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有事の際には

〜阿蘇中岳大規模噴火〜
 3分間の昼ニュースの送出を担当している。3分といえども生放送であり、本番中何が起こるかわからない。

火災が発生したり、事故が起きたり、地震だって起こるだろうし、でもめったにその3分を目掛けて何かが起こることはほぼ無い。ほぼ。何かの速報が入っても、よほどのことがない限りは、この枠は確定(決まった時間)でもあり既存のニュースを続ける。でもその可能性はゼロでは無い。

そのゼロでは無いが、今日起きた。

「ピピピッ♫」

速報を知らせるジングル 

「え?!速報?何?」

「阿蘇噴火!かなり大規模な噴火です!」
と同僚がサブに走り込んで知らせてくれた。


ん〜?大規模?!じゃぁ触れるの? (ニュースにいれるのか?)
火の国熊本の阿蘇中岳大規模噴火。
ニュースとオンタイムで。
まさにピンポイントでそこを目掛けて来た!
阿蘇山…

マジですか?!  
入れる?読み上げ?えー?!
「次飛ばして阿蘇やる!」
前項目をやっている最中のデスクの判断。
もう前項目のVTRも終わる。

原稿あるの?!情報ある?読めるの?
キャスター話せる? 

原稿入った?

じゃぁ、ひとまず、
スタジオ降りて!その後阿蘇の情報カメラ…

スタジオに降りるよ!はい!
キャスターに降りる。
キャスターがしゃべり始め、情報は?!
情報カメラへ行くよ。ん?
阿蘇の情報カメラは?!どこ?

阿蘇カメラ? 
ダイレクトに叩ける位置に! 
無い?!
えーーっ!!どうするぅ?

阿蘇!阿蘇!っ!阿蘇カメラ!

小川さん頑張ってぇ〜! 

阿蘇カメラ!じゃぁこっちで!
技術さんが立ち上がってスイッチへ

阿蘇カメラ乗るよ!乗ってぇ!!
離れた位置のスイッチを押してもらう。

はい、乗った!
画面は阿蘇の情報カメラを映している。 
モクモクと噴煙の上がる火口周辺。
キャスターは情報を読み上げる。 

残り35秒?!

キャスターのいぶし銀の安定感が
少なからず慌てそうになる刹那の時間の 
高揚感を救う
スーパーは?
どこに入ってる?ん?どこ?

あった!ハイ!スーパーオン!
『速報 阿蘇中岳大規模噴火』

残り10秒!頑張れ! 
ここまでほぼ1分ちょっとの出来事。 

有事の際には、とにかく先に先に、映造りを考えながら時間は過ぎる。

次に何を持ってくるか考えながらの作業となる。声をかけあい確認しながら。 

 ローカルニュースでの直接のカットイン(予定を変えて他のニュースを入れ込む事)は、10年以上やっていて初めてだったように思う。特に枠が確定になってからは。

①残り尺
②キャスターに降りれるか
③次の映造り 
④スーパー(字幕)の有無
⑤時間読み上げ

有事の際には 
落ち着いて、全集中で切り抜ける。 
大事なこと、ドキドキは隠して。
大きな声も柔らかく。周りの人をあおらない。落ち着いて全集中で。水面下の準備を万全に。そしてキャスターに任せる。キャスターにも、こちらは任せてという気持ちで。

終わったら無事に放送出来た感謝を、まずはスタッフみんなに伝える。誰一人欠けても達成出来なかったこと。みんな頑張った! 

そして、自分に「頑張った」自分で自分を褒めてあげよう。お疲れ様、また頑張ろう。

でも、何が起こるか分からない。今日は阿蘇中岳の大規模な噴火だったけど、また大地震があるかもしれない。

有事の際に大事なことは、冷静に、とにかく落ち着いて、乗り切れないことは絶対起こらないと思う気持ち。頑張れ私。

今回は、熊本地震でも落ち着いた語り口調がで定評のある小川キャスターに支えられ、素早い機転で救ってくれた技術スタッフ、タイトルさん、カメラマン、支えてくれたすべての人に感謝して。 
ありがとうございました。
読んでいただきありがとうございます❤️
2021.10.20

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