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22年天皇賞秋を振り返る~スズカの再来?大逃げが嵌まった要因~

2012年の話さ。もう10年も前になるのか。いやだね、歳は取りたくないものだよ。

この年の天皇賞秋は天皇皇后両陛下、つまり今の上皇様が観戦した、いわゆる天覧競馬で行われた。1番人気は3歳馬フェノーメノ。

ポイントは逃げ馬シルポートだった

逃げて自分でレースを作らないとどうにもならなかったこの馬は、たまに溜める逃げを打っても何も起きなかったことで、11年~12年頃は大体のレースで飛ばして逃げていた。

前年の天皇賞秋では1000m56.5という信じがたいペースで飛ばして、トーセンジョーダンのレコード勝ちをアシストするなど、この当時のマイル~中距離重賞はまずシルポートがいるかどうか、いるならハイペース耐性があるかどうかを考える必要があった

12年天皇賞秋でもシルポートは飛ばす。前半1000m通過は57.3。前年より0.8秒遅いとはいえ十分速い。超ハイペースと言っていいペースだろう。

このハイペースをラチ沿いから突き抜けたのがエイシンフラッシュだった。ゴール後、ウイニングランから戻ってきた時にデムーロが下馬。天皇皇后両陛下に対して、膝をついて敬礼したシーンは、日本競馬史に残る名シーンだった。

昔話が長くなってしまったな。これは今年の天皇賞の回顧であって、2012年の天皇賞を振り返るコーナーではない。

こんな前振りを書いている以上分かるだろうが、今年の天皇賞、最大のポイントはペースにあったと思う。

前半から飛ばし、中盤を締めて逃げるパンサラッサ、逃げたいバビット、逃げなくてもいいけどある程度前にいたいジャックドール…そこに有力3歳馬3頭と、前年のダービー馬が絡み合うメンバー構成だった。

今改めて考えてみると2012年に構図が似てるんだよな。前半から飛ばす逃げ馬シルポートに、有力3歳馬のフェノーメノやカレンブラックヒル、そして藤原厩舎所属のダービー馬エイシンフラッシュ…

パンサラッサがどれほどのペースで逃げるかにより、好走馬は変わってくる。今年まず最初に考えるべきところだった。

枠順が決まって、最初に目に入ってきたのがパンサラッサ3番枠さ。最近のパンサラッサはゲートを出てからの初動が遅い

今回はメンコを外すタイミングを変えるなどして馬に刺激を与える作戦に出るようだったが、実際それでどこまで序盤行き脚がつくかは、やってみないと分からない。

しかしパンサラッサはとにかく行かないとどうにもならない。中団に控えて切れ味鋭い末脚を伸ばす競馬ができるわけもなく、行き切って持ち味が出る馬。

仮にここ2走のようにパンサのスタートが遅ければ、その分外のほうが速くなるわけで、強引にハナを奪い返しに行くほど脚を使う。内枠を好枠と見るご意見もあったが、少なくともマスクは2枠3番にまったく良さを感じなかった

そしてもう1つ。Twitterにも書いた、『ジオグリフの内にダノンベルーガ、外にイクイノックス』。つまり川田、福永、ルメール、そしてシャフリヤールのクリスチャンが隣同士で並んだのだ。

秋華賞回顧などにも書いたが、上手いジョッキーが並ぶとその分ポジション争いがより面白くなる。天皇賞の行われる東京2000mはスタートしてすぐに2コーナーがやってくるコースで、序盤のポジションが鍵になってくる。

東京2000で、内に有力馬と名手たちが並ぶ展開。2コーナーまでのポジション争いが面白くなるのは戦前から予想がついた

●天皇賞秋 出走馬
白 ①マリアエレーナ 松山
黒 ③パンサラッサ 吉田豊
赤 ⑤ダノンベルーガ 川田
青 ⑥ジオグリフ 福永
水 ⑦イクイノックス ルメール
黄 ⑧シャフリヤール C.デムーロ
茶 ⑨ジャックドール 藤岡佑
緑 ⑩ノースブリッジ 岩田康
橙 ⑫バビット 横山典
桃 ⑬アブレイズ マーカンド
紫 ⑭ユーバーレーベン M.デムーロ

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スタート。懸念されていた黒パンサラッサのスタートだが、今回は出て、そこから加速もそれなりについていた

前述したように、最近のパンサラッサはゲートを出てからの初動が遅い。2歩目、3歩目のスピードが鍵になっていたのだが、ここ2走、宝塚記念や札幌記念より断然スピードに乗っている。

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これは宝塚記念。緑パンサラッサがスタート後100mでもまだ中団くらいにいる。ゲートを出てから接触などがあったにしろ、まるで加速がついていない状況だった。

これを思えば、今回はだいぶ出ている。ゲート前でメンコを取るのではなく、返し馬の段階でメンコを外して馬にスイッチを入れるという作戦は大当たりだった。

面白いよね。メンコを外すタイミングで、スタートの出た後のスピードが変わってくるんだから。生き物が競走する競馬ならではの案件だろう。

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こちらもスタート後。茶ジャックドールが2コーナーに向けて、左前方向に進路を取って走り出している。

東京2000の難点はここで、確かにすぐに2コーナーがやってくる分外枠不利なんだけど、内目の枠の馬は外から締められてしまってポジションを下げることがままある

この時点ですでに赤ダノンベルーガ、青ジオグリフ、水イクイノックス、黄シャフリヤールの4頭が、両脇にほとんどスペースがない。少し間違っただけでポジションを下げてしまう状況になっている

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当然真ん中付近の有力馬のジョッキーたちは、東京2000mというコースをよく知っているから対策を考えている。

たとえば黄シャフリヤールなんかは、緑ノースブリッジ、橙バビットを行かせようと一歩引いて、外が行くのを待っている。

ここでポイントになってくるのは、茶ジャックドールの藤岡佑介もあまり主張しようとせず、外を待っている点だ。

4着ジャックドール藤岡佑「スタートはいつも通りで、先行争いをやり過ごして良い形で前半を入ることが出来て、ペースもこの馬に良い流れになりました

ペースが良かったかどうかはまた後述するとして、コメントからも最初からハナに行く気がない

1勝クラスは2番手から勝った馬なんだけど、その後逃げて自分の形を見つけたことで4連勝し金鯱賞まで勝った馬。ただGIだと逃げるだけでは勝てないということで、前走札幌記念は3番手からの競馬を試したんだよね。

そうしたところ勝ってしまった。『3番手に控えても勝てる』と藤岡の頭の中にこのような意識が芽生える。今回はレース前からハナにこだわらないという意思表示をしていたし、控えたことに関しては特に驚きはない。

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内を見てみよう。2コーナーまでに積極的にポジションを取りに行ったのは青ジオグリフ福永だった。

ジオグリフは前走2400mのダービーで外枠を引いてしまい、前に壁を作れずに折り合いを欠くシーンがあった。今回は距離短縮で2000m。前に壁を作れる6番。ダービーより攻めた騎乗ができる

福永は何よりゲートを出す技術、そこからのスピードの乗せる技術に関して日本トップクラスで、出してポジションを取りにいったのは福永らしい判断だったと思う。

一方、その後ろの赤ダノンベルーガ川田は最初から一歩引いて、2コーナーのポジション争いに参加していない。

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これは今年の日本ダービー。緑ダノンベルーガが、1コーナー前で外から橙ジオグリフに締められてしまっている。

陣営も「外からのプレッシャーが厳しく、馬がプレッシャーを感じとっていた」とレース後話していたように、これまでの春のクラシック2戦、ダノンベルーガは外から締められていたんだよな。

仮に今回スタートから出していって2コーナーのポジション争いに参加したとする。5番枠で外にジオグリフら有力馬のいる状況。どうやっても締められるよね。

春の2戦を踏まえて、最初からポジション争いに参加せず、ポジション争いの真後ろで進路をうかがう作戦に切り替えているんだよな、今回は。

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ハイペースになることはほぼ確実だっただけに、川田のこの一歩引いた選択が間違いだったとは思わない。実際外からプレッシャーをかけられなかったわけだから。

黄シャフリヤールが外から締めたことで、水イクイノックスのルメールが手綱を引く形になっているんだ。ルメールとしてはシャフリヤールをより1頭分外に置きたかったところだろうが、かといってここで強引に体をねじ込むと、馬が傷む可能性がある。

今の段階でイクイノックスは未完成。脚元もまだ怖い状況。強引な動きで馬を壊すのは避けたい。引く形になるのは仕方ない。

一方で赤ダノンベルーガは最初から引いている分、ここで前をカットされたり接触してリズムを崩すことはなくなっている。

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この2コーナーでもう一つトラブルが発生してしまった。緑ノースブリッジの制御が半ば利かなくなってしまったのだ。

画像で分かるだろうか、ノースブリッジの顔が内を向いてしまっている。いわゆる『口が悪い』状態だ。

ノースブリッジという馬は非常に気性が悪い馬で、これまでも放牧に出されず在厩でずっと馬を作っているんだけれど、出していった影響もあってか、ヤスナリに反抗して一瞬ノーコントロール状態になってしまっている

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コントロールが利かなくなってしまった緑ノースブリッジは、そのまま内にいた白マリアエレーナを更に内に押し出すような形に動いてしまったんだ。

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本当に危ないシーンだよ。横から見ていても白マリアエレーナの松山が引いていたから、何かしらあったなとは思ったんだけど、パトロールで見ると思った以上にひどかった。

通常東京の2コーナー出口など、コーナーとの合流点は進行方向にコーナーが続いていない限りロープも張られていない。京都や阪神の向正面で内回りと外回りの分岐点があるだろ、あれは馬が内に進入するのを防ぐためにロープが張ってある。

が、このようにコーナーとの合流点は、進行方向でもないから基本的に馬は内に入っていったりしないんだ。ごく稀に内に入って帰ろうとする馬がいなくはないが、ロープを張るほどでもない。

もうマリアエレーナが完全に内に入ってしまって、あと少しで内ラチに激突する状況になってしまった。これは非常に危ない。

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なんとか白マリアエレーナは戻ってきて、内ラチとの激突は回避されたが、この時点でもうリズムは崩れたわけで、だいぶ危ない。

これに関して、ヤスナリは再来週の土日2日間が騎乗停止になった。まー、当然のごとく過去の行いから『わざとやった』なんていう意見がネット上を飛び交っているが、わざとやっていたら2日の騎乗停止では済まない

そして騎乗停止期間中はエリザベス女王杯。あれだけ世話になっているイズジョーのオーナーさんの馬で臨めるのに、わざわざ自分からフイにするようなこともない。

相手は一馬力だから、どうしても口が悪くなってノーコントロールになる時はある。このレースに限らず、他のレースでもありうることだ。実際今回も口が悪くなって制御できなくなった時、ヤスナリが内を見ている。まずいと思って矯正はしているが、引っ張ってもどうにもなっていない。

もちろんジョッキーには馬を制御する責任がある。ヤスナリは内に斜行したことで騎乗停止の制裁を受けた。これ以上言うことはない。少なくともわざとこんなことをやっていたら、騎手会でも問題になるし今後ジョッキーでいられなくなる。

あやうくノースブリッジも内ラチにぶつかりそうになっている。今後ヤスナリに限らず、全てのレースで似たような事例がないことを願うばかりだ

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外に目を向けると、茶ジャックドールがバビットを行かせて外4番手に近いところを走っている。

その後ろに黄シャフリヤール。シャフリヤールはここまで2コーナーでも極端に揉まれず、それなりにリズム良く向正面に入れたと言っていい。

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ところがここで、黄シャフリヤールが少し行きたがるんだよな。横から見ると、クリスチャンの体が起きている。

前半3F34.7。天皇賞秋が行われる東京2000mはスタートしてすぐに2コーナーに入り減速することから、そこまで前半3Fが速くなることはないのだけど、この34.7というのはここ10年最速過去20年で見ても3番目に速い

その中で少しシャフリヤールが行きたがったのは休み明けの分もありそう。まー、隣にいた青ジオグリフはそれ以上に行きたがっているんだけどね。距離短縮、このペースで行きたがるか。2コーナーで少し接触した分頭が上がっているから、その影響もあるんだろうけど。

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行きたがる青ジオグリフを福永が抑えて、黄シャフリヤールの後ろに入れたんだ。

これにより茶ジャックドール→黄シャフリヤール→青ジオグリフ→水イクイノックス→赤ダノンベルーガという、なんとも豪華なラインが完成する。

よくマスクが『強い馬の後ろは好ポジション』と書いているが、正直みんな強い馬の後ろにいる状況さ。さすがにこのレベルのジョッキーが集まると、強い馬の後ろを逃さないよね。

序盤にツイートであげたように、『福永と川田はシャフリヤールに乗っている』。つまりシャフリヤールが強いことを知っているから、福永がシャフリヤールの後ろに入れる可能性は想定していた。

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ここで気になりだすのはペースさ。

●22年天皇賞秋
12.6-10.9-11.2-11.3-11.4-11.6-11.8-11.6-12.4-12.7

これはいつも、マスクがパンサラッサ逃げと呼んでいる形だ。何度も書いてきていることが、念のために書いておく。

パンサラッサ逃げ
パンサラッサという馬はスタートから飛ばしていき、前半ペースを緩めることはしない。1Fずつ緩やかに落としていき(とはいえ速いが)、残り200mまでに勝負を決めてしまう

●21年福島記念 2000m 1着 前半600m33.6
11.9-10.8-10.9-11.9-11.8-11.9-12.4-12.4-12.1-13.1

これは昨年の福島記念だが、まさにパンサラッサらしい逃げ方だ。中盤まったく息を入れず、残り400m→200mで12.1実際の距離より200m短い設定でレースをやって、早めに勝負を決め、残り200mは惰性で逃げ切りを図る

●22年中山記念 1800m 1着 前半600m35.2
12.7-11.2-11.3-11.1-11.3-11.5-11.6-12.2-13.5

今年の中山記念でも同じことをやっている。序盤から速いラップを刻んで、中盤11.1-11.3-11.5と少しずつ落としながら、ラスト200mまでに勝負を決めた。そして残り1Fは13.5と最後は完全に止まっている。

後続からすると非常に厄介な逃げ方だ。序盤大逃げして、中盤緩む形なら、逃げるパンサラッサと2番手以下の間隔は一度詰まる

ところが中盤息を入れずに飛ばす形だと間隔が詰まらないまま勝負どころを迎えてしまうから、簡単に言うと捕まえに行くところがない

だってそうだろう。パンサラッサは息を入れずに飛ばしていても、後ろは息を入れている。同じように息を入れずに走っているわけではない。後ろはパンサラッサが息を入れるタイミングで間隔を詰めたいが、その機会がないのだ。

並の大逃げだったら残り2F前から止まる。しかしパンサラッサは力があるものだから、残り1Fまで断続的なラップを刻めてしまう。

●22年天皇賞秋 前半3F34.7、前半5F57.4
12.6-10.9-11.2-11.3-11.4-11.6-11.8-11.6-12.4-12.7

改めて天皇賞のラップを見てみよう。序盤から11秒前半を刻んだことで後ろとの差が離れる一方だ。

●22年札幌記念 2000m 2着 前半3F35.5、前半5F59.5
12.6-10.9-12.0-12.1-11.9-12.2-11.8-12.4-12.6-12.7

これは今年の札幌記念。コースもまったく違う、馬場もまったく違うから一概に比較しにくいのだが、前半3Fで0.8秒差なのに、前半5Fでは2.1秒も違う

札幌記念は回顧にも書いたように、重たい馬場に加えてスタートからの奪取もつかなかったことでいつものパンサラッサ逃げが打てなかった。パンサラッサにしては遅いペースって書いたら『ハイペースですよ』ってご意見をいただいたんだけど、改めてこのラップを比べると、札幌記念は何もできていないことが分かる

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この600m→1000m区間を緩めず飛ばしたことで、黒パンサラッサと橙バビットの差は一気に開いてしまった。

これで離れた2番手のバビットが『実質的な逃げ馬』の立場になる。バビットとしては周りに馬がいない状況が作れればいいから、正直これでいい。もちろん後ろはバビットに動いてほしいが、自分の形ができてしまったバビットは動かない。別に速い逃げを打ちたい馬でもないしね。

すると後続の頼みの綱は3番手のジャックドールになる。

●22年白富士S
12.8-11.3-11.8-11.8-11.7-11.8-11.5-10.9-11.4-12.4

これは今年の白富士S。ジャックドールが逃げ切ったレースだ。ジャックドールは確かに前走札幌記念で控えて勝っているのだけれど、勝ちタイムは低調だったんだよね。

逆に白富士Sはペースを落とさずにレースを進めて好時計が出た。バビットに付き合ってゆったりした流れで運んでも持ち味は生きない。

ただ白富士Sに騎乗しているのも藤岡であるように、この馬の特徴、長所を一番理解しているのは藤岡だ。パンサラッサをフリーにして、自分はゆったりした流れで入ったのには当然理由があると考えられる。考えられるパターンは2点。

●ジャックドール藤岡の思考
1.後ろに強力な差し馬が多い
2.そもそも馬のデキが微妙で攻めた騎乗ができない

1.に関してはまー、気持ちは分かる。確かにパンサラッサを自由にはできないが、それ以上に後ろにはシャフリヤール、イクイノックス、ジオグリフ、ダノンベルーガと強力な差し馬がいる。

仮に自分が前を捕まえにいく役割となって早めに動いたとして、するといい目標になってしまうんだよな。動きたくても動けない心理としては分からんでもない。

加えてジャックドールという馬はそれなりにいい脚が長続きするが、トップスピードの区間自体はそこまで長くなさそうな馬。前を追いかけていくと脚がなくなるのでは?という懸念が藤岡にあったとしても不思議ではない。

問題は2.だ。正直今回のジャックドールのパドックがいいとはとてもではないが思えなかった。

レース後藤岡が「コンディション的にまだ上がり目がありそう」と遠回しに絶好のデキではないことを示唆しているんだけど、ジャックドールは先週バリバリ調教やったら反動もあって、先週日曜、ちょうど1週間前に時計を出せず、いわゆる『追い切り飛ばし』状態になってしまったんだよね。

だから最終追い切りもそこまでハードな内容にはなっていない。1週前水曜にしっかりやって、1週前日曜にも時計を出して、当週水曜追い切るというパターンが崩れてしまった。

今年大阪杯は使えたものの、元々1戦使うごとに反動も大きく、だからこそ間隔を開けて使っている馬。調整失敗気味の内容で出てきてしまい、藤岡も攻められなかった可能性は高い。

まー、だからといって後ろを待つのもどうかと思うがね。57秒で入ってパンサラッサについていけとは言わんが、上がり3F33.5を使って4着というのは持ち味を生かしたとはとても思えない

1000m通過は2番手バビットで60秒を少し切るくらい。まー、普通に緩い。インの好位にいるノースブリッジも序盤あれだけコントロールが利かなかったのに無理はできない。動かない。

藤岡はレース後「ペースもこの馬に良い流れになりました」と話しているが、これまで数字が出たレースは大体もっと流れている。

まー、そもそもバビットがもっと追走してくれたら状況は変わったんだろうけど、屈腱炎明け2走目の馬で強引な競馬をするジョッキーではない

後続にとっては2、3番手の並びが悪過ぎた。決してパンサラッサを侮っていたわけではないんだろうけど。パンサラッサにとっては札幌記念がいい目くらましになったとも言える。後述。

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3コーナー前、上手かったのが水イクイノックスのルメールだ。

ペースの話をする前、向正面の並びを覚えているだろうか。シャフリヤール→ジオグリフ→イクイノックスだったはずだよ。

ところがルメールは、青ジオグリフの後ろを捨てて、桃アブレイズの真後ろに入ったんだよ。考えてみてくれ。『強い馬の後ろがいいポジション』なんだ。

アブレイズが弱いというわけではなくて、客観的に見て、アブレイズとジオグリフどっちが強いかと言ったら、それは後者だろう。なのにジオグリフの後ろを捨てたのだ。

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ルメールのこの行為に意味があると気づかされるのは3コーナーになってからだ。桃アブレイズが少し前に出ているんだよ。シャフリヤールの横に近づくくらいまでね。

パンサラッサが大逃げしていて、2番手以下がそこまで速くないことは天皇賞に乗るレベルのジョッキーなら分かっていたと思う。6着カラテの菅原明良くんも「2番手以降のペースが上がらず思ったよりスローな感じでした」とレース後話している。

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桃アブレイズが動くことで、その後ろの水イクイノックスのポジションは1列上がる。

仮に青ジオグリフの後ろのままだと、赤ダノンベルーガのポジションに水イクイノックスがいたことになる。すると外からユーバーレーベンにまくられて締められていたかもしれないし、緩い流れで身動きが取れなかった可能性すらある

ルメールはそれを読んで、あえて力の劣るアブレイズの後ろに入っていったんだよな。仮に下がってきても、外に逃げ場がある。ペースが上がらない状況、アブレイズが下がってくるまでそれなりに時間があると読んでいた可能性もある。

ほんの1つの動きだが、ルメールはこの手の先読みが本当に上手い。秋華賞のムチの動きといい、前の馬の動きをよく見ているから常にリスクの少ないポジションにいるんだよね。これぞルメールという動きだった。予言者ルメールと言ってもいい。今宗教が騒がれているからこれ以上は書かん。

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4コーナー。改めて見てもこのパトロール、これだけ見るとバビットが逃げて馬群が一団になっているレースとしか思えんな。

注目したいのは赤ダノンベルーガの進路取りだ。セオリーだと、水イクイノックスの真後ろをついていく形がベストになるかもしれない。

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ただ仮に水イクイノックスの進路の後ろを通るとなると、紫ユーバーレーベンをどうにかしないといけなくなる。

青ジオグリフの手応えがあまり良くない以上、その後ろに居続けていいこともなさそうだが、一瞬赤ダノンベルーガの川田は内に行くか、外に行くかを考えたと思う。

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仮に水イクイノックスの後ろに入りにいくとすると、確かに進路は開く。ただイクイノックスの作った進路を通るわけだから、イクイノックスより後手に回っている進路でもある

加えてイクイノックスの上がり3Fが32.7であることから分かるように、2番手以降はそこまで速くないペースでもあった。速い上がりを問われるのは赤ダノンベルーガの川田も分かっている。

外に持ち出すこと自体がロスになる可能性があるわけだ。

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そこからの赤ダノンベルーガ川田の判断は早かった。選んだ進路はイン。マリアエレーナの左から抜きに掛かったんだ。

東京競馬場は今週からCコース変わり。相変わらず差しも入ったが、日曜の6レースで2番エターナルタイム→3番サイルーン→1番ヴルカーノと内枠ワンツースリーだったように、ラチ沿い1頭分以外なら内もいい馬場だった

よく見たらパンサラッサは1頭分だけ開けて走ってるんだよな。ラチ沿いだけはちょっと怪しかった。吉田もしっかり見て逃げている。

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普通なら白マリアエレーナと橙バビットの間のスペースを通しそうなもんだが、川田の思考は違った。

よく見るとマリアエレーナの松山は右ムチを叩いているんだよ。するとマリアは橙バビット側に寄ってきて、ここの進路が狭くなる可能性がある。

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だから赤ダノンベルーガの川田はもっと内に行って、橙バビットの内から抜きに掛かった。内ラチ沿い以外はいい状態のインだけに通れる状況。

もちろん結果論ではあるが、外を使っていたとして、3着があったかどうかは疑問なところ。ロスを最小限に抑えた直線の進路取りだったと思う。

まー、ここまで反応できたのは道中緩めの流れの中で、後ろで脚を溜められたからという話ではあるんだけど、仮にスタートから出していたらどうなったか。

序盤外から締められた可能性のほうが高いだけに、出さずに溜めたのは正解だったようにも思う。もちろん川田はこのメンバーで2番手以下がここまで流れないとは思わなかったろうが

川田はレース後「これまで乗せて頂いた中で一番具合も良い」と言っているのだが、これは若干疑わしい。詳細は書けないが、ダービー後故障で休養して、ネジ締めなおしてなんとか間に合った状況。ここを使ったことでより上の段階に持っていける可能性はある。

まー、致命的に右トモが良くない馬。実際今日のパドックもバランスの悪い歩き方になっていたため、ここから来年年明けまでのビッグレースが右回りばかりなのはネック。ジャパンCは左回りだが、反動を考えると使える気がしない。

すると有馬か香港。有馬は一周半コースでコーナーが増える分、右トモに負担が増す。正直ちょっと使いづらい。すると香港だが、香港はレース前の獣医師検査が厳しい。毎年引っかかる馬がいるのにダノンベルーガが通る可能性はそう高くはなさそう。

舞台設定的にドバイを使いたいだろうが、それまでどうするか陣営も頭を悩ませそうだね。大きく離れた馬がいるレースに対応できた点に驚いたが、馬群も断続的に流れるようなレースに対応したわけではなく、『能力があることを再確認した』以外の収穫がそうなかった。


逆に2着パンサラッサは収穫のある多いレースだったと思う。ここ2走スタートしてからの脚が致命的に遅かったのだが、その理由が気合不足であり、早めにメンコを取ると解決できることがこのレースで分かったことは大きい

●22年天皇賞秋
12.6-10.9-11.2-11.3-11.4-11.6-11.8-11.6-12.4-12.7

1000m通過は57.4。速いには速いが、パンサラッサとしては驚くほど速い数字ではない。57.4が驚くほど速くない馬なんて過去にそういないんだけどね(笑)

札幌記念の回顧で『パンサラッサの場合は道中かなりペースを締めるタイプ。序盤楽に行けないと、あとで借金として自分の身に降りかかってくる』と書いたのだが、まさにこれ。ここ最近より断然、スタート後のダッシュがついたことが全てだった。

札幌記念後に吉田豊が「3~4コーナーでもう少し突き放していきたかったです。そこでセーフティリードが取れていれば良かったです」と言うように、直線を向くまでにいかにアドバンテージを稼げるかがこの馬の勝負所。

ラスト1Fはどうやっても止まる逃げ方をするから、その前にレースを決めておく必要がある。後ろについてこられるとラスト1F止まったところで逆転されるんだよな。

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上が圧勝した今年の中山記念で、下が2着だった札幌記念。やはりこの馬は直線を向くまでにいかにリードを広げられるかという馬。

それだけに今回、2番手バビットと3番手ジャックドールが全然ついてこなかったのは吉田豊にとって大ラッキーだった。だって、パンサラッサのやることは変わらないわけで、他の先行馬2頭がついてくるかどうかはノリさんと藤岡の思考次第だろう?これはもう運もある。

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まー、確かにバビットもジャックドールもここまで離れちゃうと動きづらい。最初からもっとついていくべきだったんだけど、それはもう結果論。

そもそも『ついていくと潰れる』と後ろに思わせられる馬は少ない。それこそ過去に日本競馬に何頭いたんですかっていうレベルさ。実力がなければこの形にならない。

そういう意味ではやはり前走の札幌記念がいい隠れ蓑になったと思う。ペース的には全然いつものパンサラッサ逃げが打てていないのだが、あれで捕まったことで、前へのマークは間違いなく薄まった。

あとはやはり後ろのメンバーが強力だったことも大きい。早めに動くと目標にされるし、周りも強いから、どのジョッキーも『誰か動いてくれ』という思考になる。

大逃げは自身の力があることに加えて、2番手以下が離れ、動かないことが嵌まる条件の一つなのだが、宝塚記念、札幌記念と自分の形を作るのに手間取ったことがむしろ今回に繋がった。

放牧先から栗東に戻した時にダメージがあって、そこから急ピッチに作り直して迎えた今回。パドックはいい時のものではなく、返し馬のフットワークもいつもより小さかった。そりゃこのデキで2着に粘ったら、矢作師もレース後「次の香港は勝てます」って言うわ。

●22年天皇賞秋
12.6-10.9-11.2-11.3-11.4-11.6-11.8-11.6-12.4-12.7

このデキで57.4を踏んでラスト12.7でまとめられる馬はそういない。それこそ中間順調に運べていたらこのラスト1Fはより短縮できたのでは…という気すらするが、それはタラレバ。現状の状況でここまで走ったパンサラッサを称えるレースだと思う

11.8の後に一度11.6を刻んだ点にも注目している。中山記念などがそうだが、この逃げ方だと残り2、3F目で一度ペースを上げるのが難しい。たかが0.2秒、されど0.2秒。ここで12.0だと4着以下だった。勝負の分かれ目の11.6だったと思う。

サイレンススズカとの比較が話題になったが、これはちょっと比較にならないかな。サイレンススズカも、パンサラッサも、それこそシルポートやツインターボも、これまでの大逃げ馬たちはそれぞれ息を入れるポイントが違うし、馬のタイプも違う

これはTwitterにも書いているが、パンサラッサがサイレンススズカに劣るっていう話ではなく、逃げ方が違うわけで、単純比較ができないんだよな。

これは今年の天皇賞秋の回顧だから割愛するが、それこそサイレンススズカのラップは今見ても信じがたいもの。パンサラッサともまたタイプは異なるだけに、令和の…という書き方はしたくない。パンサラッサはパンサラッサでいいじゃないの。夢を見る気持ちも分かるけどね。


4着ジャックドールはもうだいぶ書いたから、今改めて書くことはそうないかな。やはりこの馬は逃げてこそ。札幌記念も控えて勝ったが、勝ち時計は同日の牝馬限定1勝クラスより1秒速いだけ。

ジャックドールの部分で、『ならこの形がジャックドールのポテンシャルを最大限に引き出せるかというと、それは違うと思うね。実際これまで逃げて勝った時より数字が弱い。

一度こうやって成功例ができた以上、天皇賞秋では番手以下に控えるプランを試してくる可能性は十分ある。札幌で、数字がそんなにでもないレースで成功しても、高速馬場の天皇賞で同じことが成功する可能性は低いと思う』とマスクは書いた。

いいこと書くやんマスク…とちょっと自分で思ったりもしたが、正直この通りだったと思う。やはり成功例もあって藤岡は今回も控えたが、控えたジャックドールに怖さがない

逃げて後ろを潰すような乗り方をしていた時のジャックドールのほうが怖かった。実際数字もそちらのほうが出ている。もう一度逃げの手に戻してほしいのだが、控えて勝っちゃった成功例があるからね、当分変わらないかな。

何よりこの馬は1戦使うごとの消耗が激しい。次香港で、その次はもう来年春だろう。香港も大阪杯も右回り。左回りのほうがよりいい馬。逃した魚は思った以上に大きいのではないかな。


5着シャフリヤールはデキ自体は良かった。一回り成長して幅も出ている。この馬は小柄でパワー不足のシルエットが課題だっただけに、これはいいこと。

この馬はちょっと好走レンジが狭いところがあって、今回は上がりも速過ぎた感じはあるね。勝ったイクイノックスが上がり3F32.7で、3着ダノンベルーガが32.8。

●シャフリヤールの好走レース 残り1000mのレースラップ

・21年共同通信杯 3着
12.3-11.9-11.5-10.8-11.5

・21年毎日杯 1着
11.7-11.9-11.5-11.2-11.7

・21年ダービー 1着
11.7-11.4-11.5-10.8-11.6

・21年ジャパンC 3着
11.6-11.7-11.6-11.5-12.2

これは昨年のシャフリヤールの好走したレースの、後半1000mのレースラップ。残り800から11秒台だった共同通信杯が3着なのに、11秒台がずっと続いた毎日杯、ダービーは勝っているんだよね

今回もそうなんだけど(笑)、2番手以下はこのような持続戦にはなっていなかったのではないかな。だからこそイクイノックスあたりが32秒台で上がっているわけで。こうならないレースのほうがシャフリヤールは良さそう。

クリスチャンもレース後「休み明けのせいか反応がジリジリした感じでした」と話しているが、休み明け以上にレースラップの問題があると思うんだよね。

ジャパンカップは厳しいレースになりやすい。もちろんたまに上がり勝負になることもあるのだが、厳しいレースになるほどいいかも。まー、今2400が長くなってきている可能性もあるが。

次はたぶん藤原厩舎恒例の渾身の仕上げが待っている。単純にパドックが楽しみ。藤原厩舎のGI仕上げは見るだけで幸せな気分になれる


6着カラテも仕上がりは良かった。さすがの名人芸。担当さんが上手い。2番手以下も流れる2000だとこの馬には長かったかもしれないが、2番手以下が流れず直線スピードが問われたこと、そして内をロスなく立ち回れた分の6着。

このレースを見ちゃうともうマイルは短いね。基本は1800かな。中山記念で狙うのが無難なんだろうが、12月、1月の2000m重賞を使ってきたらペースによりそう。蹄が慢性的に難しい馬。無事ならまだまだやれる。

7着マリアエレーナは2コーナーの不利が痛過ぎる。それでもそこからロスなく立ち回ったとはいえ、上がり3F33.5を出してよく伸びている。

本当に強くなっていて、一周の2000~2200ならどこ使ってきてもマークしたい。エリザベス使っていれば勝ち負けまであったかもね。今日もデキは良かった。小柄なのにそう見えさせないのがいいところ。

8着ユーバーレーベンは札幌記念よりだいぶ良くなっているが、まだまだいい時のユーバーではない。馬体はもっと良くなる。仕上げにくいだけにあと1か月でどこまで良くなるか。そして馬群の中に入れず外を回すしかない点は今後も付きまとう。差し馬場の2400を待ちたい

9着ジオグリフはレース後福永が「スタートを上手に出て、シャフリヤールを見る形でいいポジションで運べた」と言っているように、ポジション自体は良かったと思う。そこからがね。

福永は「速いタイムの2000が合わないのかな?」と言っているが、この馬には上がりが速過ぎたように思う。もう少し上がりが掛かる一周2000以下なら楽しめそう。来年の中山記念は楽しみ。大阪杯はメンバーによる。

今日は+14kgの506kg。気持ち緩かったが、ほぼほぼ成長分。お尻周りがパンプアップしていて確かな成長を感じさせる馬体。予定通りであれば次は香港。滞在右回りで少し上がりが掛かることを考えると楽しみはある。

13着ポタジェはワンターンでこの手のヨーイドンの上がり勝負が苦手だから参考外。レース後隼人も「ワンターンより、コーナー4つの方がいい」と言っているように、コーナー4つでもう少し流れる2000がいいね。

まー、GI勝っちゃったからハンデ戦も使いづらいし、当分好条件がないんだけど。逆に言えば宝塚は夏バテ、毎日王冠はそう仕上がってない、天皇賞は上がり勝負と、毎回敗因はある。オッズは溜まっていきそうで、もう少し寝かせて温めたい。


さて、最後に勝ち馬イクイノックス。

決定的な勝因は2番手以下が緩かったことに尽きると思う。上がり3F32.7、実質残り3、4Fの上がり勝負になったことは大きかった。東スポ杯で32.9を使って差し切っているように、『自分の土俵』にペースが入ってきたと考えたい。

もちろん道中指摘したように、ルメールの先読みによる1列上げなど、細かな好騎乗も勝因の一つ。そしてダービーで16番手と序盤ハミを取らずに置いていかれていた面がなくなっていたことも勝因の一つ

たぶんダービーであそこまでハミを取っていかなかったことは陣営としても大きな誤算だったと思う。中間調整で矯正した効果が早速出ていた。本当にこの馬は折り合いもつくし賢い。

まー、今回実質上がり勝負だったことで、断続的にペースが流れるとどうなるのかという疑問はまだ残った。これに関しては今後の課題になってきそうな部分だ。

この馬の最も衝撃的な点は馬体なんだよな。横から見ると背も高くて好馬体なんだけど、前から見るとまだまだ全然細い。筋肉量が足りてないんだよね。それこそ父キタサンブラックと比べられないほど。

その状況下で、キャリア5戦で天皇賞を勝ってしまったんだから本当に能力が高い。春より成長していたものの、まだまだ未完成。7割も完成していないのでは?と思うほどだ。母シャトーブランシュも4歳夏から良くなっていった馬。ここから先、完成したらどんな馬になるのか、これはもう楽しみしかないね

次は有馬記念が予定されている。今度はタイトルホルダーという強力な先行馬が出走予定だが、中盤緩んで4F勝負という形になれば、斤量差も生かして再度勝ち負けに加わってきそうだね。身体能力に体が追いついてきていない現状だけに、とにかく無事に過ごしてほしい

しかしシャトーブランシュの繁殖能力がここまで高いとは思わなかった。現役時代も能力の高い馬だったが、正直圧倒的に予想以上の繁殖成績さ。

ミスビアンカが準オープンまでいって、ヴァイスメテオールがラジオNIKKEI賞を勝ち、イクイノックスは天皇賞馬になってしまった。

今年の6月1日、1つ上のお兄ちゃんであるヴァイスメテオールが、美浦ウッドで追い切った直後に故障。球節の開放骨折で亡くなってしまった

ちょうどマスクもこの日仕事でいたんだけれど、最初ヴァイスが故障したとは思わなくてね。調教時のパンクで亡くなる馬はいる。いつ体験しても辛いものだが、担当さんなどより近くにいる人たちの悲しみは俺らの比ではない。

それこそ兄貴を管理していたのも木村厩舎。期する思いは少なからずあっただろう。

これからという時に亡くなった兄貴の思いも背負って、なんてことは言わないけどさ、天皇賞の直線、大外から伸びてきた白い流星を見て、一瞬兄貴の姿がダブったのは俺だけではないと思うんだよね。


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