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崖っぷち!慢性的赤字病院復活への道(1)

簡単に自己紹介

一つの病院の立て直しについて、自身の振り返りを含めてつらつらと書いてみようかなと思います。

そもそも私、室長の経歴について少しばかりご紹介。

小学校からずっとサッカー一筋に明け暮れ、京都の某大学経営学部を無事に卒業後、一部上場企業で働きたいという意味不明な一心で某一部上場企業(メーカー)に就職し、社会人デビューを華々しく飾る。

本社はもちろん意味なく憧れの品川(笑)

品川の男性独身寮での生活が始まるが、想像以上に夜間が静か過ぎる街であり、当初予定では24時間喧しいはずであったが度外れを実感。

なぜか男性独身寮シャワー室に若い女性がいて仰天するが、後で親切な他の先輩に大人の教科書を一部教えて頂き、大人の世界を垣間見れたことに大きく感動する。

身分不相応な案件や金額に触れる内に、天狗になってきてしまい自分自身の『らしくなさ』に危機感を感じる日々を過ごす。そしてとうとう、ユーザーさんからの感謝は決して自分じゃなくて企業の力だよな・・・と感じ、いよいよ末期症状に陥る。

その半面、直接的に人の役に立ちたいとの思いがどんどん強くなり、それなら究極的に人を扱う医療業界に転職しようと考え、意を決して医療業界の門を叩く。辞めると言った時に言われた事は、『一度このレベルから自分を落としたら二度とこっちの世界には戻ってこれないから、もう一度よく考え直せ』

今思えば、その時代はそうだったかもしれないが、この令和における時代からは想像もできない感覚だなと懐かしく思う、いい思い出だなぁ・・・。今はこんな文言で止める事はないだろうな(笑)

さて、多くの反対を受けながらも医療に足を踏み入れて驚いたのは・・・ありすぎて列記できないぐらいの出来事の毎日・・・(笑)

とにかく毎日やる事なす事全て驚きの連続、もちろん悪い意味で(笑)

医療業界の伏魔殿については、気が向いたらボチボチ記事にしていこうかなと思います、半沢直樹も顔負けの世界なので個人的には大好きなんですけどね〜。

病院の赤字感覚の是非

さて本題に戻りましょう。

国内の病院のおよそ6割は赤字だというのは紛れもない事実。

そして、コロナ禍には関係なく一般市民の方々にはわからないところで、病院の統廃合がどんどん進んでいるのもまた事実。大きく影響力のある病院の統廃合ぐらいしかあまりニュースにならないし、ましてや普段病院に行くことが少ない若い世代に至っては、中小病院の統廃合など『ふーんそうなん?どこそれ?』ぐらいのもんでしょうか。

医療業界で個人的に厄介だなと感じる赤字ポイントは、赤字というものに対する認識の相違・温度差です。

病院というものは、全ての中身が法律でがんじがらめにされており、まさにお釈迦様(厚労省)の掌の上で事業を営んでいるような感じです。メーカーなどと違ってヒット商品が出たから一気に業績が上向くとか、そう言った類のものではないんですね。逆に法律で守られているという意味では、ある意味聖地でしょうか(笑)

余談ですが、物凄く優秀な医師がいて『よし、300人が入院できるベッドを仕入れて、病院を経営してやろう!』と言って開業できるもんではありません。病院のベッド数は厳格に国に管理されており、たったの1つたりとも勝手にベッドを増やすことができません。人気があるから、『あと100人が入院できるようにしようかな』と言ったことも基本的には無理です。なのでコロナ禍においても、パパッとベッドを増やす事は不可能なので、ホテルに頼るしかないのが現実です。ちなみにhospital(病院)はhotelと語源は同じです。なのでhotelでコロナ患者を受け入れる発想は自然なのかもしれませんねぇ(かなり驚きましたが・・・)

さて、病院事業はそう言った意味でも外部からの、特に民間の介入は困難であり、ある意味守られているのです。これがぬるま湯体質に繋がり、自助努力ができない赤字病院が国に見捨てられつつある原因にもなっています。令和元年度の国の医療費はおよそ43兆円。100万円の束が1cmなので・・・1億円で1m・・・43兆円を積み上げれば宇宙まで行っちゃいますね。毎年毎年これだけの医療費を税金やら保険料で賄うのは限界に近いのでしょう。

医療というものは、ある意味では地域の社会資源という立場もあるので『赤字であってもしょうがない』という感覚がどこかにあります。『昔は医療費が支払えなくて、代わりに大根を置いていっている人もいたなぁ・・・』こんな話も昔は現実にあったようで。そのような古き良き時代の流れも根底にあるのでしょう。

赤字に対する認識がそれぞれ根本的に何か違うし、赤字に対して、どう黒字にするのかも意見が散逸し結局あやふや、なぜ黒字にしないといけないのかが置いてけぼりの非常に稀な業界かもしれません。これが様々な現場経験から感じる医療経営の現場感覚ではないでしょうか。そして一般企業とは決定的に違うのは、『国家資格を有する者の集合体』である、というところでしょうか。これがかなりの曲者です(笑)

それぞれの国家資格には、それぞれの法的根拠に基づく『してもいい仕事、してはいけない仕事』があり、その資格には哲学があるのですから厄介です(笑)

人の命をお金には置き換えられない!!

病気で苦しむ人からお金を稼ぐという発想はおかしい!!

でも給料はあげて欲しい。ボーナスはしっかり欲しい。

そして、改革に失敗した・・・いや、そもそも健全経営に向けた改革に着手すらできない医療法人は没落し・・・イコール地域の医療資源は最悪の場合消滅。最終的に困るのは地域の一般市民になるわけです。

赤字病院が頼る先は?

伏魔殿を自助努力ではどうにもできずに高い金を支払って、自称『医療コンサル』を雇い、外部意見に活路を見出そうとするが、そんな上手いこといくなら日本の6割の赤字病院がみんな黒字になってますよね(笑)

医療コンサルに頼ってる時点で、その感覚そのものが・・・。

医療はそんな簡単明瞭な事業構造ではないんですが、そもそもそこが理解できていない医療コンサルはバランスシートを整える事でしか意見できません。

稼働UP!収益UP!人件費ダウン!適正人員数!キャッシュポジション!

南無〜。チーン。

そんなん、みんな分かっとるわ!!(笑)

病院の理事長(最高経営責任者みたいな感じ)は医師である事が法的な基本ルールなのですが、医師に経営はどう考えても無理な時代なんですよね。でもそこから脱却できない法人が多いのもまた事実。

赤字の中身を見つめ、赤字の意味を考え、赤字に向き合うのは辛いけれども逃げずに向き合い、自分たちの弱点をさらけ出し、必ず存在する強みを見つけ、何を目標にして、何を達成すべきで、それが達成出来たらどうなのか?

ライオンや熊を相手にしているのではなく、人間同士なので意見の相違はあれど、とことん話し合えるはず。

幸せを掴むために

to be continued・・・(2)

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