奎文

北九州門司区生まれ。佐賀県各所にて育つ。 東京都立大学法学部中途退学。八王子をメインに…

奎文

北九州門司区生まれ。佐賀県各所にて育つ。 東京都立大学法学部中途退学。八王子をメインにラッパーとして6年間活動後九州に帰郷。 過去に佐賀新聞社主催エッセイコンテスト大賞等9賞受賞。

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非常識人−第一章・一話−

 AM6:00、iphoneの耳障りなアラームで誠也は目が覚めた。冷蔵庫からブラックの缶コーヒーを取り出し、一気に飲み干す。くたびれたシャツに袖を通し、ネクタイを締める。誰もいない部屋に一人、行ってきます、と小さく呟き家を出る。それが彼の日常だ。  彼−倉本誠也は、大手電波通信事業の営業部に正社員として勤めるサラリーマンである。月収は額面で三十五万円。都内の郊外にて一人暮らし。独身貴族と言えば聞こえは良いが、日々何十項目と更新される本社からの通達に目を通し、新規顧客開拓と既存

    • 非常識人 -プロローグ-

      「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ。」  かのチャーリー・チャップリン氏はこのような名言を残している。  世界三代喜劇王の1人として多くの名声を得るも、彼の生涯は不遇と悲劇に満ちていた。  否、多くの困難から目を逸らさずに生きた彼だからこそ、喜怒哀楽入り混じる人間の感情の「喜」を表現することに一生を捧げたのでは無いだろうか。  生きている限り人間はあらゆる悲劇に直面する。  ①「恋人と別れてしまった…明日から何を頼りに生きていけばいいんだろう…?」  ②「

    非常識人−第一章・一話−