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こんばんは?こんばんわ?~あいさつ

先週、のぼる師匠よりテーマを頂戴し、すいません?すみません?〜音便を書いたところ、さらにテーマを頂きました。
それが、こちらです。

さすが、師匠だけあって、スパルタですW

私も師匠と仰ぐ身ですから、へこたれるわけにはいきません。
ご期待に沿えるよう、今回も頑張ってまいります。

「こんばんは」とは何か

いやいや、あいさつに決まってますよね、という返事が聞こえてきそうですが、このあいさつという文化は明治時代に西洋諸国に負けじと国が作った文化です。

それより前の日本にあいさつという文化はありませんでした。

私は教養がないので、読んだことがありませんが、古事記や源氏物語にあいさつはないはずです。イザナギとイザナミがお互いに「こんばんは」とあいさつをしているシーンや、光源氏が紫の上に向かって「こんばんは」とあいさつをしているシーンがあったら、こっそり教えてください。

落語などで人が出会うとき、どんなやりとりをしているでしょう。
「①おう、②はっつぁん、③今日は早いね」
「①あぁ、②旦那さん、③今日は散歩ですか」
こんなやり取りではないでしょうか。

つまり、①相手に気づき、②相手が誰かを認識し、③ひと言話す、という一連の流れを行っていたわけです。

したがって、もしよそ者がうろうろしていたなら、
おい、あんた誰だい
ということになり、現代のように、相手の顔も名前も知らないけれど、会社の廊下ですれ違ったからあいさつしておこう、とはならなかったはずです。

この①②③の流れでは、人によってまた状況によって言うことが違うので、決まったあいさつにはなり得ません。
国が目指したのは、西洋諸国です。要するに「Good morning」「Hello」「Good night」に該当する言葉が欲しかったのです。

そこで、「Good morning」には③の「早いね」が採用され「おはようございます」となりました。
Hello」は③の「今日は」が採用され「こんにちは」となりました。
Good night」には③部分が「今晩は遅いじゃないか」などとなるため、「今晩は(こんばんは)」が採用されました。

これが、「こんばんは」です。

なぜ「こんばんわ」と表記されることが増えたのか

本来は、「今晩は月がきれいですね」とか「今晩は大変だったね」などと文章になるはずの前半だけを切り取って後半を省略しているのがあいさつです。
しかし、既に「今晩」という漢字の意味も薄れ、後半部分を省略している意識もなくなれば、「は」という助詞である必要性があるでしょうか。

ただの音になってしまえば「こんばんわ」という表記でも一向構わないはずです。そして実際にそのように考えるというか、そのようにしか教わっていない世代にとっては、「こんばんわ」のほうが自然に感じられるかもしれません。

それでも「こんばんは」と表記する

親しみをこめて、あえてフランクに「こんばんわ」と表記するなどであれば構いません。
しかし、あまりよく知らない人や、ビジネス上での付き合いであれば、「こんばんは」を使いましょう。

「夜分に失礼いたします。」など、「こんばんは」以外の言い方もあります。適切かどうかは状況に応じて判断が必要です。

なぜ、それでも「は」が正しいと私が主張するのか。
それは、単純に、令和3年3月12日の『新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)』という文化庁のホームページに掲載されている文書の中で、「こんばんは」こそ書かれてはいませんが、「こんにち」と「は」を使うことが示されているからです。(13ページ)

十年後、二十年後には”「は」の持つ意味が薄れ、実際の音声と異なるから”などとして「こんばんわ」という表記が国のホームページで推奨されているかもしれませんが、今のところは「こんばんは」をお使いください

以上、「こんばんわ」と書いてくる方にご納得いただけそうでしょうか。
それでは、また。

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