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留守番電話のヨーコちゃん

これは転職してすぐの出来事だった。
就業1日目の3月19日午前10時。
会社のPCに向かい合っている時に突然電話が鳴った。
もちろんバイブにしていたため着信音が鳴り響きはしなかったが、突然のことで慌てて携帯をちらりと見ると兵庫県寝屋川市からの着信が。

え、誰?

寝屋川市に知り合いなんていないし、もしかするとカード会社か何らかの会社からの電話だろう。それより私は恐々と辺りを見回し、今に上長が飛んできやしないかと冷や冷やしていた。
しかしさすが大手。誰もこちらを見やしない。
ふふん、大手の威信はたかが娘一人では揺るがないらしいな。
そう思いながらも流石にカード会社からの連絡だと何かあったに違いないので、昼食終わりにこちらから折り返そう。そう思って再度PCに向き直った。

所変わって昼食後の会社の廊下。
さすが大手。廊下まで広いらしい。大丈夫別に馬鹿にはしていないだって大手だもの。相手が留守番電話を残してくれていたらしいので、取り敢えず聞いてみた。

「もしもし〜?ヨーコちゃん?おばあちゃん。
また電話するからね〜」

いや、誰?

ちなみに私はようこちゃんでもない。そして兵庫県寝屋川市におばあちゃんがいた試しもない。本当のおばあちゃんは沖縄で元気にサーターアンダギーでも食べている頃だろう。
いや、もしかしたら小中高の同級生で「ようこ」と言う女性がいた気がする。そのおばあちゃんから電話がかかってきたんじゃないか。いや、でも何で私にかかってくるのか分からない。え、じゃあ何で私にかかってきたの?

頭の中がぐるぐるになりつつ取り敢えず留守電を3回ほど聞き流して、ようやくこれは間違い電話なんじゃないかと思い至った。そして、取り敢えず心を落ち着かせた。こう言うトラブルには慣れていないのだ。
深呼吸をしながら再度考えていたが、
いやー流石に相手も気付くだろ!なんせ何の縁もない相手に電話して折り返しがないんだから!
と、前向きに考えてその留守番電話を放置する事にした。


だがしかし、私のこの考えは甘かった事に気付く。
それは来る4月2日。
再度この着信に悩まされるとは思いも寄らなかった。


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