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「白酒を召す」の「召す」とは

今日はひな祭りですね。
お雛様を飾る家庭もあるかもしれません。
せっかくなので、ひな祭りにちなんだ敬語をと思い、童謡「うれしいひなまつり」から「めされる」を取り上げます。
※歌詞全文は下記よりご覧ください

「すこししろざけめされたか あかいおかおのうだいじん」

誰もが耳にしたことのある歌ですが、この「召す」という言葉が、この文脈では「飲む」という意味で使われています。

でも、普段もっともよく耳にするのは「召し上がる」という使い方ではないでしょうか。こうなると、「食べる」という意味です。他にも、「お召し物」と言えば「着る物」のことですから、この場合の「召す」は「着る」ですし、お風邪も「召す」と言います。お殿様ならお小姓だって「召し」ますし、なんなら「天に召される」ことだってあります。

このように見ると、敬語は上下関係や人間関係の距離感を明確に表す一方で、何をしているのか、その内容自体は曖昧に表します。
暴かずに曖昧にしておくことが、敬意の一つの側面なのです。

それでは、また。

世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。