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エコロジカル・フットプリントとは【論文要約】

今回は、「エコロジカル・フットプリント指数分析の方法論的進歩と最近の論点」について、エコロジカル・フットプリントの基礎的な知識を主に要約していく。

エコロジカル・フットプリントとは

まずそもそもエコロジカル・フットプリントとは、1991年カナダのブリティッシュコロンビア大学で開発されたもので、現在の経済活動を続けるために必要な資源の量を土地面積で考えることにより、経済活動の資源消費量が適切であるのか、持続可能であるのかを判断する指標である。

この指標は政府が公式に継続的に計測していこうとする動きがあり、特にスイス・フィンランド・カナダ・日本がGDPと同様に国家体制を築こうと準備している。日本政府の場合、2006年4月7日に閣議決定した第三次環境基本計画の中で、エコロジカル・フットプリント指標を活用し、環境基本計画の進捗状況を評価することを謳っている。

エコロジカル・フットプリントの貢献

2つの貢献が挙げられる。1つ目は「人間による需要」と「生態系による供給」の量的なバランスを測る指標を測定できるようになったことだ。1972年にローマ・クラブがまとめた「成長の限界」によって、環境の供給能力の有限性の限界に人々の関心が集まっていたが、その人間の需要と環境の供給がどれほど緊迫しているかを総合的に算定するツールが存在しない状況が長期間続いていたのだ。エコロジカル・フットプリントはそのギャップを埋めてくれた。

2つ目の貢献は、ある国や地域の経済活動の環境への影響が、他の地域経済に及んでいることを明確に提示できたということがある。資源を外国に依存する国が増えてきているが、エコロジカル・フットプリントが開発されたおかげでその現状を明瞭に把握できるようになったのだ。

エコロジカル・フットプリントの計算方法

コンポーネント法とコンパウンド法の2つがある。
コンポーネント法とは、個別の財・サービスの消費量から、それらの生産から消費そして廃棄にいたるまでにかかる環境負荷に必要となるエコロジカル・フットプリントを求め、それを全ての財・サービスについて集計して全体のエコロジカル・フットプリントを算出する

一方コンパウンド法とは、国レベルの資源需要量をもとに計算する方法である。個別の経済活動を追う必要がないので、データを入手しやすいという利点がある。

まとめ

エコロジカル・フットプリントは、今の人間の経済活動をするために地球がいくつ必要かを教えてくれる指標であり、これからの世界ではGDPと同じように国が先導して計測していく必要があるものである。

この論文、一見新しいことに取り組んでいるように見えるが、なんと書かれたのは2007年だ。SDGsの遥か前にこんな有用な情報が出ているのだ。それが実行されていないのは何なのか、気づいていないのか、気づいているけど見ないフリしているのか。もうタイムリミットだ。今すぐにでも改革が必要だ。個人レベルから意識を変容させて行こう。最近、中田敦彦さんがサステナブルアパレルブランドを立ち上げたが、そういった環境に配慮した製品を積極的に買うことが消費者には求められている

参考文献
中野桂&和田喜彦(2007). エコロジカル・フットプリント指標分析の方法論的進歩と最近の論点 滋賀大学環境総合研究センター研究年報, Vol4 No. 1

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