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ボールペンのインクが無くなって、麒麟の田村さんを思い出した

最近、大学卒業ぶりくらいのペースでボールペンを使う。
学んだことや思ったことを、メモなりノートなりに書きとめておくためだ。パソコン・スマホ全盛のこの時代、カバンにはいつも入れつつも明らかに使用頻度が少なくなった筆記用具。一言パッと書くくらいなら都度あるけれど、長文を書いたりずっとペンを持ってたりすることは無くなっていた。

が、ひょんなことからメモをしたりノートを書いたりの機会が増えた。長いこと整理も入れ替えもしてなかったペンケースの中から、ずっと前に街頭でもらったボールペンを出す。
インクの出が良くて、少々太めの字がかける。ノートに書くのであればもう少し細いペンが良いのだけど、メモを取るにはこのくらいがちょうどいい。最近はずっとこのペンを使っていた。

ところがメモに残る字が、どんどん薄くなってきた。インクがなくなってきたか。
こういう時、中の芯を取り出して、すぐにインクの残量を確認すればいいものを、自分はいつもそうしない。まずはグルグルグルグル円を書き、インクの出を調べる。すると少しだけ濃さが戻ってきた気がして、まだいけるなと。

もうちょい大丈夫だろうとメモを書き続けていると、すぐにまた字が薄くなってきた。また別の場所に、グルグルグルグル円を書く。今度はずっと薄いまま、インクの出は戻ってこない。ここで今度こそ芯を見ればいいのだけど、今度は時間を置いてみる。ちょっと時間が経つと、もう一度書けるのではないか。
と思ったけれど、結局インクは出ないままだった。

ボールペンについては、インクの出が弱くなった時、学生の時からこの手法でやってきた。インクが詰まっていたのか何なのかで、またしっかり書けるようになったこともある。でも今回については、フワッとインクの出が戻ってきて、結局もう限界だった。この一連の状況を振り返って、お笑いコンビ『麒麟』の田村さんの一言を思い出していた。

田村さん曰く、白米を長時間噛むとじきにその味は無くなっていく。でもそこから噛み続けていくと、一瞬フワッと甘さを感じるのだそう。
これを田村さんは「味の向こう側」と読んでいて、聞いたときはうまいこと言うなと笑ったのを覚えている。

自分はいつも、ボールペンのインクの出が悪くなったとき、いつもこの「向こう側」に懸けていたのだろう。「インクの向こう側」といったところか。人によってはどれだけ粘るんだと思うかもしれないけれど、ギリギリまで使える分には使いたい。
味の向こう側はちょっと自分には分からないけど、インクの向こう側は分かる。案外分かってくれる人、多いんじゃないかなぁ。

やっと芯を取り出してインクの残りを確認してみると、見事に空になっていた。数年前のボールペンだから、いろいろと限界だ。
最後まで使い切ったのならスッキリした気分にもなる。季節も変わるし、新しいボールペンでも探しに行こう。

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