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射幸心で覚える外国語:Duolingoを30日続けられた理由と日本で流行らない理由

私は勉強が趣味であるが、最近になってようやくジンメルとウェーバーの社会学論文を原文で読みたいという欲求が高まってきたのでドイツ語をやることにした。そのために巷で流行っているらしいDuolingoというアプリを続けてみたところ、これが思いのほか優れていたので紹介したい。ちなみにDuolingoは課金することもできるが、無課金でプレイしていてもまったく問題は感じない。課金しても無双できるわけでもなく結局勉強が必要となるわけだし。

Duolingoが日本で流行らない理由

以上です。

英語版Duolingoでドイツ語が1ヶ月続いた理由

なので以下は英語版に限定した話である。

Duolingoを続けて感じたのは、射幸心(向上心と言ってもよいが)をくすぐるのが非常に上手く、ゲームとして快適に気持ちよく勉強を続けさせてくれる、ということである。

これは重要である。何故ならなかやまきんに君がよく言っているように、初心者のうちは気持ちを切らさないことが一番大事であり、それこそが一番のハードルなのだから。

考える前に指を動かす:スマホゲーの利点

UIも講座の構成も素晴らしく、語学においておそらく重要であろう反射神経を退屈抜きに鍛えることができる。英語とドイツ語は語順や品詞など基本的な部分がよく似ている(日本語と比べれば)ので、"Ich bin"という文字列を出題されたら、その後何が言われているかを気にする前にまず"I am"と答える、という攻略法が有効である。こうした反射神経は、より多くの経験値(後述)が得られるタイムアタックモードでとりわけ鍛えられる。

さして速くも見えないだろうが本人は限界まで急いでいる

ミスするとラッキーと思える

Duolingoはスタミナ制を採用しているが、最初はともかく途中からはスタミナが余りがちになる。人間の性質としてスタミナが余っているとゲームをプレイせねばならない気持ちになるが、ここでいうゲームプレイとはすなわち語学学習であるから、スタミナが底を突くことはすなわち勉強からの解放でもある。そうした状況においてミスは、半分喜ばしいものですらありうる。少なくともミスで不要なストレスを感じることはあまりない。よくできていると思う。

30人クラスで努力を競う

Duolingoはスマホゲーらしく対戦要素もある。以下のリーグというものがそうだ。細かい仕様までは確認していないが、基本的には30人がひとリーグとして集められ、1週間後時点で上位数人に入りリーグ上昇を目指す。逆に下位数人になってしまうとリーグから降格する。

現在8位で、昇格ラインまではあと11XP必要

Duolingoのリーグの面白い点は、各人が学習する言語や進度とは全く関係なく、講座やタイムアタックから得られる経験値(XP)によって順位が測られる点である。同じ言語を同じ進度で学んでいるユーザーを常に準備できるはずもないため苦肉の策でもあるようには思うが、1週間も名前を見ていると何となく語学学習の戦友としてのライバル意識や仲間意識も芽生えてくるので不思議なものである。

このリーグで勝ち上がるためには、一回10XP程度を得られる通常の講座だけではなく、クリアすれば最大40XPを目指せるタイムアタックに挑戦することが重要になってくる。ここも上手くゲームがデザインされているように思う。

一日二回のログインチェインボーナス

さらに経験値を稼ぎたいのであれば、一日二回、各15分間の経験値2倍ボーナスを逃す手は無い。これは朝6時~12時までに問題を解くと、その日の夜の6時~12時までの任意の15分間に使える2倍ボーナスの権利を獲得し、逆に夜に解くと翌朝に権利が得られる仕組みになっている。したがって効率よく稼ごうと思ったら自然に一日30分はプレイすることになる。普通のソシャゲでここまで頻繁なプレイを求められると鬱陶しいが、Duolingoに限っては「勉強の習慣化を促していただいている」という感覚で受け止めることができるのでむしろ好ましい。

Duolingoだけでは十分ではない

以上見たようにDuolingoは習慣化と最初の一歩には非常に向いているが、英語の講座を少し試した限り、これだけでペラペラになるとか、論文が読めるといったことは期待できそうにない。実際、1ヶ月継続時点でジンメルの原文に当たってみたが、「構文は部分的に取れなくもない……かな?」程度で、圧倒的な単語力の不足を感じた(日本語で読んでも大変なので当然ではある)。

ここからr/GermanのWikiを中心に色々調べたわけだが、これが久々に言語学習の楽しさを思い出させてくれた。英語を今より上達しようとするならば「なんかとにかく頑張る」という程度しかないのだが、ドイツ語ならばさまざまなアプリやPodcast、動画や通話など試せることがたくさんある。

その中でAnkiというソフトウエアを見つけ、今のところ続いている。

これはどうやら「アルゴリズムが忘れた頃を見計らって復習させてくれる」単語帳アプリのようで、自分で単語を登録することもできるし、既に公開されている単語集をインストールすることもできる。私はめんどくさがりなので例文付きの基本単語集をダウンロードして使っている。

その他にも字幕付きでドイツ語の動画を見たりポッドキャストを聞いたりもしている。せいぜい3%も分かればいい方だが、それでも知っている単語や表現が出てきたときは嬉しい。自分が学んでいることが宙に浮いた全くの虚無ではなく、きちんと意味のあることであると確認しておくことは、気持ちを切らさないためにも重要であると思う。

結論

Duolingoは多くの語学学習者にとって天啓となりうる――日本語以外なら。

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