かげとら

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すがも

やっぱり巣鴨の空気感が好きだ お年寄りの原宿なんて言われてはいるものの、老若男女関係無く集まる街だと思う。 東京メトロの料金がJRと比べると少し高いのは何なんだと思いながら改札を通る どこかで見たことがあるようで独特の空気を醸し出す住宅街を抜けて行く 住宅街を歩くのが好きになったのはいつからだろうか 少しの恐怖を携えながら歩いていた頃とは違い、猫に挨拶をする余裕すら今ならある。 外壁が新しい家、命名した人に問い詰めたくなるようなネーミングセンスのアパート、一種の歴史

    • 1242

      1242 自分だけではどうしようもない。 どこに向かって投げていいのかも、 誰にぶつけていいのかもわからない。 葛藤なんて呼べるほど深くもないし、 悩み事なんて言えるほど浅くもない。 どうにもならないなら全部諦めてしまおうと思ったあの夜 耳を傾けた波の向こうからどこかで聴いたような声がした。 別に自分の人生には何の関わりもない それでも日常に変化をもたらしてくれた その夜その時間だけは忘れさせてくれた 不器用な男二人の不器用な会話 不器用な自分にはそれで充分だった

      • 二輪車ころがし悪霊退散

        自分が二人居ればいいのに。 生まれて初めてそんな事を考えた。 一人じゃ足りず、三人じゃ持て余す。 帯に短し襷に長し。 だが男にも乳首が二つ付いていて良かったと心底感じた。 しかし、こちらの口は一つなのにあちらの乳首は四つ。 ケルベロスでも足りないじゃないか。 反復横跳びしながら愛撫しなきゃならんのか。 そんな余計な事を考えていても息子は元気になるもんだ。 我ながら誇らしい。 しかしまあ終わってみれば悲しくも虚しくもないが楽しくもなかった。 十二万円の領収書は破いて捨てた。