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献血にご協力を

「献血にご協力をお願いしま~す」
そうです、アレです。駅前を歩いているとよく聞くヤツです。
毎日募集してるけど、そんなに血液って足りないのか?俺の血なんて使えるわけない、他にも人がいっぱいいるから自分じゃなくても大丈夫。

そう思って、今までスルーし続けてきた人たちが読んでくれると嬉しいです。

なぜ、いつも献血を募集しているのか

いま国内では、定期的な輸血を必要としている患者さんが、1日あたり約3,000人いると言われています。

血液は人工的に作ることはできない

血液は人工的に作ることができず、長期保存することもできません。

代替血液(または代用血液)と呼ばれるものができていますが、これは血液成分の一部を満たすもので、全ての血液成分を満たすものではありません。

つまりナマの血液がないと輸血することができないのです。

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血液の何が必要なの?

血液は、血球成分と呼ばれる赤血球、白血球、血小板と、液体成分である血漿(けっしょう)で構成されています。それぞれの役割を簡単にまとめると以下の通りです。これらの血液成分から血液製剤をつくることができます。

赤血球・・・赤血球に含まれる赤い色素(ヘモグロビン)が酸素を体中に運びます。
白血球・・・免疫機能と呼ばれるもので、体内に異物が入ってきた時に細胞に運んで無害化します。
血小板・・・出血したときに血を止めます。
血漿・・・栄養素、ホルモン、二酸化炭素などを運びます。老廃物の取り込み、排出をします。

血液製剤とは

血液製剤も大きく分けて2種類あります。1つは血液成分製剤と呼ばれる、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤、全血製剤で、これらは輸血用として使われます。

赤血球製剤・・・出血や赤血球が不足しているときに使う(酸素欠乏など)
血小板製剤・・・血小板減少や血小板機能の低下による出血のときに使う
血漿製剤・・・出血した血が固まらないときに使う
全血製剤・・・大量出血などで全ての血液成分が不足しているときに使う

2つめは血漿分画製剤と呼ばれるもので、血漿の中に含まれるタンパク質をさらに細分化して成分を抽出したアルブミン製剤や血友病製剤などがあり、病気治療のためのクスリとして使われます。

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血がクスリになるの?

代表的な例では、がん治療に多く使われています。がんの治療や生命維持に必要不可欠な製剤として知られています。

冷蔵・冷凍しても長持ちしないの?

血小板製剤の保存は20~24℃、さらに振盪(しんとう)状態で保存することが決められています。さらに低温で長時間保存されたものは、止血の効果が低下すると言われています。赤血球製剤の保存は2~6℃と決められていて、血液成分によって管理温度や保存期間が違うことがわかります。血漿製剤は凍結(-20℃以下)で1年の保存が可能とされていますが、血小板は赤血球に比べ生体内における寿命が短く(約10日間)、また保存によって劣化が早いため、血小板製剤の保存期間は採血後4日以内と決められています。

そんなに大量に必要なの?

血小板の保存期間が採血後4日以内、とわかったところでシミュレーションしてみましょう。成分献血は1度行うと次回の献血可能日は14日後です。

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1人分の血小板を1か月間確保するには、実は最低でも4人の血小板成分を献血で確保しなければならないことがわかります。再献血までのサイクルを最短期間でシミュレーションした結果ですので、1人あたりの再献血までのサイクルが長くなればなるほど、1人分の確保に必要な人数は増えていきます。

血小板成分献血は、選ばれし勇者のみが行える

実は、血小板成分献血って誰でもできるわけじゃないんです。
厳しい条件をクリアした、つまり選ばれし勇者のみが行えるといっても過言ではないでしょう。

選ばれし勇者の基準とは

献血基準は厳格に決められていて、同じ人でも体調等によって基準を満たしていない場合は、献血することができません。成分献血は18歳以上、全血献血(400㎖献血)なら16歳以上で献血可能です。ほかにも体重は男性45kg以上、女性40kg以上など、様々な基準があります。詳しくはリンクを貼っておくのでご覧ください。

選ばれし勇者のみが行える血小板成分献血は、血小板数15万/μℓ以上 計ってみないとわからないやつですね。つまり、1回目から血小板成分献血はできない、また血小板数が多めの人じゃないとできないってことですね。

痛いよ!怖いよ!

これだけ書いても「献血なんてやらねーYO!」って人がいます。でもおそらくここまで読んでくれた人って、1回は献血したことがある人か、献血ってどういうものか気になってくれた人ではないでしょうか。そういう人がきっと献血してくれるように正直に書いておきます。

献血は針を刺すから痛いです。しかも検査用と献血用で2回針を刺されます。「痛くないから大丈夫だよ」なんてことは絶対に言いません。どれほどベテランの看護師さんでも痛いものは痛いです。
怖さは何回か経験すれば慣れてしまうのではないかなと思いますが、痛さは何回経験しても慣れる気がしません。

最後に

最後まで読んでくれてありがとうございます。献血についてはいろんな話があるので何度かに分けて書いていきたいと思います。
駅前で「献血にご協力お願いしま~す」って声を聞いたら、この文章を思い出して献血してくれる人が1人でも増えてくれれば幸いです。


いただいたサポートは、日本赤十字社の活動資金に全額寄付いたします。