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「クレームにならない対応をしたい」は目標にならない

電話応対に苦手意識を持つ人が、私のレッスンを受けてくださることがあります。そんなとき、私は「電話に出る目的は何ですか?」「電話であなたが伝えたいことは何ですか?」とお聞きします。

すると、たいがいの人は戸惑いつつも「えっと、商品説明をすることです」とか「注文を受けることです」などと答えます。そこで、「そうではなく、商品説明を通して(注文を受けることを通して)、何を分かってもらいたいですか?相手にどう感じてもらいたいですか?」と重ねて聞きます。そして、「相手に安心してもらいたい」「自社を信頼してもらいたい」という目的が出てきてから、スキルのチェックに入ります。
それは、「一般的に好ましいとされるスキル」はあっても「あなたに必要なスキル」は人それぞれで、それはその人の目的と現状のスキルの差によってあぶりだされるものだからです。

しかし中には、「クレームにならないようにしたい」「お前じゃ話にならんと言われないようにしたい」と「○○ないようにしたい」と否定形で答える人がいます。これでは向上ができないとは言いませんが非常に難しくなります。

クレームを言うかどうか、「お前じゃ話にならん」と言うかどうかを最終的に決めるのは入電者です。「クレームにならないようにしたい」なら、自分の対応を一点の隙もないほど完璧にしなければなりません。しかも受電応対は、相手が話し始めるまでを何を聞かれるかも分からず、相手がどんな対応を良しと思っているかも分からないのですから、到底人間にできることではありません。絶対にできないのですから、突き詰めるなら「電話に出ない」が最も確実な方法です。しかし、電話に出たくない(=あなたの対応をしたくない)人の対応は、もっともクレームになりやすいものです。
つまり、この「否定形の目的」は、目的ではなく嫌だと言っているだけなのです。

なので、私は時間の半分をかけてでも、この目的を聞き出します。もしくはこの人の中から導き出します。クレームを言わせないよう入電者を操作することができないように、私が思う目的を本当の意味で受け入れさせることはできず、頭だけで納得されてもその人の心や体は先に進めないからです。

あなたの会社は、電話応対を通して、何をお客さまに伝えたいと思っていますか?
それをあなたは自分の目標にできていますか?

それでは、また。

ミニチュア・クリエーター 工房てるとさんから頂戴した花瓶を仏様の足元に置いてみました。クレームの話は気が重くなるかもしれないので、この写真を見て癒されてください(笑)

今日も平安な心でいられますように


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。