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受け継がれる色節の記憶

『どんな写真を撮りたいですか?』

お宮参りの撮影を依頼したカメラマランから、そう尋ねられて驚いた。こちらは指示されるままにポーズをとるだけと思っていたからだ。そんな時、目に留まった古い写真。

私は、実家のある大阪府で里帰り出産をした。娘に着せる晴れ着は、母が丁寧に手入れしてくれていた38年ものの晴れ着で、参拝先も同じ。家族写真のほか、私が赤ん坊の頃の古い写真と同じ構図の撮影をお願いした。

お宮参り当日は、初夏の日差しが眩しいほどによく晴れた。

現在、私たちは東京都で暮らす。わが家に飾るお宮参りの写真には、両家の祖父母、夫と私、娘が揃う。娘は、毎日写真をみながら、なかなか会えない祖父母に「じーじ、ばーば」と話かける。この写真は娘の、古い写真と同じ構図の写真は私の、宝物だ。

いつか、写真では伝えられない記憶を娘に話してやりたい。娘がどれだけ小さく愛らしく、初夏の日差しに負けないほどに、輝いていたかを。

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