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ゼロカーボン化=産業革命の再来

明けましておめでとうございます。一気に購入した脱炭素の書籍も手元にはあと1冊になり「脱炭素で変わる世界経済」を読み始めたが、産業革命の再来である、という言葉に立ち止まる。

人類の歴史を振り返ると「エネルギー転換」は社会構造の大きな変化を引き起こしてきたとあり、18世紀の産業革命は薪などの「木質燃料」から、石炭などのエネルギー密度(重量あたりのエネルギー量)がより高い「化石燃料」に転換することがその転換となったこと。さらには薪などのように1本1本伐採して集める必要がない化石燃料によって、大きなエネルギーをより容易に利用できるようになり、工場の生産規模が大きくなり、結果として資本家を登場させ、この投資により生産性がさらに向上していったこと。さらには大量の物資移動が可能となることで経済範囲が大きくなり、交流の活発化で経済成長がさらに加速、結果として大きな動力をもった黒船が日本にきたことや、中国ではアヘン戦争が起きたことなどにつながったとある。

なるほど産業革命というと蒸気機関の発明という視点で歴史では学んだ記憶があるが、エネルギー転換という視点でみると、今のこのゼロカーボン化という流れが、化石燃料から風力や太陽光といった再生エネルギーに転換されていくというまさにエネルギー転換なのだということに触れられていた。

ちょうど日本でも2022年1月3日の日経新聞に以下のような記事が掲載されていたのだが、その金額は2兆円。とても大きい金額ではあるが、この記事の最後にもある通り「英独やスペインは再生エネの割合が日本の倍の4割前後に上る。欧州連合(EU)は復興基金を使って送電網に投資し、米国は電力に650億ドル(7.4兆円)を投じる。」となっていて、全く意気込みが違う。

政府は再生可能エネルギーの普及のために次世代送電網を整備すると打ち出す。都市部の大消費地に再生エネを送る大容量の送電網をつくる。岸田文雄首相は2022年6月に初めて策定する「クリーンエネルギー戦略(総合・経済面きょうのことば)」で示すよう指示した。総額2兆円超の投資計画を想定する。政権をあげて取り組むと明示して民間の参入を促す。

日本はどうも未来を見据えた投資という概念でなく、バックキャスティング的な発想ではないように思える。欧州、中国、米国は未来を見据えて、完全に投資という概念でやってきていると思われる。

この書籍にも書かれていたが民間企業の方が危機感が強く、経団連は以下の記事の中で「言うまでもなく、2050年カーボンニュートラル実現は極めてチャレンジングな課題である。産業革命以来の人類とエネルギーの関わりは根本的な変革が不可欠となる。また、歴史上長く文明を支えてきた主要産業の生産プロセスの革新も必要だ。運輸・民生部門の脱炭素化に資する革新的製品等の大規模な普及や生活様式の転換も求められる。つまり、経済社会全体の根底からの変革が不可欠であり、新しい経済社会、いわば “Society 5.0 with Carbon Neutral”の実現が必要となる」ということを言っているようである。Society 5.0やCarbon Neutralといった言葉も聞こえが良いが、日本の浮沈はこの「エネルギー転換」という課題に対して、国をそして企業を上げて取り組む、ということなのではないだろうか。


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