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コールセンターの基本・滑舌と敬語

とりあえず、今回は最初なので、私が個人的にコールセンターの基本だと思っていることを述べてみます。

電話で対応する、声だけで対応する、ということを考えれば、まず“滑舌”。
日本語を使ってお客様に対応する、ということを考えれば、次に“敬語”。

この2点は、何を扱っているかに関わらず、絶対必要な基本だと思っています。

スポーツの“基礎練”のように、毎回練習すべきことじゃないかなぁと。敬語は身につければ終わっていいかもしれないけど、少なくとも“滑舌”はね。

でも、私が体験したセンターでは、“滑舌”や“敬語”の訓練をしているところはありませんでした。両者の重要性について説明したり、このようにすべきという解説はあっても、訓練はありませんでした。

滑舌は訓練すれば必ず向上します。舌や歯に問題がある人もいて、構造的に聞き取りづらい話し方になってしまう場合もありますが、訓練によって向上は望めるはずです。(そのような場合には、スピードや間、聞き取りやすい言葉の選択なども同時に利用すれば、なお聞き取りやすくできるはず。)毎日5分でもやればいいのに、と個人的には思います。

一方、敬語については「気持ちが通じることが大切なので、敬語が間違っていることで相手を怒らせた場合には直せばいい」とか、「敬語が正しい正しくないということにこだわるとコミュニケーションの本質を見誤る」、という風潮が強くなってきたように感じます。(つまり文法を軽視する)

でも、正しい敬語を使えない人が、「敬語が間違っていることで相手を怒らせた場合に」直せるとは思えないし、敬語(=正しい日本語)が使えるということは、電話に出るための前提条件なので、そこに気を取られてコミュニケーションが疎かになること自体、訓練が必要な証拠にしかならない。(例えば算数がよく分からないから消費税を間違えて案内する人を電話に出せませんよね)

本来は会社に入る時点で身についていなければいけないことかもしれないけれど、今の日本でそれを求めても無理なのも自明。家庭でも「お父さまがお呼びですよ。」「すぐ参りますわ。お母さま。」なんて会話はあまり交わされないんじゃないでしょうか。学校でもせいぜい丁寧語、ヘタすればタメ口。敬語を使ったことがないまま大人になった人間が、会社に入ったからといって魔法のように敬語が使えるわけがない。

敬語は日本語とはいえ、いままで使ったことがない言語ですから、外国語と割り切って従業員の体に染みこむまでコールセンターが訓練させるしかないと思います。そしてなんとか「お~させていただく」「お~していただく」を正しい敬語だと思っている現状から脱却してもらいたいなぁと思っているのです。

ではまた。


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。