『ゴリラからの警告』人間はゴリラなのか、チンパンジーなのか、それともサルなのか~読書感想文#34
「カズレーザーと学ぶ。」という日本テレビの番組をご存知でしょうか。
さて、この番組で、元京都大学総長、総合地球環境学研究所 所長・山極壽一先生のお話がありました。
日テレのまとめサイトから引用します。
これが私には結構衝撃でした。
家族が右翼なら、共同体は左翼、
家族が情なら、共同体はビジネス、
とも言い換えられるんじゃないかと思ったんです。
それを両立するという無理難題が人間社会が抱える根本的な問題であり、
だから、「こっちが正しいんだぁ~!」と声を張り上げる極端な思想が生まれるのかぁ、、、と。
そして、そんな両立が難しいことを両方やると決めたのが人間なんだなぁと。
こりゃぁ、大変だぁ…。
では、この本から気になったフレーズを拾い出してみましょう。
『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』山極寿一
矛盾する二つの原理
「群れない」の在り方
一方で、京都大学には「京大生は群れない」という学風があるらしい。
群れないとは言っても、現代日本の情勢は京大生のそれとは少し異なるようだ。
まさに正鵠を得ているとは思わないか。
人間の理性=感情の進化+思考
動物にも社会はあり、トラブルは起きる。動物と人間との違いとして、人間の理性は感情の進化に思考が加わったものだというのだが、実際のところ、どうだろうか。
<サルのトラブル対応>
<ゴリラやチンパンジーのトラブル対応>
このように見比べると、サルのようなトラブル対応をする人が多くないだろうか。
このような文章もあった。
この文章を少し変えてみようか。
■ 政治家は自分の票を減らしてまで国民を助けようとはしないし、子孫の時代を気にかけたりもしない。
■ 日本の高齢世代は自分の年金を減らしてまで子育て世代を助けようとはしないし、子孫の時代を気にかけたりもしない。
いろいろ文章が作れそうだ。
これなら、ゴリラやチンパンジーのほうが人間よりもよほど人間らしいと思ってしまうのは、私だけだろうか。
人間の安全保障
これは、経済学者のアマルティア・センが考える現代の課題だという。
そして、オバマ前大統領の「戦争はどのような形であれ、昔から人類とともにあった」という言葉を取り上げて「私はここに世界の暴力に対する大きな誤解を感じずにはいられない(p.183)」として「日本が武力を強めていく将来(p.186)」に強く異を唱える。
そして、「人間はテリトリーを持つようには進化していないことを思いだすべきだ。地球の土地を世界の人々が共有する新たなときがきているように思う。(p.191)」と言う。
日本は島国で、日本と言ったときに国境が自然な線と重なっている。一方で、民族も地形も何の関係もなく直線で引かれた国境も数多くある。この国境が起こしている紛争も多い。日本の平和だけでなく、世界の平和を考えたときに、必要なことではないだろうか。もう、世界から独立して日本だけの平和を守るのはナンセンスだ。そして、他国を恨み、過去にとらわれるのをやめるためには、様々な国から見た自国の歴史を学ぶ姿勢が必要だろう。
もしゴリラの目から見た人間の歴史があったとしたら、人間は極悪非道な存在だろう。それでもゴリラはこの著者をコミュニティに受け入れた。人間はゴリラ並みになれるだろうか。
それでは、また。