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呑んで忘れたい6

目が覚めると唇がやけに乾燥している

喉が異常に乾いている不思議なものだ

お酒とは液体であり大量に摂取し水分で

満たされている気にはなるが

エチルアルコールのせいで逆に

水分がなくなっているのだ。

コップ一杯の水を口へ流す

喉から食道へ食道から胃へ水が

走っているのが分かる。

どうしてだろう、このコップ一杯の水以上に

美味しい飲み物などないのに

人は日が沈みだすとお酒を飲む。

時間は14時を過ぎた頃

もうバーのバイトへ行かなくてはならない

時間を無駄に過ごしている気になっているが

かと言って変えようと努力をする気にもなれない。

何も考えずに買ったコンビニのパンと

コーヒー牛乳を摂取し歌舞伎町へ進む

色々あったようでまだ出勤3日目だ

誰よりも早く店に着きスマホをいじる

店長が吉野家でテイクアウトした牛丼を

手にぶら下げながら店に入ってきた

「うす、エレンくん今日さぁ俺ら以外

 全員休みっぽいからよろしくね」

「え、よろしくねって大丈夫なんですか」

「大丈夫っしょ!」

俺の3日目の出勤は2人ですることになった。

ー20時過ぎ

幸いにも今日は暇であった

店長のお客さん2人が滞在してるだけで

俺は適当に頼まれたドリンクを作り

愛想を振りまくだけであった。

「エレンくん、暇だから外出ていいよ」

「え、休憩っすか?」

「いや、新規のお客さんゲットしてくるの」

「いや、そんなのやったことないですよ」

「大丈夫、ナンパみたいなものだから

 数打ちゃあたるよ、頑張って!」

歌舞伎町の道をふらふらと歩く

大久保公園の周りには均等に間隔をあけて

立っている若い女性がいる。

その周りにはおっさんがいる不思議な光景だ。

スマホを触りながら歩いていると

身長5㎝は高くなるであろうブーツを履いている

女性が話しかけてきた。

「1.5kでどう?」

「はい?」

「暇だから・・」

会話にならない、が俺は誘われているようだ

「暇なら俺の店で飲みますか?」

「いくら」

「新規なら1時間1500円飲み放題」

「ちょっと安くして」

「え?聞いてみる」俺は店長に電話した。

「って言ってるんですけど大丈夫すか」

「全然いいよ!」

1時間1000円で行けると交渉したら

その女はついてきた。

「名前は何っていうの?」

「ゆか」

「ゆかちゃんか、歌舞伎町はけっこう来るの?」

「歌舞伎町にすんでる」

「どこ?」

「ネカフェ」

「・・へぇそうなんだぁ・・何歳なの?」

「21」

何かミスったかもしれない。

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