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自分を空っぽにする時間

9月の頭くらいから少し調子が悪かった。
体ではなく、心の方。
「疲れたなぁ。ちょっと休みたいなぁ。」
一息つく瞬間には、心がずんと重くなって頭を抱えてしまう。
でも、仕事も子育ても立ち止まらせてはくれなくて、自分の本音に蓋をしたままどうにかこうにか毎日をやり過ごしていた。

遅い夏休みをもらって北海道に旅行に行ったのが9月の半ば。美味しいごはんとおいしい空気と、出会う人たちのやさしさに触れて、英気を養って帰ってきた。

はずだった。

きっかけは大したことではない。
久しぶりに出社して、10月から異動する新しい部署の上長と面談をした時にちょっと気に障ることがあった。
帰ってきてから、子どもたちがわんさか騒いでいて、夫氏は疲れ果てて横になっていた。

いつもの平日の、いつもの夜。

それなのに、どうしてか。
水を入れすぎてパンパンに膨らんだ水風船が、ぱちんと弾けたようにして、急に涙があふれだした。
涙と一緒に、今まで蓋をしてみて見ぬふりをしてきた心の澱みがどんどん出てきて大声をあげて泣き続きた。

いつもと違う母の様子に、子どもたちは戸惑っていた。
なんとか布団に入って、泣きながら子どもたちに「ごめん」と謝ると、長男は「お母さん、死んじゃうの?」と目に涙をいっぱい溜めて不安そうに言った。
「死なないよ、大丈夫だよ」と言ったものの、不安は消えなかったのか長男もワンワン泣いて、その夜は枕が2人の涙でぐっしょり濡れた。
次男はそんな時でもにこやかで、いつの間にか私の上で眠っていた。

それから数日後、意を決して心療内科に予約をした。
このままでは、私だけじゃなく、子どもたちも巻き込んでつらい思いをさせてしまう。片足突っ込んでしまった暗い沼から、脱出する手立てを見つけたい。20代の時も通院歴があったのでできれば病院に行くことは避けたかったが、そうも言っていられないほどつらかった。

診察の結果はうつの症状が出ていて、いくつかの薬を飲みながら様子を見ていくことになった。現在は通院を始めて2週間、薬にも少しづつ慣れてきている気がする。
仕事はなんとか続けているけれど、しばらくしても回復が見えなかったらちょっと休んでもいいかな。

これが原因というはっきりとしたものはない。
ただ、もうずっと1人で走り続けて、エネルギーを使い切ってしまったような感じだ。
だから今は、一度立ち止まって自分を空っぽにしたい。
歩き出せるくらいのエネルギーを取り戻すためにも。

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