとさせてくれる操縦士。
この人だけ芸人さんが演っていたようですがその演技もある意味役柄にマッチしており、すばらしい退場ぶりを見せてくれて、何というか観やすい映画です。

怪獣関連は、ゴジラは出番は多いけど添え物っぽかったかな。
一方コングとその同族たちの抗争は、人間のそれとあまり変わらないので映画にしやすいんでしょう。
セリフはないですがパントマイムでストーリーを語ってます。
序盤の、「怪獣がいる世界」の描写の数々は、私としては結構好きだったのですが、クライマックスはいつものように都市破壊しつつ怪獣バトルで悪いやつを倒して完了。
もうひと騒動あるかなと思いましたが、そこも潔くハッピーエンドです。
ラストシーンの怪獣そろいぶみに「かわいい奴らだな」とウフッと微笑んだら、そこでエンド。
この終わり方で、何かいろんなことを許してあげたくなります。
期待以上でも以下でもないところが素晴らしい。

このようなタイプの映画をどう評価するか考えたのですが、バカ映画としての魅力を追求してある程度成功したのは良かったと思いますが、企画のあり方については否定的な意見を述べておきましょう。
そもそもの欠点、身もふたもないことを言えば、有名キャラクターの使い回しであることは本来それだけで減点対象でも良いんじゃないかと思いました。
新怪獣シーモも、アンギラス風だけど結果はデカいポケモンといったデザイン、シーモだけに霜を降らせる氷結怪獣という設定が大して活かされない使われ方、何かイマイチでした。
本来こういう映画は、新しい怪獣を考えたから見てー! というものであるべきなんじゃないか。
その意味では2018年の『ランペイジ 巨獣大乱闘』なんか、斬新とは言わないが新しい怪獣を作ることにチャレンジしていて、ドウェイン・ジョンソンの魅力もあって面白い映画になっていたと思うんですよね。

世界中で集客できる映画を作る、またそのための資金を集めるって本当に大変だと思うので、ないものねだりかもしれませんが、新しさへのチャレンジは続けて欲しいものです。

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