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幸せの定義『言語化力』~読書感想文#25

多分、著者がこの本を出した意図とは異なると思うが、自分を振り返ることになった。

どんな本か、要約を読みたい方は以下のサイトへ。

人生の振り返り(この本についてのみ知りたい人は飛ばしてください)

思考を言語化するプロセスとして、三浦はこう書いている。

0:スタンスを決める
1:本質をつかむ
2:感情を見つめる
3:言葉を整える
(p.64~65)

しかし、自分の人生を振り返ったとき、私にとって大変だったのは、0だ。

「私はこうしたい」「私はこう思う」と小さい頃から堂々と言える人もいる。そういう人は、きっと周囲の人から自分の意見や感情や、存在そのものを尊重されて育ったのだと思う。

私は残念ながらそういう環境では育てられなかった。
その結果、自分の見たものは思い込みで、自分が感じたことは狂っていて、自分の意見は間違っていて、自分のやることなすこと全ては他人にとっての迷惑であると体に叩き込まれた。そんな人間がどうやって人並みの生活を送れるだろう。おかげで、私は今こうやって平和にnoteを書いているのが奇跡と思えるような人生を歩んできた。

そんな私のスタートは2だ。
ひたすら自分の感情を見つめ続け、自分の本心を探し続けた。

人間は自分の心を鏡にして物事を見る。その鏡に落書きがされていたり、布で覆われていては物事を映すことができない。見ているものは物事のつもりで、実は人の書いた落書きや人の掛けた布だ。何重にも汚された自分の鏡を磨くのに50年かかった。(1)

そして、noteに書き続ける中で自分のスタンスが見えてきた。(0)
※庵忠さまの記事が私のスタンスの生まれ出る場所を用意してくれたような気がする(ありがとうございます。)
※ながた様とつながるまで、私はnoteの意味をブログの延長ぐらいにしか分かっていなかった。人付き合いの苦手な私を見つけ出しnoteの価値を教えてくれた(ありがとうございます。)
※私にスキしてくれた人、コメントくれた人、読んでくれた人が私をnoteにいさせてくれた(ありがとうございます。)

その他、2,1の段階でもとてもとても多くの人の力を借りてここまで来た。感謝は尽きない。

さて、重い話はここまで。

この本は人生を振り返る本ではありません。
これからの人生を良いものにするための本です。
参考になりそうなことをメモしておきましょう。

本質をつかむ

著者は本質をつかむ手順をこう説明しています。

・固有名詞を省いて
・時系列も無視して
・行為と現象と関係性だけを抜き出す(P.69)

これは私の人生に個人的に役立つだけでなく、仕事上でも役に立ちます。
これができないと、マニュアルやFAQが分かりやすくなりません。
こういう人を上司に持っていると、指示を受けた側も、それが今回に限る指示なのか、いつもそうなのか、どこまで一般化していいのか分からず困ることになります。

私が長らくいたコールセンター業界で言えば、電話応対でクレームを呼び込みやすい人も「この客が特別だった」で終わらせてしまう人が多いです。本質を抽出できないので、経験を役に立てられないんです。

「印象に残る言葉」をいかに生み出すか

私の苦手なところです。

①視点を上げる
②領域を広げて、一般化して考える
③よく言われていること→逆張り
④ゴールから逆算(p.143)

①は、自分の不満を上司の視点で考えてみるなどですが、例えば以下のような視点の変化ではあまり建設的にはなりません。

部下:会社に行きたくない
アンチテーゼ上司:行きたくないとは何事だ!

そうではなくて、止揚(アウフヘーベン)するんですよね。

アウフヘーベン上司:この会社は行きたいと思われる場所になっていない

ただ、これ、自分一人が行きたくないときにやったら逆パワハラだと思いますけどね。

②これも、①と同じで、「私は会社に行きたくない」だと個人の問題ですが、「通勤で1日の労力の30%が消費される」なら一般化することができます。

これも、自分に都合のいい一般化を恣意的に持ってくるのは控えたほうがいいですよね。

③著者は「SNSは世界を狭くする」という例を使い、本当に伝えたいこと伝えるためには「なぜ?」と思わせてからのほうが「実際には知り合いや興味のある人とだけつながっているので」というメッセージが伝わりやすいと教えています。

④は、相手が言葉として求めているものではなく、それによって本当に欲しいものは何かを考えようという提案です。

これもコールセンター時代の経験からすると納得です。
「あの従業員を辞めさせろ!」「慰謝料を払え!」
こんな言葉に従ったとしても、おそらく言った本人の傷は癒えません。
「不良品を交換してほしい」というオーダーならそのまま受ければいいのですが、できない要望なら、双方が妥協できるところを探すために、まずは適切なゴールを探すことが大切です。

その他にも、「情緒はデジタルで表現する(p.171)」として「マイナス100度の太陽みたいに」というサザンオールスターズの歌詞を挙げていました。
これは、ちょっと覚えておくと使えるかもしれませんね。

「一番になれる場所」(p.172)

「これの存在価値はなんだ?」「人に誇れるところはなんだ?」ということをしっかりと考え抜くということだと思います。

ただ、↓こんなキャッチコピー↓を見たらげんなりしません?

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今までのもそうなんですけど、安易に形だけ真似た言葉は暴力的だったり陳腐だったりしますね。

著者はこんなことも言っています。

言葉に対してセンシティブであること。(p.203)

これ、私がよく言っていたことでもあります。なので、同じことを言ってくれている人がいて、これを読んだときちょっとうれしかった。

大雑把で便利な言葉を見つけてしまうと、そこで思考を止めてしまう。(p.98)
まずは一度、相手に対する想像力を働かせてから行動する。想像力のない言葉を使うことは下品なだけではなく、相手を傷つけることにもなってしまう。(p.205)
言葉を信じること。そして同じくらい言葉に怯えることである。(p.206太字著者)

3:言葉を整えるの中では以下を述べていますが、それもこういう前提があるからなんですね。

・言い方を丁寧にする
 「相手のせい」→「相手にも責任がある」
・ネガティブをポジティブに言い換える
 「もう1つしかない」→「最後の1つになった」
・自分の責任にする
 「電車が事故で遅れた」→「事故で遅れる電車に乗ってしまった」
・可能性を残す
 「ゲームは一方的に終了」→「今回のゲームはあっという間に終わってしまった」(p.80)

幸せの定義

現代において幸せになるには、誰もが自分なりの幸せを「言葉」で定義しておく必要がある。(p.230)

この本を、文がうまくなりたい、と思って手に取った人は、なんでこんな話が出てくるの?とちょっとびっくりするかもしれません。

私は一昨日の記事で「周囲に影響されない核を作ること」と定義した直後にこの本を読んだので、何か運命的なものを感じてしまいました。

素敵な言葉たち

この後も、素敵な言葉があったので、自分へのプレゼントに書き残しておきたいと思います。

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉にに気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。
      ーーーーマザー・テレサ(p.238)
すべての経験は未来にとって必要な素材でしかないのだ。(p.246)

また、著者は

人生の目的を言葉にせよ(p.254)

と言い、自分の人生の目的を

ちょっと恥ずかしいが、この際だから書いてしまおう。
「人類にとって、最も大きな問いを解く人間になりたい」(p.255)

と書いています。

この記事をたまたま読んだ人には全くもって不要な情報ですが、私の人生の目的も”この際だから書いてしまおう”と思います。

この世から全ての虐待をなくしたい
どんな人に対しても虐待する人間はいない。虐待者は常に虐待できる弱者を探している。虐待してもバレない場所を探している。
虐待者から逃げるためにはまず自分を養えなければならない。だから、敬語を使って、まず職場が虐待の場とならないようにしたい。敬語の考え方を知り、相手が自分に敬意を払っているか、それとも心を操作するために自尊心をくすぐっているだけなのかを見分けてほしい。自分に敬意を払わない人に対しては敬語で心理的な壁を作り、自分を守ってほしい。
そして、人を信じ、自分を信じてほしい。

あとがき

最後まで読み終わり、あとがきを見るとこう書いてありました。

もしかしたら、もう気づいているかもしれないが、この本はあなたのために書かれた。(p.279)

やられた!

自分を振り返ることになったのは、著者の思うつぼだった!



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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。