AIS(船舶自動識別装置)について

そもそもAISとは?

AIS(Automatic Identification System)とは、船舶自動識別装置のことです。船名、位置、針路、船速、行き先などの船舶のデータを船舶同士が自動的に電波で送受信し、周辺船舶の動静を把握するための装置です。船舶の衝突回避などを目的として、一定の船舶への搭載がIMO(国際海事機関)により義務付けられています。

IHIジェットサービス(以下、IJS)は、国内の船舶位置情報サービスの大手企業です。2017年6月、IJSは、AIS衛星による船舶位置データの最大大手プロバイダーであるexactEarth社(本社:カナダ・オンタリオ州,以下「eE社」)と日本における販売代理店の独占契約を結び、AISサービス提供を本格的に開始しました。

IJSは、国内海上保安庁や開運関係会社むけにカスタマイズし、衛星情報サービスを提供してきています。海洋監視システムや衛星データをオーバーレイした海域の情報収集、分析を行える基盤システムとなっています。

https://www.ihi.co.jp/ijs/business/satellite/

さらに、2021年1月IJSとオーシャンコマースは、コンテナ船の現在と過去数年の運航実績データの提供を開始しました。オーシャンコマースがもつスケジュールデータとeE社の船舶位置データを組み合わせ、IJSが開発したISを組み込んだソフトを開発するとのことです。

eE社は、2009年設立されたAIS関連情報サービス企業であり、16年の売り上げは1890万カナダドル(約16億8300万円)だ。同社が第2世代のサービスとして現在進めているのが、「exactViewRT(RealTime)」と呼ぶ、全世界のAIS関連情報をほぼリアルタイムで提供するサービスだ。そのために必要となる衛星インフラは他社との提携で構築を進めている。具体的には、米Iridium Communicationsが配備を進めている次世代通信衛星システム「イリジウムNEXT」に「exactViewRT」サービスを行うためのペイロードを載せる。このペイロードの設計、製造、運用を行うのが通信・情報企業の米Harrisだ。すでに4機が運用されていたが、8月末に新たに5機が加わった。(ITmediaビジネス)

近年、AISサービスといえば、米・サンフランシスコに本社をおくSpire Global, Inc.だろう。伊藤忠商事が出資した実績がある。

Spire社は約5kgという超小型衛星を自社で設計・製造し、今年5月には100基目の衛星を打ち上げ、軌道に乗せることに成功しております。Spire社の衛星は宇宙空間での信号受信に特化しており、全世界の航空機のステータスデータ、船舶のステータスデータ、大気の状態を観測するGPS掩蔽データの3種を取得しており、データの解析が日々行われております。特にGPS掩蔽データは、次世代の高精度な気象予報として、農業、建設、リテール、エネルギー、災害等の様々な領域での活用が見込まれております。今後Spire 社はさらに衛星を打ち上げ、取得データ数を増やし、ビッグデータ化することによって、多くの解析に役立てていく予定です。
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2019/190925.html

さらに、SpireはSARを活用して違法漁船の検出にも取り組みます。

小型衛星を開発しているICEYEと、船舶の位置情報(AIS)を衛星で受信・提供しているSpireが協力し、違法操業を行っている船舶を検出することを試みる、という発表がありました。SAR衛星は海上に浮かぶ船舶を検出しやすいという特徴を有しています。特に、ICEYEが開発している衛星は、3m程度の解像度なので、どのような船舶なのか、ある程度類推可能と言われています。つまり、漁船がどこにいるのか、ということがある程度把握できるのです。


参考
総務省電波政策2020懇談会 制度WG
https://www.soumu.go.jp/main_content/000404466.pdf
日経経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP449037_T20C17A6000000/
日本海事新聞
https://www.jmd.co.jp/article.php?no=264129




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