「収益費用アプローチ」と「資産負債アプローチ」の特徴の説明

備忘録も兼ねて。

「収益費用アプローチ」と「資産負債アプローチ」の違い

まず、収益費用アプローチでは期間損益の計算を正確に行うことを重視している。そのため、資産は取得原価と減価償却額で評価し、費用は実現主義、収益は発生主義に基づいて計算する。貸借対照表は、期間損益を明らかにすることを目的に動態論で作られるため、前払費用や貸倒引当金のような実際に売買できないものも資産や負債に計上することができる。このアプローチは、産業資本主義の中で企業は長期持続するものとして捉えられていたことが背景にあり、企業を当期純利益で評価することで、利益を現在の株主などの利害関係者に適切に配分することを目的としている。

一方で、資産負債アプローチでは、現在の資産価値を正確に評価することを重視している。そのため、資産は公正価値と減価償却額で評価する。貸借対照表は、現在の資産価値を評価することを目的に静態論で作られるため、実際に売買できないものは資産や負債に計上できない。このアプローチは、金融資本主義の中で、企業は精算したり売買するものとして捉えられていたことが背景にあり、企業を包括利益で評価し、現在の価値を明らかにすることで、現在の株主だけではなく、将来の株主になる可能性のある投資家に対しても企業の財務実態とリスクを開示することを目的としている。

以下、歴史的変遷について

産業革命以降の19世紀の自由主義期には、規模の小さい個人資本家が多く、倒産リスクが高く引退する場合もあったため、債務に対する支払い能力として、財産を時価評価することが重要だった。そのため、静態論に基づく利益計算が中心だった。

一方で、19世紀末になり固定資本が巨大化すると、巨大資本は倒産リスクの低い継続企業となり、資産の直評価が困難かつ無意味になった。巨大な固定資本を集めた株式会社が初期から利益配当できるよう、初期の経費を資産計上できる動態論が主流となった。


1930年代になると、戦争で拡大する政府との軍需取引に際し利益計算の統一化が必要となり、取得原価主義に基づく収益費用アプローチの会計原則が公的な介入で整備された。これにより、巨大資本の減価償却による恣意性を無くす動きが働いた。


さらに1980年代からは、巨大化した組織の分割・再編が行われるようになり、企業の売買のために資産を公正価値で評価する必要性が生じた。金融市場が発達していたため、現物が売買されていないものも公正価値で評価できるようになった。

執筆者 / 養田峻介
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