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これからのファミリーのかたち

英語本来のニュアンスをよく知らずに言うんだけど…家族よりファミリーって言葉が好き。
「家族」の言葉に強固な血縁的結束のみが強く感じられて…いやFamilyも血縁関係つながりが主だし、血縁関係なしの間柄での「俺たちはファミリー」の言葉は、悪の世界での盃を交わした的な意味が強そう…そういう意味では、日本語の「家族」と同じ。でも、ファミリーの方が親密圏を軽やかに表現していると感じます。「家族」とか「親密圏」だと漢字のせいもあり“固さ”が前面に出てきていてしまい…あらゆる分野で英語ルーツのカタカナ日本語が多く使われるのはそれが要因でもあるだろうな。
日本の、社会の枠組みとしての「家族」は、どんなに崩壊していても絶対に切れない関係、時に絶望的で息苦しい…温かさと同時に背反する意味合いをも含む。自分の存在の大きな拠り所とされ、そこに属する人間の思いまでは考えられていない。
でも、本当の拠り所は「同居、もしくは同居しなくても特別強いつながりを信じられる親密圏」。それって、“ファミリー”の語句の方がしっくりする気がする。
現行制度の中では、男女夫婦とその子供が中心の集団を社会の基盤としていて、そこに揺らぎはありません。そのことに自分の人生を合致させ難い人もいて、それはそれぞれが対処していくしかない。
「きのう何食べた?」(よしながふみ原作)の漫画やドラマでは、同性愛カップルのシビアな問題を取り上げていてしみじみします。同性愛者でなくても、“晩年に頼りあう存在は、本当に信頼できる相手にしたい”、と願う人が多いはず。
今TVドラマで放映されている「恋せぬふたり」は、アロマンティック・アセクシュアルの二人の同居生活。こういう関係…恋愛や性愛を抜きにした関係の上に、安心して帰れる場所を創っていくというかたち、それも何かいいなと感じる。今後の展開が楽しみ。
あるいは、能町みね子さんの「結婚の奴」で提示される新しい関係性。ご本人と同性愛者の男性との同居生活への道のりが綴られています。
ある女優さんが、“若い頃はホルモンのなせる技で恋愛に翻弄されたが、年を重ねると同性の友人が大切”ということを述べていた。ああっ…と同感な人は多いと思う。未婚既婚離婚経験者子あり子なし問わず、価値観を共有でき愛する“友”が真のファミリーかも…。
どんな社会であろうと、自分で幸せに生き抜ける道を探していかないといけない。恋愛や性愛の情動は年齢による期間限定が多いけど、人と親密なつながりを感じていたいのは年齢によらずいつでも。生涯、心の安定剤。誰もが心地よい自分のファミリーを持つことができますように。

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