家財を引き払い、各地点々生活を始めた話

2019年の9月。
それまで住んでいた藤沢のマンションを解約し、家財一式を引き払った。

スーツケースとバックパックに、旅や仕事に必要な荷物を詰め込む。


これからは、ホテルやゲストハウスに泊まりつつ各地を転々とする生活をスタートさせる。

なぜそんな生活をするのかと言うと、

「何でもできるなら何をやりたい?」
と自問した時に、真っ先に浮かんだ答えが

「世界中を見て回りたい」
だったからだ。


とはいっても、急に思いついて即実行に移せたわけではない。

2年ほど前からそのような事を漠然と考えてはいたが、

「東京での打ち合わせがあるから」
「書類のやり取りは日本にいないと不便」

などなど、理由をつけて実行には踏み出せなかった。


それがなぜ、このタイミングで実行に移すのか。
これといったきっかけがあったわけではなかった。

自分の中で機が熟したというか、やってみたいという気持ちが膨らんで
居ても立っても居られなくなったからだ。


まず、家財を少しずつ処分するところから始めてみた。
些細なことでも行動に移すと、じゃあ荷物は何を残そう。宿はどうしようと、
次の行動につながっていく。

漠然とした希望が、具体的な計画に切り替わっていった。


期日は、今住んでいる賃貸の更新のタイミングに決めた。
期日を決めるとさらに準備は進んでいく。

法人の登記住所を実家(愛媛)に変え、書類や荷物はそこに届くようにした。
税理士や仕事仲間とのミーティングも、zoomやSkypeに切り替えていった。


そして、マンションの退去日。
いよいよ住処を手放し、所有物はスーツケースとバックパックに入るものだけになった。

こうして家財を手放してみると、今まで感じたことのない身軽さを感じて清々しい気分になった。
行きたい場所、どこにでも行ってみようという気持ちが湧いてきた。

それまでもバックパッカーとしてよく旅はしていたが、
2~3週間すると家に帰りたいと思うことが多かった。
(家賃がもったいないというのもあった)

なんだかんだで、家に縛られて自由に旅ができていなかったのかもしれない。


実家の愛媛に戻って役所での手続きを済ませたあと、
まずは香川に滞在することにした。

地元の隣の県でありながらこれまであまり行ったことがなく、
これを機にじっくり回ってみようと思ったからだ。


宿はホテルやゲストハウスになるが、なるべく出費は押さえたい。
1日あたりの宿泊費を2000~3000円の予算で探してみた。

個室はさすがにその価格帯だとめったにないので、ドミトリーが中心である。

探してみると、この予算でもちゃんと設備が整っていてきれいなところが結構見つかる。

泊る前は狭いドミトリーには抵抗があったのだが、泊ってみると意外と快適だった。

特にきっちり仕切りのあるカプセルホテルのようなタイプのベッドは、プライベートスペースがはっきりしていて心地良かった。

画像1


香川以降は、隣接する県を1つずつ移動することにした。

「せっかくだから、自分が将来的に住む候補地を探してみよう」

そんな考えから、直観的に惹かれる場所を選んだ。


そして、香川→兵庫→大阪→奈良→京都と点々生活をする。
1つの県の滞在期間は1~2週間程度。

京都の次は、飛行機で飛んで福岡に移動した。
なぜ福岡かというと、大好きな温泉があり、それでいて都会でもあるので住みやすそうに感じたからだ。

結果、これまでで一番長く3週間ほど滞在した。
温泉付きのホステルに泊っていたのだが、毎朝毎晩温泉に入れる生活は、非常に幸福度が高かった。

どこかに定住するときは、近くに温泉がある場所にしよう。


それからはどうしたかというと、「世界中を見たい」という気持ちが思いのほか強まってきたため、
日本での点々生活から世界点々生活に切り替えた。
(世界点々生活の記事はまた別で書こうと思う。)


日本点々生活をやってみた感想は、

・住処を次々と切り替えてく生活は、毎日新鮮で想像以上に楽しかった
・物欲がなくなる
・当初心配していた仕事の不便さは、ほとんどなかった
・たまにある印鑑が必要な書類だけは面倒

家に住んでいた頃は、ルーチンワークをこなす同じような日々を送ってしまいがちだったが、
点々生活は毎日新鮮な気持ちでいられる。
毎日が新鮮だと、不思議と何か新しいことに挑戦しようという気になってくる。

また、物を買うと荷物が増えて不便になるため、もともと少なかった物欲はさらに萎んだ。
点々生活をするとむしろ節約になりそうだ。


奇しくもコロナウィルスによってテレワークが叫ばれるようになる半年前に、テレワークをスタートさせることになった。

やっていると、意外と不便はない。(パソコンで完結する仕事というのもあるが)
むしろ、ミーティングは議題について簡潔に話すようになり、半分ほどの時間で済むようになった。

しかし、たまにある印鑑が必要な書類のやり取りは面倒だった。
登記住所である実家に送られてくるのだが、印鑑は手元にあるので、滞在先に転送して貰う必要がある。

いっそ印鑑は実家に置いてきた方がよかったかもしれない。

事務的な手続きがすべてオンラインでできるようになってくれればよいのだが。
それはもう少し先になりそうだ。

ともあれ、点々生活は思ったよりもクセになるものであり、もうしばらく続けてみようと思う。


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2020年4月現在

コロナにより各国がロックダウンされ、ホテルを探すことすらままならないため、
世界点々生活を中断して現在は東京にいる。


ロックダウンが解除されたらまた旅を再開したいものだが、もしかすると渡航に関する規制が厳しくなってこれまでのような自由な旅はできなくなるかもしれない。

逆に、アフターコロナの世界を見て回るのも、それはそれで発見の多いたびになりそうだ。

どうしても暗いニュースが多いし、自分もコロナの影響は受けているが、
その後の旅のことを考えると楽しみな気持ちも湧いてくる。

ともあれ、今はセルフ隔離生活をしつつ、半年間の点々生活の振り返りのためにもう少し掘り下げた話や、現地でのバイヤー活動について書いていこう。


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