見出し画像

すいません?すみません?〜音便

先日の記事、コールセンター小ネタ集の中で、”コールセンターで「すいません」と言うと全員が見る”話を書いたところ、のぼる師匠から、今回のテーマについてリクエストを頂きました。
それが、こちらです。

「すみません」と「すいません」

「すみません」のミがイに変化しています。
すると本来は「済みません」という言葉のはずが「吸いません」と聞こえてしまいます。

これは、発音しづらい言葉が言いやすい音に変化する音便という現象で、この場合、イに変化しているので、イ音便といいます。

英語でいうところのan appleのように、母音の前の「a」が「an」になるのも音便かなぁと想像するのですが、英語に詳しい方、いかがでしょう?

イ音便の例

ただし、「すイません」は、正しいイ音便の使い方とは言えません。
「すいません」は「すみません」のくだけた言い方です。
次の言葉と見比べてください。

例えば、「月を跨いで計算する」。
イ音便を使わなければ、「月を跨て計算する」、です。
「かゆい所に手が届く」は、「かゆ所に手が届く」。

さあ皆さん、正しく「跨ギて」「かゆキ」と言いましょう。
👆こんなことを言う人は、あなたの周りにいませんよね。
「跨いで」「かゆい」などは、イ音便の正しい使われ方です。

正しい言葉は「すみません」

もととなる動詞は「済む」ですから、正しい言葉としては「すみません」です。

では、いついかなる場面も「すみません」を使うべきかと問われたら、そうとも言えません。
「すみません」では堅すぎて場に適さず、「すいません」のほうが合うという場合もあるからです。

正しい言葉遣いが良いとは限らない

この「すイません」のように、文法的に正しいとはいえないが、実際には使われる音便はほかにもあります。

例えば、毎日顔を突き合わせる上司に「ちょっと、これお願い」と言われて、こんなふうに答える部下がいるかもしれません。

「あ、すイませんイ音便。今からお昼なン撥音便です。お昼終わった後でもいいッす拗音便か。」

「いいっすか」は、くだけすぎですが、
すみません。今からお昼なのです。」も堅苦しすぎて不自然ですよね。

相手との関係性や話題によっては、崩すということも必要です。

そして、もう一つお伝えしておきたいことがあります。

「すみません」はビジネスでは使わない

ビジネスとは言っても、ちょっと冗談を言い合えるような社内の会話であれば、「すいません」「すみません」で構いません。

メールなどの文章や、取引先のような社外の人との会話においては、「すみません(すいません)」を使うこと自体をお勧めしません。

なぜなら、「すみません(すいません)」は、以下のような複数の意味で用いられるからです。
あのー、すみません、えっとー」(言い淀み)
遅刻してすみませんでした」(謝罪)
すみません、あの件ってどうなりました?」(声掛け)

私は、このように使う側から見れば便利な言葉を「ジョーカー言葉」と勝手に名付けています。使われる側から見れば、玉虫色でどのような意味に取るかを丸投げされている、無責任な言葉づかいです。

ビジネスの場では、誤解なく明確に意味を伝えることが求められますから、曖昧な言葉は避けましょう。
なんと申しましょうか」「うまくご説明できるか心もとないのですが」(言い淀み)
申し訳ございませんでした」(謝罪)
今、ご質問してもよろしいでしょうか」(声掛け)

自分の伝えたいことを相手にくみ取ってもらうのではなく、自分が責任をもって言葉にして相手に伝えることが大切です。

以上、ご回答になったでしょうか。
それでは、また。

P.S. 師匠、音便なだけに、穏便に済まそうなんて考えないでくださいね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どの講座を受けたらいいか分からない!一個だけ質問したい!
30分間だけ、敬語と電話応対のことなら何でもご相談に乗ります。初めての方限定で1,000円です。


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。