メガバンクの気候変動取組み方針。みずほは見劣り
8/31に三井住友FGが気候変動に関する今後の取り組み方針を公開した。
目標としては、2030年までに自社の温室効果ガスGHG排出量をネットゼロ。また2050年までに投融資先の排出量のネットゼロを目指すとのこと。
そのためのアプローチとしては、再エネなどのサステナブルファイナンスを2030年までに30兆円、石炭火力発電向け投融資を2040年までにゼロ、自社契約電力を100%再エネ化や植林などのカーボンオフセットだ。
また体制としてチームサステナブルオフィサーなどの取締役を配置し、役員報酬評価にEDG改善度を織り込むなどトップダウンで取り組んでいく姿勢が見られる。
三菱UFGも同様の方針を打ち出しており、三井住友との差は2030年までに取り組むサステナブルファイナンスを三井住友が30兆円に対し、三菱は35兆円と若干多いことくらいだ。
三井住友は三菱に対して、今後気候変動による投融資先の業績悪化による与信費用などの増加などのリスク金額を算定するなど、より踏み込んだ内容となっている。
一方で見劣りするのはみずほだ。三井住友、三菱いずれも2030年までに自社排出量ネットゼロにすると明言しているのに対し、みずほはあくまでも2019年対比35%削減するということで、ネットゼロにするというところまで踏み込んでいない。また、サステナブルファイナンスの取り組み金額も三井住友、三菱は30兆円、35兆円と明言しているのに対し、みずほは金額提示していない。
さらに体制についても、みずほ経営会議での定期的なレビューのみで、専門の取締役配置や役員報酬評価にESG改善度を織り込んでいる三井住友、三菱とは差がある。
みずほは全体と具体的な対策を明言しておらず、概ね定性的な表現に留まっている。資料についても三井住友はTCFDレポート、三菱もパワポでわかりやすくらまとめているのに対し、みずほはワードで文字を記載しているのみで非常にわかりづらい。資料の作り方だけ見ても、その企業の意気込みがある程度伝わるものだ。実際、資料の作り込みをしっかり行なっている企業のほうがESGにしっかり取り組んでおり、そうでない企業の資料はわかりづらい傾向にあるという研究もある。
ESGの取組みは、今やトップテーマである。ESGの取組みが遅れている企業に対しては、今後資金調達などにも影響してくる可能性がある。ましてや、金融機関が投融資を通じてESGを推進するというのはグローバルでも熱視線をあびている。このような中でみずほの消極的な姿勢は、やはり企業のガバナンス体制としてかなり深い問題があるのではないかと疑わざるを得ない。明らかに空気を読めていない。みずほはもはや民間として自立していくことはできないのではないか。システム障害含め、国が積極的に指導をしないともはや厳しいのではないかと思ってしまう。
少し荒い表現となってしまったが、みずほはともかく、三菱、三井住友にはぜひともより積極的に進めてもらえると、ユーザーとしても嬉しい。
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