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#6 振り出しに戻る!?

 こんばんは、ゆう也です。前回の記事から三か月以上も経ってしまいました。この間、かなーりつらい出来事もありなかなか筆をとる気力にもならなかったんですが、いろいろと落ち着いてきたので思い切って書きます!

 2021年12月、僕はキャンプサロン「僕らのミナノベース」予定地の地主さんと近隣の住民の皆さんに集まってもらい、初の住民説明会を開いた。1ヶ月以上前から、地区の区長さんと相談して日程を決め、資料や伝え方などをじっくり考え入念に準備をして臨んだ。場所は近所のお寺。地区の集まりはそのお寺でやることが決まりなのだそうだ。参加してくれた地主・地元の方は総勢20名。参加者の平均年齢はおそらく70歳前後。女性は2人のみで後は全員男性。家長の男性が出るのが慣しなのだろう。

 この半年間、十人程いる地権者の皆さんとは、個別にゆっくりとお話を進めており、決して感触は悪くなかった。応援してくれる方もいる。僕の頭の中ではこの住民説明会を皮切りに、(買うにせよ借りるにせよ)具体的な土地の交渉を始めていよいよ本格始動するつもりでいた。頭の中にはきれいな一本道が明るい未来に向かって伸びていた。

 初めに区長が挨拶をし、続いて「地域おこし協力隊」の役場の担当課長が挨拶。それに続いて僕が自己紹介をし、その流れで「僕らのミナノベース」の概要を説明するという流れになった。時間をかけて丁寧に作った資料はA4用紙11枚にもなる。その資料の流れに沿って、できるだけわかりやすいように気をつけながらおよそ40分かけてひと通りの説明を終え、最後の質疑応答の時間に移った。「では何かご質問のある方、よろしくお願いします」と僕は言い、そしてしばらく沈黙が流れた。「誰もいないなら、、、ちょっといいかね」と手をあげたのは地元でも重鎮と思しき高齢のご老人。恰幅がよく、マスクの上から覗く小さな目は鋭い。
「この計画はご立派だが、これは当然町としても関与するんだよね?資金面や土地の契約なんかにも」

 この質問は僕にではなく、隣の座布団に座っていた課長に向けられたものだった。そして僕が、一番出て欲しくない、と思っていた質問でもあった。というのも、区長とのこれまでのやり取りでも「こういう田舎は役場がついていると安心をする」と散々言われていた。その都度僕は、「この事業はあくまで僕個人の計画しているものであり、役場はアドバイスはしてくれるが資金的なことや契約的なことでの関与は一切できない」と説明してきたのだが、それでも区長は「役場、役場」とことあるごとに言うのだった。今回の住民説明会に役場の課長が来てくれたのも、区長の強い要望だったのだ。

 「町が関与するのか」という長老の質問に対する役場課長の答えは、NO。当然だ。町営のキャンプ場を作るのではない、あくまで僕が事業主となってやるからこそ意味があるのだ。しかし、その答えを聞いた長老は「それじゃあこの事業計画には協力できんな、土地も貸せねえ」
・・・・・・・
僕は一瞬、本当に目の前が真っ白になり頭がくらくらしてきた。そのあとの流れはよく覚えてないが、その長老の発言を皮切りに、何人かの男性と役場の課長の間でのやり取りが続いた。「町が金出して土地を買え」とか「土地を売ってもし変なことになったら町が責任取れ」だとかの質問に役場側が「それはできません」というようなやり取りだったと思う。しばらくそれが続いたときに一人の男性が「8時までって聞いてたのに全然終わらねえじゃないか、おれは帰る」と言い、さっと寺の大広間から出ていった。そしてそれを皮切りに参加者は「俺も帰ろう」とぞろぞろと帰り始めたのだった。

蜂の子を散らすようにいなくなった住民のみなさん。最初に質問をした長老が帰り際に、「この町で思うようにいくと思わんことだね」と、まるで呪いのように呟いて去っていく。僕は完全にノックアウトされた。考えが甘かったのだ!!!

それからしばらくは何もやる気が起きませんでした。これまでの半年間は何だったのか?親しくなれたと思った地権者の方たちは、その時誰一人として僕を擁護するような発言をしてくれなかった。そのことが非常に重く自分の心の中にありました。

あれから3カ月がたち、ようやく今こうしてあの時のことを文字に起こすこともできます。結論から言いますと、その後もう一回気持ちを入れ直し、ゼロからもう一度やるというくらいの気持ちで、地権者の方・地元の方との話し合いを再開し、現在に至ります。そして今では、幾人かの地権者の方が「土地を売ってもいい」と言ってくれるまでに進展しました。ただし当初予定していたエリア全部は諦め、半分以下のエリアで事業を始める方針にしました。小さく始めて実績を積み、地元の方々に信頼してもらおうと考えたからです。しかし、その代わりにそのエリアにポツンと一軒ある空き家をリノベーションして、カフェバーを作っちゃえ!!という計画が急浮上してきたのです!  つづく





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