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#ファンタジー
山門の狸: 普音寺にて
夢の中でわたしは狸だった。まだ小さな子狸で、口に小判をくわえ、長い長い石段を見あげていた。はるか上に山門が見える。
山門は開いている。
けれど遠い。白い雲が青い空に浮かんでいる。どこかでひばりの声がする。
- 最後の最後にまた難関かよ。
天竺に続く道ってのはやけに遠いもんなんだ。
夢の中の私はなぜか東(あずま)訛りで、山門をしばらくじっと見上げていた。秋口の暖かい日差しに浮かび
夢の中でわたしは狸だった。まだ小さな子狸で、口に小判をくわえ、長い長い石段を見あげていた。はるか上に山門が見える。
山門は開いている。
けれど遠い。白い雲が青い空に浮かんでいる。どこかでひばりの声がする。
- 最後の最後にまた難関かよ。
天竺に続く道ってのはやけに遠いもんなんだ。
夢の中の私はなぜか東(あずま)訛りで、山門をしばらくじっと見上げていた。秋口の暖かい日差しに浮かび