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あかいりんご⑥|大人のおとぎ話|

皆様こんにちは。身体の不都合からお休みを頂いていましたが
やっとnoteに戻ってまいりました。
その再スタートは止まっていた、りんごのお話の続きです。

赤いリンゴを亀から引き継いで預かってきた
キツネくん。
妖精王の騎士のツェルンに話しかけられ
一緒にお城に入ってきたところから、お話が続きます。

ストーリー・文:光川てる
絵・まとめ:keigoM


妖精のお城なのでさほど大きくはありませんが立派なお城です。
広いサロンで待っていると、妖精騎士と一緒に
一際長い羽を持った妖精が入って来ました。
美しく精悍な顔立ちの妖精です。

🤦‍♂️「待たせてすまない。早速だがこちらへ来てもらえるか。」

きつねはソファーに座ったまま言いました。

🤘「ゴメン、あんた誰?」

美しい妖精は驚いたように目を丸くしました。

👨‍🔧「無礼な!この方はっ!」

妖精騎士が言いかけると、美しい妖精が手で止めました。

🤦‍♂️「いやスマン。気が急いてしまった。我はこの国の王太子、ルサファ。
   そっちの血気盛んなのが、騎士隊長のクラウドだ。」

🤘「妖精の王子さまか。俺はきつねのシルバーだ。」

きつねは軽く頭を下げました。
王子さまは小さく頷くと言いました。

🤦‍♂️「まずはこちらに。むらさきのりんごの木をお見せしたい。」

さぁ、いよいよ紫のりんごに会えることになりました。

王子はきつねを中庭に連れていきました。

中庭の真ん中に青いりんごがいくつかなった木が1本ありました。

🤘「なんだ。むらさきじゃないじゃないか。」

王子はふっと微笑むと言いました。

きつねは驚いて、りんごと王子を忙しく見比べています。
🤦‍♂️『紫のりんごは自分の対になる赤いりんごを求めるのだ。』
🤘『対になる?』
🤦‍♂️『うむ。紫のりんごは自身の赤いりんごに出会わなければ
  色付かないのだ。運命の相手を待っている。』
🤘『へぇー』
きつねはじっとりんごを見つめました。
🤦‍♂️『・・我も運命の姫に会いたいのだ。』

🤘『運命の姫?』


 王子は数年前、世界を知るために、ある国に留学していました。
その国の姫は、美しい声で歌う姫でした。
歌声だけではありません。
鈴を転がすような声でおしゃべりをして
その笑顔は輝く太陽のようでした。
その国のお城に滞在している間、王子と姫はたくさんの話をしました。
王子は姫に惹かれていましたが
じきに王子は自分の国に帰らねばなりません。
自分の想いを告げぬまま、渡り鳥の背に乗って王子は帰国しました。

🤦‍♂️『紫のりんごが自分の赤いりんごを求めるように、
       我もあの姫に会いたいのだ。』
🤘『美しい歌声の姫?』
🤦‍♂️『そう。名をマレーナと言う。』
🤘『じゃあ、この赤いりんごが帰る場所の・・・』
🤦‍♂️『そうなのだ。
 この赤いりんごと紫のりんごを我に届けさせてくれないか。』

🤘『うん!あんたを信用する。
  きっとりんごはあんたに運んで欲しいと思ってる。・・と、思う。』

きつねはりんごを王子に渡しました。

王子は急いで旅支度をすると、いつかの渡り鳥の背に乗って飛び立ちます。
美しい姫のいるあの国へ。


さぁ、次回は最終回になるはず。
マレーナ姫は夢から目覚められるのでしょうか。

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