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193 米 中小銀行の資金流出動向など

187 米 中小銀行の資金流出動向など の グラフ更新です。

米国経済で、今注目されることの一つは、
3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて
(1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、
 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか?
 (B)FRBからの借入に頼っていないか?
(2)銀行は融資態度を厳しくし始めているようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか?

(1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、
 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか?
流出は止まっているようだ。まずは一安心。

Bloombergはセンセーショナルなタイトルを付けた記事を出しているが、惑わされてはいけない。(どこかで、最近とみにBloomberhは刺激的なタイトルを打つようになったと批判されいたが、私もそう思う。)
米銀の預金、約10兆円減と再び落ち込み-21年7月以来の低水準 - Bloomberg

(ア)銀行の預金金利はゼロに近いが、MMFや短期国債の利回りは4%後半である。銀行預金から資金流出が起きるのはやむをえない。しかし、それは金融不安による資金逃避ではない。
(イ)念のため、Bloombergの記事では季節調整値を見ている。資金フローは季節性(年度末や月末要因、税金支払い、給与支払い日など)があるので、通常は季節調整値を見るべきではあるが、イレギュラーな資金動向を見るには、下手に季節調整を掛けると却ってわかりにくくなるので、ここでは原数値(非季節調整値)を見ている。

最後は4月12日(水)

 (B)FRBからの借入に頼っていないか?
FRBからの借入はほぼ横ばいだった。
とりあえずは、銀行に信用不安が起きている様子はない。

最後は4月19日(水)


(2)銀行は融資態度を厳しくし始めているようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか?
銀行の融資には、企業向け融資(C&Iローン、商工業向け融資)、不動産開発融資、住宅ローン、消費者向けローン(自動車ローン、クレジットカードローンなど)などがある。
中小銀行の融資残高の減少も止まっている。融資に積極的とは言えないが、信用状況の逼迫とまでは言えない状態。多少、米経済の重しとなっている程度か?

最後は4月12日(水)

(3)FRBのバランスシート
参考までにFRB(Federal Reserve Board でなく、Federal Reserve Bank)のバランスシートを見てみる。

<資産側>
着々とQT(量的引き締め=国債とMBSなどの売却=FRBのバランスシートの圧縮)を進めている。SVBの破たんを受けて市中銀行に貸し出しを行ったので、総資産は一時多少増加した。これをもって、実質的にQTと反対の動きになったのではという疑問も出たようだが、Fedは明確に否定している。

最後は4月19日(水)

<負債側>
SVBのが端を受けて、一部銀行がFRBから借り入れを受けたが、そもままFRBに預け入れているようだ。なお、預入金利(Interest Rate on Reserve Balances (IORB))は4.9%である。




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