見出し画像

木造校舎と薪係#2

 こんにちは👋N.です。


 真冬の日直兼薪係には、まだ大事な役割があった。

 火の状況を見て、薪をくべる。あまり午前中に多く使うと、午後には足りなくなる。
 そうなると防寒着を着ながら授業を受けることになるため、薪係には“見極める目”が必要だった。

 ストーブに火をつけたら、各クラス専用のヤカンでお湯を沸かす。
 “教室が乾燥するから”というのは名目で、昼食用のカップラーメンやコーヒーなどにも使われる。


 「明日やるよ~~」

 と薪係から連絡があると、当たり前のように食べたい生徒や下宿生はお芋を持参する。
 次の日、3時間目の休み時間に各自準備してきたお芋を焼いてくれる。
 もちろん昼食時のポップコーンも作ってくれた。
ルンペンストーブと薪係の為せる業である。

 学校には学食なんてなく、パンだけが売られた。
 事前に薪係兼日直が、注文書に印と個数を書いてパン箱に入れてくれる。
 4時間目の終了チャイムがなると、各クラスから薪係兼日直が一斉に飛び出していく。
 パン売り場は1階階段の下、小さなスペースだった。
 注文はしなかったが、やっぱりパンも食べよ!というワガママな生徒の分も買わなければならない。
一歩でも出遅れると、教室に戻るまでに15分以上かかるし、欲しいパンが売り切れになったりする。
 
そうなっては“薪係の恥”
それくらいプライドを持ってパン競争を制する。


 
 これがお昼の風物詩。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?