デビッド・リンチVSデビッド・クローネンバーグ (映画の紹介)

▲デビッド・クローネンバーグの『ビデオドローム』

VSといっても戦うわけではないです。あなたはどっちが好きかくらいな意味あいです。
「デビッド・リンチ派かデビッド・クローネンバーグ派か?」と問われれば、私はだんぜんデビッド・クローネンバーグ派でありました。そして、何故だか私にはデビッド・リンチが合わなかったのでした。

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最初に見たデビッド・クローネンバーグ作品は『スキャナーズ Scanners (1981年)』だったかもしれない。念能力で頭が爆発して飛び散るのが衝撃的でした。次に『ヴィデオドローム Videodrome (1983年)』でどハマりしました。例えば、ヌメヌメ動くビデオテープを腹に中に入れられる=相手に洗脳され取り込まれるという、見た目だけでなく内容をより際立たせる特撮がそこにあったのです。もう何度見たかわからないほど見てました。

それで高校生の時なんかは友達なんか全然いませんでしたから、情報源の宝島(月刊誌)とかで読んだら「デビッド・リンチが凄いらしい」とか書いてあったので『ブルーベルベット』をわざわざ渋谷まで電車で1時間以上かけて見に行きました。しかし不覚にも映画館で寝てしまいました。耳を拾うあたりは起きていたのですが、なんだか薄暗い画面にウトウトして、やっと起きたら最後の方でした。なので今でも結末とかを覚えていないです。
「どうしてだ?そんなはずない」とその後も何度かデビッド・リンチにチャレンジしてみました。『DUNE/デューン 砂の惑星』は見てる間は楽しいのですが、なんかダイジェストみたいな作品で気持ちがついていけず、見終わるとなんか自分の中に何も残ってない感じがしました。「スティングだったなあ」くらいな感想。『ツインピークス』は部分的に(小人のおじさんが踊ってるとか)は面白かったのですが、続けて最終話まで見ようという気持ちにならなかったです。そうなると『イレイザーヘッド』を見るのにびびって(おじけづく)しまい、見る時はしっかり睡眠とって、万全な体調で見なければと思い、今だに見る時をつくれていない。

デビッド・クローネンバーグの作品は最初のシーンから最後まで、画面に釘付けみたいな感じでした。どちらかというとわかりやすい作りになってたのかもしれません。
まずテーマがあって、それに沿ったキャラクターがいて、ストーリーが展開していって、最後にクライマックスに辿り着く。これがちゃんとすべてテーマ的なものの上に並んでる感じがして、見終わって違和感を感じるところがない。
しっかり内容の詰まった、ずっしりした小説を読んだみたいな、心地よい充実感があったのでした。

特に以下の作品の時期はもう、デビッド・クローネンバーグと同じ時代に生まれてきた事を感謝するくらい、好きで好きでしょうがない時期でした。
『スキャナーズ Scanners (1981年)』『ヴィデオドローム Videodrome (1983年)』『デッドゾーン The Dead Zone (1983年)』『ザ・フライ The Fly (1986年)』

作品の良し悪しを見るのに、興行収入なんてまったく関係なかったので、『しっかり作品に内容が描かれているか』しか見えていませんでした。
当時の私にとっての悪い作品というのは『見てる間だけは現実を忘れてられる作品』で、娯楽映画というものであって、『スターウォーズ』とか『インディージョーンズ』とかはそっちに入ってました(今では楽しんで見れるようになってます)。

だから『内容があっての作品』というのは絶対であって、見終わって引っ掛かりがないと「でっ、結局なにが言いたくて作ったのだ」とか言ってました。でも実際には『内容の前面に出ている作品』より、『見てる間だけは現実を忘れてられる作品』の方がヒットしていたのでした。ヒットするということは、より多くの人に求められてるってことだと思います。

実際にはデビッド・クローネンバーグ派の方が少なくて、デビッド・リンチ派の方が多かったのだと思います。『ツインピークス』なんて社会現象になってましたし。そういうヒットみたいなものはデビッド・クローネンバーグには特別なかった気がします。

「デビッド・リンチの魅力ってものを、心地よく感じて見てみたいな」というのがあって、「なんで私にはデビッド・リンチが合わないんだろう」って思ってるのです。残念ながらこれは、がんばったらなんとかなるものでもなかったりします。

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