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9月は「価格交渉促進月間」!だそうです 20210901解説

パートナーシップ構築宣言って、知ってます?

大企業と中小企業が共に成長できる持続可能な関係を構築するために!・・・ということで、パートナーシップ構築宣言ポータルサイトというのがあります。

私の会社も、宣言企業の1つです(2021年9月1日時点、全1366社)。

https://www.biz-partnership.jp/declaration/1063-13-00-tokyo.pdf

ちょっと長いですが、パートナーシップ構築宣言の目的はこのように書かれています。

経団連会長、日商会頭、連合会長及び関係大臣(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省)をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、「パートナーシップ構築宣言」の仕組みを創設することになりました。「パートナーシップ構築宣言」は、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを、企業の代表者の名前で宣言するものです。

「パートナーシップ構築宣言」では、
1.サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携
2.親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)の遵守を宣言し、本ポータルサイトに掲載することで、各企業の取組の「見える化」を行います。

本ポータルサイトで「宣言」を公表して頂いた企業は指定のロゴマークを広報等に使用することができます。なお、政府において「宣言」を行った企業に対する補助金の優先採択を検討しています。

ちなみに、当社は、一番最後の「なお・・」の必要がありまして、宣言したわけですが、正直、いまひとつ、宣言の目的と効果がわかっていませんでした。

※宣言の中身がどんなものかは、当社の例でご覧ください。3項目ありますが、3項目目だけがオリジナルで宣言した内容で、1・2項目目はひながたに沿ったものです。

https://www.biz-partnership.jp/declaration/1063-13-00-tokyo.pdf

「価格交渉促進月間」って、何やるの?

そこに舞い込んできたのが、宣言登録企業への「価格交渉促進月間」お知らせメール(8月31日)。

そのホームページに飛んでみると、副題に「その技術と経験に見合う対価を」と書いてあり、どうやら、

・発注企業に対しては、過度な値切りで下請けいじめはやめてね
・下請け企業に対しては、勇気をもって値上げ交渉してね

という趣旨のようです。

中小企業庁では、最低賃金の改定を含む労務費や原材料費等の上昇などが下請価格に適切に反映されることを促すため、本年9月を「価格交渉促進月間」に設定します。これに伴い、発注側企業と受注側企業との価格交渉を促進するため、次のとおり取組を実施します。

8月、産業界の強い反対を押し切って、コロナ禍真っ最中での最低賃金引き上げが決まったばかりです。実施は10月からですね。

政策的(強制的)に人件費引き上げが進められる一方で、取引関係における力関係で、その分を価格転嫁できないと、中小企業の経営はますます苦しくなるだろうということで、最低賃金引上げ実施前のタイミングで打ち出されたのでしょう。

その「取組」とは、下記4点。

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1.キックオフイベント:9月2日(木)9時50分より行います。無料配信になりますので是非ご覧下さい。
ライブ配信URL:https://clk.nxlk.jp/u4gXyR9g
登壇者:経団連十倉会長、日商三村会頭、IHI様、帝人様、デンソー様、村田製作所様、伊藤鉄工様、ダイヤ精機様、梶山経産大臣
2.受注側企業への調査:下請Gメンによる重点的ヒアリングやアンケート調査の実施
3.発注者側企業への周知:グッドプラクティスの公表等
4.広報、講習・研修・相談等:セミナーや講習会の実施等

2番の下請Gメンによる重点的ヒアリングは2000社、アンケート調査は数万社規模で行うとのこと。

この調査結果が具体的にその後、どのように活用されるのか、調査対象は受注企業ですから、発注企業側は、気になるところかもしれません。

発注側企業への周知については、以下のように書いてあります。

上記の調査結果について
・先進的な取組、グッドプラクティスの公表
・アンケートの回答を数値化して集計し、公表することを検討
・下請代金法に違反する事案については、公正取引委員会と連携して対処
等を行うことを、月間の開始時にあらかじめ、各省の担当部局から業界団体を通じて、発注側企業へ幅広く周知します。

「下請代金法に違反する事案については、公正取引委員会と連携して対処」の予告がどれだけ届くか、また、届いた先で、いわゆるアナウンス効果がどれだけ期待できるか。

SDGsと何の関係が?

この取組、趣旨としては「その技術と経験に見合う対価を」ですから、価格設定の面で公正な取引の確保であり、それによって、中小企業側の収益力、ひいては処遇向上を図るのが狙い、と考えられます。

すると、「ゴール16でゴール8を後押しする」構図として整理できるでしょう。

ゴール16.平和と公正をすべての人に:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
ゴール8.働きがいも経済成長も:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

ターゲットのレベルでピッタリとくる指標はないですが、あらゆる活動が169の指標のどれかに必ずピッタリはまるわけがありません。

コンプライアンス・法令遵守においても、個別具体的な条項の遵守だけでなく、「立法の精神」を汲んだ取り組みが求められます。

ただ、最低賃金確保と、「働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)」の間には、だいぶ距離がありますね。


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