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少年ジャンプ2024年29号感想

前号:少年ジャンプ2024年28号
次号:少年ジャンプ2024年30号

2024年6月17日 発売
表紙:妖怪バスター村上
巻頭カラー:妖怪バスター村上
センターカラー:あかね噺
センターカラー:夜桜さんちの大作戦
センターカラー:鵺の陰陽師
読切:【読切】鬼十郎と姫の龍探し(ATSUX)

表紙は伊原先生の新連載「妖怪バスター村上」。カットと表紙ではピンク髪の方を女性だと思っていたので、男性だったことにまずびっくりしました。最近の新連載は男女バディものが多い気がするな……、と思っていたら違った。男性同士のバディものだと、最近は「累々戦記」「極東ネクロマンス」辺りでしょうか(「願いのアストロ」も序盤はそんな感じだったかも)。

※ この記事ではAmazonアソシエイトを利用しています。


妖怪バスター村上

第1話 妖怪バスター誕生

恋するワンピースでおなじみの伊原大貴先生による新連載。恋ピがとても好きなこともあり、本誌の連載には複雑な気持ちが……、と思っていたんですが、おもしろかったのであっという間に複雑な気持ちが吹き飛びました。普通にめちゃくちゃうれしい。新連載おめでとうございます!!!

連載になるなら少年ジャンプ2023年16号に掲載された「真夜中月丘高等学校」かな~と思っていたんですが、別にこれは関係なさそうでした。ちゃんと読み返してみたら「真夜中月丘高等学校」はそもそも4コママンガ形式だったので、これで連載はキツそう。

ビビりの退魔師とツッコミの村上くんによる凸凹コンビが妖怪を封印する、というのはわかりやすい縦軸。これから村上くんが妖怪にツッコミ続けて行くんだろうなというのが1話で完結に示されていていいですね。ギャグマンガなのでその辺がサクッとしているのもいい。

とにかくツッコミを入れ続けるタイプのギャグなので、読む人を選ぶだろうな~とは思うものの、紅院くんが村上くんを諫めたり、妖怪が「悪者」と定義されていたり、そういう部分でヘイトが溜まりすぎるのを避けている印象はあります。紅院くんと村上くんの関係だけで言えば、村上くんが「普通に友だち思いのいいやつ」になっているのが落とし所という雰囲気。個人的身は好きなので今後も応援していきたいと思います。

また、冒頭でも触れましたが、紅院くんが男だったことにちょっとびっくりしました。速報版では

これ男の子だよね!?私は自分の性別判別能力の低さを自覚しているため、原作内で明言されないとずっと自信がない

と自身がなさ過ぎでしたが、モノクロ1P目に「少年二人でいざ妖怪退治」と書いてあったので明言されていました。しかし、こういう言い方をするのもどうかとは思うんですが、伊原先生はマンガが掲載される度に普通に絵が上手くなっているのもすごい。

僕とロボコ

第189話 釣りとボンド③

先週から引き続き、釣りバトル回。釣りバトルものとしてまっとうにおもしろかったのがなんだか悔しかったです。妖怪バスター村上が参戦したことでギャグマンガ激戦区になりつつある本誌ですが、ロボコの強みはこういう作風の広さにあるんだろうなと感じられた回でした。秀逸なパロディの印象が強いですが、それだけじゃないんだなと再認識(でもやっぱキャンプ・釣りは単に作者の趣味なのかもしれない)。

ギャグマンガ的に何らかのがっくりオチがあるのかもしれないと思って読んでいた時に限ってきれいなオチが用意されているのも上手い。弱虫ペダル回でもそうでしたが、作中の頑張りがオチで報われることが多いのも読みやすさの1つだと思います。

しかし、 妖怪バスター村上 → 僕とロボコ とギャグマンガを巻頭から2連発してきたのが結構異質な感じ。今回は呪術廻戦の突発的な休みもあるのでその辺の関係があるのかもしれませんが、それにしてもめずらしい。このまま 超巡!超条先輩 → ウィッチウォッチ の順に掲載されていたらどうしようかと思いましたが、そんなことはなかったです。

ONE PIECE

鬼の子ヤマトの金稲荷代参

vol.7「ヤクザの世界に仁義を通して行ってきます!!」

サブタイトルは固い感じですが、扉絵自体はなんとも和む雰囲気。カイドウの息子(娘)であるヤマトがこうして今のワノ国で受け入れられているのは普通にうれしい。

第1117話 〝も〟

このサブタイトルなに!?と思っていると、ラストのページで「そういうこと!?」になるすごいサブタイトル。他のマンガだったらサブタイトルがラストのページで出てくる演出をしていたと思う。そう思うとワンピースってサブタイトルは扉絵と組み合わせるずーっとこの形でやっているのに、それを「おもしろくない」と思ったことがないのがすごいですね。

本編は相変わらず情報量が多すぎる。今回生存確認ができてよかったキャラクターだけでもスモーカー、ドレーク、ベポ(と多分ロー)、とじゃんじゃんその様子が描かれていました。スモーカーは「何年ぶり!?」だし、ドレークは「やっぱり生きてたんだ!(ホーキンスはダメだった?)」だし、ベポは「ベポがその状態ならローもおそらく生きてるよね!?」で、ほんの数コマでこちらの感情を揺さぶってくる。

また、今回の放送でコビーたちSWORD組は世界政府に思うところがありそうだったので、エッグヘッド編以降の世界情勢の変化も気になる感じになってきました。特にドレークはめちゃくちゃ思うところがありそう。世界政府からの離反が視野に入ってきた感じ。

ゾロと五老星の剣士がぶつかり、そこで鬼徹同士の邂逅、というのもアツい。ただ、ここは今回で決着をつけることはないような気がします(尺的にやってると一生エッグヘッドから脱出できなくなる恐れがあるため)。ただ、ここで東の海編から仕込まれていた「鬼徹」の物語があること、ゾロと五老星の戦闘フラグが経ったことでめちゃくちゃ盛り上がりはしました。

前回までずっと「この放送いつまで続くんだ?」と言っていたんですが、ついに五老星に居場所がバレ、放送はストップ。その直前に鉄巨人を見た五老星が「200年前にマリージョアを襲撃した鉄巨人」「間違いない」と会話していることで、五老星たちが鉄巨人を以前見たことがある=少なくとも200年前から生きていることがほぼ確定になったのもおもしろいし、このレベルの設定開示をさらっとやってるのもすごい。「〝D〟の名」の方に興味を全振りしてしまっていたため、最初に読んだときには全然気がつきませんでした。

そして、その言いかけた内容が「も……」でサブタイトルになっているというオチ。最初は「なにか言いかけたけど切れちゃったんだなあ」くらいにしか考えていなかったんですが、サブタイトルになっていると言うことはもっと重要な意味が込められているのかもしれません。

なんだろう……。
「お前さん達の中に……」「も……」

「お前さん達の中に……もしかしたら……」
「お前さん達の中に……もう一人……」
「お前さん達の中に……も……」

全然思いつかない。

あかね噺

第114席 ジリ貧

まいける戦に関しては決して意表を突いた展開になっているわけではないのに、引き込まれる作りになっているのがすごいですね。まいけるの背景と落語のクロスオーバー、画面構成による表現力の高さでしっかり読ませてくる。まるで映画を見ているような気分に。

しかし、この話にあかねの父を重ねてしまうと、まるであかねの父が死んでしまったみたいになっていてちょっとおもしろい(今さらですが)。ただ、おもしろいだけではなく、この表現に違和感がないストーリーになっているのは流石です。この辺、本人が「死んだわけじゃない」って言っていたのもじわじわ響いてくる。

また、もはや負けフラグしか立っていない全生ですが、あまりにも完敗が目前に迫っているせいでちょっとかわいそうになってきました。しかし、「本格派」でない技でそこまで上り詰めておきながら、全生が依然として「本格派」に対して並々ならぬコンプレックスを抱いているというのはある意味で絶望じゃないのか?と思うとちょっと怖い。この辺を掘り下げずに放置するとも思えないので、まいける昇進試験編はそこまでやるのかもしれません。

アオのハコ

#153 アイスを食べない

先週の引きから、ここでまさかのお母さん回。最近はちょっと減っていましたが、序盤では千夏先輩との同居に当たってちゃんと「家族」の話を描いていたのでそれほど唐突ではない感じ(でもちょっと驚きはした)。

大喜が母に(おそらく父にも)とても愛されて育ってきたのだという背景を示すことで、大喜自身にその優しさが大喜に受け継がれていることを描く「光の流れ」があまりにまぶしい。というか、今回描かれたエピソードでわかりやすい「お母さんがバドミントンを応援してくれた」エピソードの方ではなく、「お母さんは本当はアイスクリームが好き」という当人には気づきにくいエピソードの方で愛情の深さを描いているのが本当に上手いですね。私も大喜同様に父が「子供の面倒見ながら食べるのは大変なんだよ」と言われるまで全然気がつかなかった。細かいところですが、この優しさに父が気付いているところも「光」すぎる。

ここまで善性を押し出している以上、千夏先輩との関係で不義理をはたらく展開にはならないと思うので、親バレもそう遠くないんじゃないか(というかIH編でもうバラすかも)という雰囲気があります。というかそうして欲しい。

また、このまぶしい展開はあまりのまぶしさに苦手な人もいるんじゃないかというレベルなんですが、「少年」ジャンプでの連載だと思うとこれくらいがいいような気もします。しかしこの方向性でしっかり引き込まれるストーリーを描けるのが天才すぎてちょっと怖くなってきた。

SAKAMOTO DAYS

DAYS 170 ケーキ

奥さんに変装するのは危なくない?と思っていたら普通に危なかった。この辺はノリと勢いで流しがちなマンガではありますが、ここで触れた以上は奥さんに変装させた理由が出てくるのかもしれないし、出てこないのかもしれない……、わからない……。どちらかというと「奥さんに変装させた理由」よりは「沖のORDERとしてのスタンス」=「一般人を巻き込まない」を描くための演出だったような気もするので特に説明はないのかも。やはり「何度か使っている変装なので変装セットが常備してある」説が有力になってきましたが、親友の奥さんの変装セット一式を常備している南雲はちょっとやだな。

今回で七夕の能力の一部がお披露目。想像通り「音」を使った攻撃がメインの様子ですが、どっちかというと「音」というよりは「ギター」が武器なのかもしれない。ただ、振動を使って相手の足元のマンホールを吹っ飛ばすというのはなかなかめずらしい表現だったので、この辺の発想に関しては相変わらず神懸かってるな~と感じました。大佛にやったみたいな音波攻撃一辺倒にならないのは画的にも映えていいですね。

トレースの方は今回、南雲に蹴りを入れられただけでした。でもまあ、これの前でちょっとヘイトを買うようなことを言っていたのでその辺の調整なのかもしれません。しかし、今回の件はORDER視点だとかなりヤバいテロリストを野放しにしてしまっている状態なので、ここで犯人の妻には手出しできないって言ってて大丈夫なのか?という気持ちはあります。場合によってはトレースの言っていることの方が正しい場合もありそうな……。そこも含めて殺連自体がちょっと歪な組織なのかも(そもそも人殺ししてるのに秩序もクソもないと言えばそう)。

神々廻がずっと何か思っていそうなところと、沖さんが神々廻、大佛、上終からあんなに嫌われなくてもいいのにと思えるくらいには「秩序」側だったのが気になるところでした。

また、シンの新しい能力はORDERにも通用することが判明。同格っぽいハルマに効いたから試したんだろうな~と言うのはわかるんですが、効かなかったら死んでいたところなので先に南雲辺りで通用するか試してから実戦投入して欲しかったところ。また、現状描かれていないものの、南雲のセリフでなんらかの反動があるフラグも立ちました。超能力の反動ってなにが起こるかわからないので大分怖いですね。

しかし、坂本が「自分の存在が妻子に危険が及ぶかも」って気付くの、遅くない!?殺し屋マンガなら大抵1巻、下手すると1話で触れる話題過ぎて逆におもしろかったです。ここに関しては、これに今さら気付くくらい「坂本の常識がズレている」ことと「殺連の秩序が保たれていた」ことの示唆でもあるんだとは思います。でもやっぱおもしろいな。

夜桜さんちの大作戦

カラー

権平先生って今かなり忙しい時期だと思うんですが、すごい頻度でセンターカラーの担当をしていてすごい。また、今回みたいなテイストのイラストも描けることを知ってしまうと「先生がこのテイストで描き下ろしたグッズも欲しい」みたいな欲が湧いてきてしまう。

作戦230.予言

意外にもちゃんと対話になったことにまず驚き。お互いの目的が「殲滅」ではないため、起きえるシチュエーションなのかもしれません。

夜桜家当主が持つソメイニンの量が代々減っていくことで、最終的に「夜桜」は異能を失って「人間」になってしまう、というのは異能バトルものではある程度定番の展開ですね。世襲タイプの異能を取り扱う場合にぶち当たるひとつの壁的な……。

これで最終的に双子が異能を失って終わるのであれば、「かつて咲き誇った夜桜は散り、新しい朝がやってくる」と物語的にも美しく〆られそうな雰囲気。ただ、それを不穏にしているのが太陽が受けた予言。「旦」と「太陽」が同じ、「夜の次に来るもの」であることにここまで全く気がついていなかったんですが、マジで伏線が上手すぎる。

また、今回は太陽と六美は予言のために子をもうけたわけではないというのが、百もあえて2人に予言を伝えなかったところも含めてよかったです。そう思うとやはり百も最終的には安らかに眠れるようになって欲しいですね。

願いのアストロ

第9話 蝋と薔薇

亡霊強盗団編、完!!!序盤とはいえサクサク話が進んでいく印象。テンポがいいおかげで色々なタイプのアストロが見られるのはいいですね。

また、亡霊強盗団編の中で「キンパ(ヒロイン)の登場」と「コネクターがないとアストロは使えないという情報の開示」、2つのミッションをさらっとこなしている辺りは経験者だけあって上手いな~、と感じます。ヒバル、テラス、クラン、キンパとパーティーメンバーが増えたことで掛け合いの種類も増えてきてキャラクターの強みも出てきた感じ。テラスはヒバルの専属ツッコミから解放された途端にボケに回ったのもよかったです。

地味なところですが、全然人型じゃない形にもなれるクランのアストロはかなり無法では?というか、実際に形は変わらずに「相手にその姿に見せる」タイプの変化だと思っていたんですが、今回うちわになって実際に使用されている以上、マジもののトランスフォームが起きているはずなので、それは本人への影響とか本当に大丈夫なのか?というところが気になる。長時間無機物になっていたら自分が人間であったことを忘れてしまうホラー回とか絶対来ないで欲しい(怖いから)。

ここまでの感想、ヒバルがちょっと輩すぎて怖いな……、ではあるんですが、いうて「根がいいヤツ!!!」の原則を守っているので嫌いになれない。

ウィッチウォッチ

160 第2次清宮生徒会執行部

先週の感じ、生徒会関連の話も進めていくのかな~と思っていたら早速進み始めたので素直に「展開が早い!!!」になった。いいことだと思います。

そもそも長編シリアスやら子育て編を挟んだことで生徒会のことを若干忘れ始めていたので、ここでもう一回おさらいしてくれるのはありがたいです。この感じだともう1回くらいは高校の人間関係おさらい編がくるかもしれない。よろしくお願いします。

しかしこのやり方、夜桜さんちの大作戦の双子編でも同じことを思いましたが「途中からでもこのマンガを読めるようにするための工夫」のひとつなのかもしれない。アンケートの結果が掲載順位や打ち切りの指針になる雑誌の性質上、そういう工夫って読者が感じているよりも大切なんだろうなと思います。この辺はストーリーマンガよりも1話完結ものが強いところだと思うので、どんどん活用していくのが賢いやり方なのかも(想像で言っているので全然見当違いなことを言っているかもしれませんが……)。

中学組もどんどん学内コメディに関わってきそうな雰囲気で今後が楽しみです。

鵺の陰陽師

第54話 学郎と先輩の戦い

サブタイトル通り、学郎の戦いと先輩の戦い、それぞれが描かれた回。戦闘!って感じの戦闘をしているのは学郎の方ですが、ここで先輩もちゃんと戦っているんだというのを示してくれるのはいいですね。

この輪入道が戦闘狂の割に計算高すぎる。戦闘関連に知能を全振りしたかのような用意周到さで気持ちのいい戦いを強いてくるのは普通に怖い。先輩を舐めているように見えますが、舐めているというよりは「戦闘」以外の事象全てが些末なんだろうなという雰囲気があります。

しかし、個人的にはメタ的におそらく勝つであろう学郎の方よりも病院側の方が気になってしまう……。病院側のレベル3配置がかなりエグい感じになっているのでワンチャン死人が出てしまうのではないか?という不安があります。

それにしてもビジュアル的には人型であるレベル4よりも、ストレートに「化物」であるレベル3の方が怖い。こんなのが病院に出てきたらパニックになってしまう。すっかり忘れていましたが、一般の人には幻妖(と戦闘中の陰陽師)が見えないという設定があってよかったな~、とちょっとホッとしました。

さいくるびより

6話 プレゼント

今回はことねちゃんの歓迎会の回。6話ともなれば大体作品の傾向も掴めてくるんですが、本作は1話に対して1つのイベントがあって、そのイベントをキャラクターたちがどうこなすか、という感じの流れでやっていくみたいですね。まさに「日常系」って感じ。

これで話を進めようと思うと重要になってくるのが「キャラクター」なので(知らないキャラが何かやってるな~、ではおもしろくないため)、このために序盤で1人1人をクローズアップしてたんだなというのがわかったのがよかった。このキャラクターでイベントを回す形式、ちょっとソシャゲのイベントストーリー的な趣を感じます。

超巡!超条先輩

第18話 ライバル巡査長

この辺りでレギュラー、準レギュラーになるキャラクターは打ち止めか?と思っていた矢先に新キャラ投入。非有児が名前だってことにしばらく気付いていなかったので「非有児」って単語があるものだと思ってしばらく読んでいました。名前かい!!!

一見ワルの「いいヤツ」というわかりやすいキャラ付けもいい感じ……、と思って見ていたんですが、何気にすげえ柄のシャツを着ていることに気がついてしばらく目が離せませんでした。

超巡の「似たもの同士、それでいて正反対」であるキャラクターとして準レギュラーになりそうな雰囲気満々な非有児ですが、「元極道」であることと「ムショにいた」こと自体は事実なのでこの辺をしっかり掘り下げられたら「コメディマンガで時々挿入される人情話(ex:銀魂)」へと発展していくポテンシャルも十分あります。

犬養警視だけで結構お腹いっぱいだったところに容赦なくねじ込まれてきた非有児という存在によって超巡が今後どんなマンガになっていくのかというのは普通に気になる。しかしこの雑誌、少年マンガ誌のはずなのにどんどん極道が増えてきてますね。いいのか?

逃げ上手の若君

第160話 野心1338

新田殿(小さい方)の戦いからスタートした今回、新田殿の攻撃の避け方が逃げ上手も真っ青過ぎてちょっと笑ってしまいました。フィジカルモンスターすぎる。

ナレーションでこの辺りから武士の戦い方が変わる(コラムによると元寇を経験したことが大きいとか)という説明も入れつつ、以前の戦い方とは違った演出で合戦を描いているのは史実の取り込み方が上手いなと思いました。ここのモノローグで誘導してくれたことで、いつもよりコラムが読みやすかった。

時行VS吹雪戦は正直なことを言えば作中のもっと大きなイベントとして扱われると思っていたので、思ったよりもぬるっと始まり、ぬるっと進んでいる印象。この顔で戦場を駆け(逃げ)回る若を見たのは久しぶりな気がします。

吹雪の落としどころとして、「操られているわけでも洗脳されているわけでもなく、野心だけが爆発的に増した」というところがなかなか渋い。この辺りは伴名練先生の「美亜羽へ贈る拳銃(「なめらかな世界と、その敵」収録)」で似た概念に触れたことがあるため、個人的には大いに盛り上がったんですが感想としてうまくまとめることができませんでした。無念。

以前は敵対したことにショックを受けて大怪我を負った大技を、今回は笑いながら避けることができる、という演出はまっすぐでありながら頼もしく、時行の器を感じさせました。

カグラバチ

第37話 対等

前回で悲惨な「勝利」を手にしたチヒロ陣営。ハクリの激励を受けて気を取り直した感じでハクリの父の元へと向かうのかと思っていたんですが、なんか更に悲惨なことが起きてしまった。この作品、マジでずっと話が重い(私は好きですが)。

最初から裏口なんてないという事実を知ったとき、チヒロは「濤が無駄に命を犠牲にさせられた」と感じ、ハクリの父は「濤はチヒロたちの底を暴くために命を犠牲にした」と捉えたところがよかったです。ここで本当に命を無駄に消費するような悪役ではなかったことで、キャラクター造形に深みが増したように思います。

また、サブタイトルになっている「対等」と言う言葉ですが、楽座市前は明らかにチヒロの覚悟が上回っているような描き方だったのが、ここでそれが逆転してハクリの覚悟にチヒロが追いつくという構図も美しかった。ただ、ここで得られたチヒロとハクリ、それぞれの覚悟ってこの歳の少年たちが抱く覚悟にしてはあまりに重く、あまりに悲壮で2人の未来がマジで心配になります。その危うさが美しいというラインまで作品が昇華しているのもすごい。

また、淵天を取り戻したチヒロがここからどう反撃するかというアクション部分もしっかり見せているのがいいですね。私のイチオシマンガです。

キルアオ

page 57 ミツオカダンジョン②

ミツオカダンジョン、普通に続いてしまった。扉絵のノレンの構図は速報版を書いた時点では元ネタが全くわかっていなかったんですが、「羊たちの沈黙」のパロであることを教えてもらいました。通りで見たことあるわけだ(羊たちの沈黙自体は見たことがない)。

また、ダンジョン制作者と話をする十三が「初めて見る奴だ、だが面影はある……」と言っていますが、これってワンチャン十三と同じ状況になっている、つまり若返っている知り合いなんじゃないかと思うんですが……、どうだろう。ここまでモノローグを出しておいて全然関係ないヤツ!!!というのもメタ的にないとは思うので、多分知り合いだと思います。

ここから囚われの身になった女性陣を助けに行く男性陣、というRPG展開になるのはやっぱり「ダンジョン」を踏まえてのことなんでしょうか。しかし、殺し屋のフィジカルについて行く天馬はマジで何?事情を知っている十三はともかく、シンの方はもうちょっと疑問に思ってあげて欲しいと思います。来てくれること自体はうれしいけども。

また、女性陣を襲っている蜘蛛が結構リアル。もうちょっとデフォルメしてくれてもよかったと思います!!!バッタの方も画像検索するのはやめておこうと思いました。

アンデッドアンラック

No.210 UNISON

特訓シーンはそこそこに、もう本番になっちゃうスピード感がアンデッドアンラック。とはいえ、最近の掲載順位のことを考えるとペース配分を意図的に早めている可能性を感じなくもない。最近は他に票を入れたい作品も多いのでアンケートをサボってたけど、そろそろ入れた方がいいかな……、というラインになってきた気がします。

しかし、楽器演奏やダンスが詰め込みでどうにかなったとしても、肝心の楓の歌声があれではどうにもならなくない?と思っていたんですが、そこはいい感じに解消されてよかったですね(デカい声が必要=『ボエ~』にはならなくない?というツッコミは無粋なのかもしれない)。

今回の大イベントの1つである風子消失の危機!に関しては予想通りタイムパラドックスではなく「魂の器」問題らしい。肉体とは別っぽいので、これが上手くいったら父母の力で器を再生してもらうのかなという感じがありますが、概念的な話っぽいのでいまいち想像しづらいですね。本作には「魂」「魂の器」「ゴースト」などの目に見えない概念がそこそこ出てくるので、この辺の理解度が作品のおもしろさを分けそうな雰囲気があります。

ちなみに「器は保って100年」とのことですが、ジュイスは両親から生まれていないからノーカンってこと?この辺も一緒に解決するといいな。

今回の問題はこっちなので、もともと楓の友人だったらしいくるるの勧誘はあっさり解決すると思いきや……という展開がおもしろい。両親をくっつけなきゃ!問題の前に立ちはだかる否定者が「不貞」なのはもうなにが起こるかわかりやすすぎる。

天下のジャンプでNTR展開が!?と思ったんですが、別にNTR展開くらいはそれなりに発生している印象があります。SAKAMOTO DAYSの四ツ村さんとか……。あれはNTRと言えるのかどうかちょっと微妙なところですが(どっちかというとSBS(最初から僕だけが好きだった))。

そしてここで救う対象が敵として立ちはだかってくる……というのがおもしろい。今までもある展開ではあるけど、ちょっと様子が違う感じがある。

極東ネクロマンス

第8話 掌

扉絵、なんかちょっとシシがおもしろくなってきてるのが愛おしい。無口、または話せないタイプで、薫の父を信頼していた故に薫とは馴れ合いたくないタイプの死霊だと思っていたので、いい意味で裏切られました。

翠の扱う死霊は「軍団」。翠が指揮をとる、楽団モチーフの戦い方がおしゃれ。がこういうタイプのマンガだとキャラクターごとに魅力的な死霊を宛がう必要があると思うんですが、ここで薫や耀司と違ったタイプ、かつ個性的な死霊が出てきたのはいいですね。

さりげなく翠と薫の父との関係性も見せつつ、仲間意識が高まっていくのもよかった。

同時刻、その裏で耀司は龍の痕跡と邂逅し……、という流れですが、サブタイトルが「掌」でここで出てくる痕跡が「龍の掌印」なので翠の戦いよりもこっちの方がメインの回だったのかもしれない。多視点でストーリーを進められるのはW主人公もののいいところですね。

Dear Anemone

最終話 夜明け

最終話ですが、話数的には17話。先週グリーングリーングリーンズが完結したことで予想はできましたが、今回が最終回。いわゆる「おれたたエンド」ではありますが、鉢植の最大の目的であった善生との再会は果たせたので全くまとまらなかったという印象にはなりませんでした。ラストの善生のセリフから、テーマとして「進化を通して見える人間の未来」があったんだろうなと察せられました。やっぱりややSF寄りの話だったっぽい。

ダイジェストで見せてくれたクリーチャーたちは1コマ見ただけで「この相手はどんな生き物なんだろう」と思わせてくれるほど秀逸なデザインだったと思います。絵そのもの、クリーチャーデザインに関しては相当上位の実力を持っている作者だと感じたので、その辺りを活かした次回作があることを楽しみにしています。

バトルものとしては最終回付近でメンバーが揃ってからがおもしろかった、という印象が強く、序盤で戦力が分断されてしまったところがネックになったのかな……、という感じ。おそらくあまり意識していなかったんじゃないかと思うんですが、キャラクター同士の掛け合いが上手く(特に埜色を使って会話を回すのが上手かった)、その辺りに注力した作品も読んでみたいような気もします。

とはいえメンバーが集まるのが遅かったような気がすると言っても、揃ったのは15話付近なので、遅いと言うほど遅いわけでもないんですよね。この辺りは週刊連載、少年ジャンプで連載することの難しさを感じます。

【読切】鬼十郎と姫の龍探し

ATSUX

プレゼント当選者発表ページの後ろにあったせいで、うっかり見逃すところでした。JSFではないのにこの位置に掲載されるのはちょっとめずらしいですね。JSFではないですが、ショートではあるのでページ数の問題かもしれません。

内容としては嫁入り前の姫様とそのおつきの者による短くて濃い冒険譚、できれいにまとまっていた。最後くっつかないんだ……、というところ以外はそこまで特徴的な感じはなかったんですが、あっさりした読後感になったのはページ数が少ないからかもな~というのを過去作を読んで思いました。

2021年3月期JUMP新世界漫画賞を取っている「呪神ミーシャ」は世界観もよかったし、ダークなデザインもいい感じ。これでもまだこの世界観を描ききるにはページ数が足りない気がするので、欲を言えばもっと長い読み切りを読んでみたいと思いました。

ボイコミにはSFものの読み切りもありました。本誌に載った読み切りなのでジャンプ+にないのは残念でしたが、こっちもおもしろかったです。結構作風が幅広いようなので、また他の作品も描いてくれるといいな~。


作者コメント

馬上先生と権平先生が揃って世代の話をしてるのは、前々号辺りにそういうコメントがあったのかもしれない。読んだはずなのに全然覚えてない。

宮崎先生は「ロボコ趣味の釣り回3連弾!」はちょっとやり過ぎたって自分でも思っていたみたいで微笑ましい。結果的におもしろかったのでよかったと思います。

外薗先生の家で作画資料用に金魚が飼われている話が何気に好きなのでもっと聞きたいです。

少年ジャンプ2024年30号 予告

新連載2つ目の「悪祓士のキヨシくん」が表紙&巻頭カラー。キヨシくんのせいではありませんが、コメディ退魔もの連続2inは流石にちょっとびっくりしますね。どんな悪魔もぶっ飛ばす!!!というアオリ文だと、マッシュル-MASHLE-みたいなブラッククローバーなのかな……、と想像が広がります。あとなんか、電子版だとあんまり関係ないけどONE PIECEの掛け替えカバーもついてくるらしい。紙版はそういうおまけがおもしろくていいな。

2024年6月17日 発売
表紙 :悪祓士のキヨシくん
巻頭カラー :悪祓士のキヨシくん
センターカラー :妖怪バスター村上
センターカラー :アオのハコ
センターカラー :カグラバチ

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