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ぼくの「りんかく」13 - たくさんのりんかくたち

2023年5月21日(日)に行われた文学フリマに出品する「りんかく」という写真ZINEについて、作者サイドからあれこれ裏話をするnoteです。
「だれかに写真を撮ってもらうと、自分から見えない『輪郭』が見えて立体的になる気がする」。この本は多拠点生活の「りんかく」を集めた立体記録。

43-44 さらやま

ここは大分県の小鹿田焼(おんたやき)の里、通称「皿山」。今でも続く伝統的な製法は、一切の機械を使わず、水力で土や顔料をくだき、手回しのろくろで形を作り模様を描き、日光の力で乾燥させ、登り窯で焼く。

そんな小鹿田焼の里はとても静かで、川の流れる音と鳥の声、風の音に時より大きな杵がとーん、とーん、と土を砕く音が混じる。

本当に気持ちの良い場所で、僕はとても気に入ってしまいました。そして味わいのある焼き物もとても好きになり、いくつか持ち帰ったのでした。

45 また戻ってくる場所

ここはADDress拠点、鶴巻温泉A邸。何かのたびに舞い戻っていた、港のような場所。何度も同じ文言を書いているかもしれないですが、ADDressがきっかけで訪れ、好きになって、何度も立ち寄ることになった場所がたくさんあります。

日本のあちこちにそういった「戻って来れる場所」があるというのは、本当に豊かなことなのだと思います。

46-50 みんなの写真

46-49ページには、旅暮らしの途中で出会った人たちの大切な写真を散りばめました。なのでnote上には掲載を見送ります。僕の旅暮らしには、いつも素敵な人たちが溢れていて、導いてくれたり、なんでもない話をしたり、知らないことを教えあったり、そんな大切な時間を共有することができました。

50ページにはあとがきを書きました。このZINE唯一の文章です。あとがきを読んだ後で、また写真を見返した時に違った印象になっていたら、それも面白いかもしれないな、と今は思います。

裏表紙

裏表紙は実家の写真だったりします。
自分にとってはなんでもないこの場所も、月日とともに変わっていきました。きっとどの瞬間も同じことはなかったんだと思います。

実家を離れて東京で生活をしていた数年前まで、年に数回しか戻らなかった時は何かの違いに気づいていたものの、ここまで細かい場所へ目をやることはありませんでした。

実家を拠点にし、旅暮らしをはじめ、月に何週間か滞在する実家の変化というのは以前にもまして強烈に印象付けられるようになりました。
近くにいすぎると見えないこともあるのだなと思います。

表紙も裏表紙も「戻ることができる場所」です。ただただそんな場所があるということに感謝をしたいし、僕にとってのりんかくは、そういう場所の連続で出来上がっているのかもしれません。

まとめ

今回は大分県の「小鹿田焼の里」、みんなの写真と裏表紙について書きました。
後半に行けば行くほど、時系列ということもあり記憶に新しく、また印象的なシーンを多く掲載することになりました。

そして全13回でお届けしたりんかくの裏話、いかがでしたでしょうか。
長いようで短いようで、今回で全ページのお話は終了です。ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。

制作中は何度も挫けそうになったり、この本を作る意味とか考えてしまって立ち止まったりしました。けれど少しずつ積み上げていった先に思いもがけない反応をもらったり、自分が撮影した写真に改めていのちのようなものが吹き込まれたような感じがしたり。そしてなにより、この本を「出会った人たちへの感謝のために作りたかったんだ」ということに気づけた時、僕はとても幸せな気持ちになりました。

改めて、写真掲載を許可してくださった皆さん、ありがとうございました。みなさんには「お礼参り」と称して、冊子をお届けさせていただきました。まだ直接お会いできていない方も多くいるのですが、時間を見つけて伺わせていただきますね。


さてこちらの冊子、現在はADDressユーザー限定になってしまうのですが鶴巻温泉A邸で閲覧・購入ができます。(家守さんのご好意でおいていただけることになりました!)
滞在される機会のある方、よろしければキッチンにある物販棚をチェックしてみてくださいね。

あらためて最後に、ありがとうございました!

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