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インクルーシブ保育士の卵たち①【3分で読めます】

私は佐渡保育専門学校の講師を務めています。
3年次の担当科目「インクルーシブ教育実践」では,障害のある子どもに配慮したユニバーサルデザインの保育が実践できるよう,指導案作成と模擬保育を課題としています。
学生は順番に,メインの保育者として,サブの保育者として,2人でチームを組んで20分間の模擬保育を行います。
他の学生は子ども役です。毎回,子どものキャラクターを決めて「それなりに」演じていきます。
「かしこい子」「ふつうの子」「良い方にも悪い方にも引っ張られやすいニュートラルな子」といった具合です。
障害のある子ども役は,毎回,講師の村田が担当し,学生達を困らせたり,戸惑わせたりします。「ASD(カナーまたはアスペルガータイプ),AD/HD(のび太またはジャイアンタイプ),愛着障害」と,村田が演じる子どものタイプは毎回異なります。
授業最終日には,3年間を通して得られた様々な気づきや考えを学生に書いてもらいました。
それを読むと,「学生はここまで育つのだ」と,親バカかもしれませんが,嬉しくなります。
以下に,そのレポートを掲載します。稚拙な文章表現も散見されますが,お許しください。

障害のある子どもを含めた保育を行うときに大切にしたいことを2つの立場から述べてください。
1.全体での活動の中で
全体での活動の中で大切にしたいのは,障がいのある子どもも活動を楽しめるよう配慮することだ。
障がいのある子どもは日々クラスで活動する中で自分なりに「生きづらさ」を感じながら生活していると私は思う。その生きづらさや困り感に気付き,例えば制作活動ではシールの一部分を剥がし貼りやすくしておくなど,その子に合った配慮を保育者があらかじめしておくと,障がいのある子どもも友達と共に活動しやすくなると思う。
また,障がいのある子どもだけを特別気にかけすぎると,幼い子ども達は不満を抱くことがある。そのため,障がいのある子どもを含めた保育を行う場合は,クラス全体への気配り・言葉がけが重要だと私は感じる。
2.個別の対応の中で
個別の活動の中で大切にしたいのは,障がいのある子どもの気持ちに寄り添いながらも,その子が成長していけるように援助することだ。
障がいのある子どもが,なぜ今,大声を出したり混乱したりしたのかなどを,そのときの状況を考えながら子どもの気持ちに寄り添うことで,その子が何に困っているのかがわかる。
そして,そこから障がいのある子どもも気持ちよく活動するには,どのような方法が良いのか考え試すことで,子どもが活動しやすい環境へと近づけられるのではないかと私は考える。
また,気持ちに寄り添った上で,障がいのある子どもも自分なりのペースで成長していけるように,何でも全て保育者が援助してしまうのではなく,少しずつ本人に挑戦させるのも大切だ。
障がいがあってもできることは沢山あると思うので,その子がこれから生きていくためにも「出来ることは自分で」なるべくしてもらい,難しい部分は援助すると良いと思う。

いかがだったでしょう。
これを書き,卒業していった学生たちは,現在,保育士として保育所や施設で働いています。
障害や困難なことのある子ども達と出会ったとき,このレポートを書いた自分の志を思い出し,インクルーシブな保育実践を積み上げていってほしいと願っています。

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