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アメリカでの発表に対する考えの話

本日は修士学生たちのディフェンスがありました。Zoomで。

ちなみに、先生はいまだに休暇中のため、ホテルから参加されておりました。笑

コロナ、色々制限しないといけないことが多くて大変ですが、セミナーなどがオンラインになったことは利点の一つですよね。遠方からも参加できるし、何なら自宅からお昼食べながらでも参加できる。

で、アメリカに来てから日本と大きく違うなぁと思っていることの一つが学生の発表についてです。

日本だと、もちろんラボによってスタンスは違うのかもしれませんが、多くの場合、学生の学会発表や修士・博士の発表は先生が手を加えるし、メイン業務の一つだったりします。

私が所属していたラボでも、発表1か月前には初稿のスライドを完成させていました。これを先生に送り、先生がコメントを付けて差し戻す、また直して先生に送る…ということが数回繰り返された後に発表練習を何度かする、という流れでした。

もちろん、これが修士学生の場合は先生に送る前に直属の先輩が見る、という工程が加わります。

だから結構12月1月は先生それにかかりきりになるし、上級生もその発表練習に参加するからかなり精神的に疲れるんですよ。最初のころは一人3時間くらいかかるし。最後の方でも1時間は普通に取られるし、それが連日続くので…。

ちなみに、3月にある日本農芸化学会という学会にはラボのほぼ全員が参加するのですが、その発表練習は大変でした。丸2日全員集合でひたすら発表練習をする。大事なことだと重々承知しているのですが、さすがに精神疲労がすごい…。

一方のアメリカ、というかこちらのラボ、基本スタンスは「これは君の発表」。要するに、自分で頑張れスタイルですね。もちろん、先生はちゃんと見ます。でも、日本にいたときよりも明らかに先生が手をかける比重は少ないですね。

例えば、去年博士をとった学生は、初回の発表練習が5日前。で2回目は3日前に行い、それで本番を迎えました。もちろんスライドを先生に初めて見せたのが5日前です。発表時間は30分で、両練習とも1時間ちょっとで終了しました。

今回の修士の子たちは、直属の先輩に見せたのが3日前笑。ちなみにこれはラボの博士2人と私の3人で発表練習を行い、両方ともスライドの指摘に3時間くらいかかりました笑。さすがに疲れた…。その後、指摘されたことを直して先生と練習したのが発表前日。その後、本番に臨んでいました。

という感じで、日米で発表…というか、発表練習に対する姿勢がかなり違うなぁ思っています。

正直、どっちの方が良い、というわけではないのですが。単純にスタンスが違うだけで、一長一短だと思っています。

今回の修士の子たちの発表、まぁ聞いてて分かり難いところはあるし、ストーリーもうちょっと変えた方がいいなとか思うところはありますが…でも、正直、別に分かるんですよね。理解するだけならその質で十分というか。これ以上忙しい先生が時間を割いて干渉する必要もないのかもしれないと思いました。

その一方、このまま「分かればいい」程度の手の入れ方しかしなかったら、長期的に見て、発表が上達するかどうかはかなりのばらつきがでてくるよなぁとも思っています。本人にやる気とセンスがあれば上手な人の発表を見て学べるのですが、それを出来るかどうかは完全に本人の資質によります。実際自分の発表がどの程度分かりやすいかどうかを判断することも出来ない人もいますし…これはアメリカ人に限らず、もちろん日本人にも言えることですが。

私は発表が上手いことに定評があるのですが(突然の自慢笑)、それは確実に、学生時代にかなり先輩・先生に見ていただいたからだと思っています。

とはいえ、うちのラボにもいつまでたっても発表が分かり難い学生はいたので、結局のところ本人のやる気次第なんですけどね。

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