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冷静と勇気

「神よ どうか私にお与えください 自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを 変えられるものは変えていく勇気を そしてふたつのものを 見分ける賢さを」
この言葉を初めて知ったのは、漫画「二ュクスの角灯(らんたん)」(高浜寛作リイド社…名作!)でした。胸に響くいい言葉だなあと心に残った。
その後アメリカのTVドラマ「This is us/ディス・イズ・アス」(NHKでも放映されてた)をDVDで再度観たとき、同じ意味の言葉をお父さんの祈りの台詞に発見。初見では全く気に止めてなかった場面でした。確か、思春期の息子との関係の難しさに悩んでいたときの台詞だったような(記憶違いの可能性あります)。
他にも、作品名等はわからないけど読んだり観たりしたこと数度。すごくポビュラーな祈りの言葉のようです。訳し方により微妙に日本語の言葉選びは変わりますが、大意は同じ。“落ち着き”が“冷静”となっているものもあり。
この冷静と勇気をいかに上手に持ちながら生きていくか…時代と場所を越えて、人々の心に響いてきたんだな。
神へのというより、自分自身の心に対しての祈り。それは、宗教関係なし。正しい原文は知らないけれど、語句のチョイスが素晴らしく、繰り返し唱えたくなります。
「ニュクスの角灯」内の解説ページによれば…「二ーバーの祈り」として知られているものだとか。といっても、アメリカの神学者二ーバーが1943年に行った説教の記録が最も古いというだけで、もっと古くから語り継がれていたようです。
よく言われる「他人と過去は変えられないが自分と未来は変えられる」とニュアンスは似てるけど、こちらのほうが断然祈りの言葉としてふさわしいと感じる。
「他人と過去は…」のほうは、ザ・正論で、“ごもっとも、おっしゃるとおりですが。未熟者の私にはそれができないんですよ”と、消沈したり、場合によっては逆切れしそう。どこか説教臭さが漂ってくるような。
対してこの言葉は、ダメダメな自分のことを否定してこない。大きく包んでくれる感じ。かといって、今のままで十分だからねと変に甘やかしたりもしない。物事に対しあきらめて動こうとしない“心の怠け癖”に対しては、やんわりと諌めている。
その、バランス感覚が絶妙と感じます。
生きる苦しみとは、自分の思い通りにならない苦しみ。もし、八方ふさがりで立ちすくんでしまったら、突破できる場所を冷静に見極め、勇気を持ち踏み出そう。
誰をも、無理なく奮いたたせることができる、魔法の言葉と思います。

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