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【気になる話題】顧客と新たな関係性を構築して新規事業を創出する「コンソーシング」って何?(前編)

IT業界出身のフリーライター・ゴウトが、
気になるトレンドやテーマをピックアップしてお届けします。

これまでの当たり前が当たり前ではなくなった2020年。テレワークの加速やジョブ型雇用に注目が集まるなど、働き方は急激な変化を遂げています。
「この変革期をチャンスとして捉え、ポジティブにチャレンジできるか否かが次なる時代を切り拓く鍵になる」と主張するDXコンサルティングファームKeepAlive株式会社は、DXによる新規事業創出の新たなソリューション『Consourcing(コンソーシング)』を発表しました。テック企業の取材が多い筆者にとって、興味深いテーマです。


国内IT業界のあらましとDX事情

コンソーシングの前にIT業界の流れに触れると、1995年頃から2000年初頭にかけて、インターネットが急速に普及して情報処理分野と融合したのは周知の通り。それに伴いSIerは国内のIT人材を抱え込み、事業会社はSIerにITシステムの企画・構築・運用を発注するという産業構造が出来上がりました。

そうこうしているうちにGAFAが巨大化し、さらに近年ではテクノロジーで既存産業に改革を起こすUberやNetflixなどの新興テック企業が台頭してきました。
「これはすごい。というかこのままじゃマズイ」と国内大手企業は焦り、テクノロジーで新たなビジネスモデルを作ろうというデジタルトランスフォーメーション(DX)の一大潮流となりました。

しかし大手企業は煩雑な社内決裁やらなにやらのしがらみが多く、とかくスピードが遅い。企業を取り巻く経営環境がものすごい勢いで変わる中、そんな悠長なことをしている場合ではありません。
かたや新興テック企業は、必要最低限の機能だけを搭載したプロダクト(MVP)をリリースして、アジャイルを取り入れマイクロサービスをAPIで連携させるといった柔軟性が高くスピード感溢れる開発手法でプロダクトを磨き上げ、どんどん市場を占拠していきます。
SIer側はそんなテック企業で活躍するDX人材を囲い込もうと、年収数千万円を提示するなど躍起になっている、というのがざっくりしたあらましです。


事業会社がDXを進める中で見えてきた課題

さて、主役であるはずの事業会社側はというと「……で、DXってどうやって進める?」状態。そこで高額なコストをかけてコンサルファームやDX人材を囲った大手SIerに企画構想を依頼します。高額なだけにそれらコンサルタントは優秀で、短期間で成果を出してくれます。しかし社内にはせっかくのノウハウが残らない上に、アウトソースへの依存状態が続きます。
かといって、事業会社が自社で企画やDXに長けた人材を採用したり育成したりするのは、これまたそれなりの時間がかかります。社員の採用を伴うこともあるため、トライアルには慎重になります。
アウトソーシングとインソーシングには、それぞれにメリット・デメリットがあり悩ましい限り。
この悩ましい状況を解決するソリューションとしてKeepAliveが打ち出したのが、『コンソーシング』です。


KeepAliveが提唱する「コンソーシング」の狙いとは?

ここからはKeepAlive代表成田氏から受けた説明をもとに、筆者なりに理解したコンソーシングについてです。

コンソーシングは、DXによる新たなビジネスモデルを内製で立ち上げるために、作業の属人化を排除し自社内にナレッジ・ノウハウを蓄積する仕組みだといいます。

MVPでエンハンスを繰り返すことが前提の場合、要件定義は存在しません。しかし従来型思考の大手企業は、要件定義なしでは予算が取れないのが現実。そこで「研究開発としてのMVPで予算を確保すること」を目的にします。
つまり「コンソーシングによるトライアルで上層部を納得させて、ちゃんと予算を取る。そして新規事業プロジェクトとして内製化の体制が成り立つまでをサポートする」ということのようです。

具体的には、どのような方法なのでしょうか?後編で詳しくご紹介します!


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【プロフィール】
ゴウトナオ(ライター)
インフラエンジニアとして長らくIT業界で勤務後、専業ライターに転身。最前線で活躍するビジネスパーソンへのインタビューを数多く行う。アートとおつまみと銭湯が好き。小学生二児のおかんライター。

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