見出し画像

172 2023年3月29日のマーケット

日本時29日0時頃、FRBのバー副議長(銀行監督担当)の議会証言から銀行破たんが広がることはなさそうとなり、米金利低下観測後退、円安に。株価も堅調に。株価は、マイクロン・テクノロジー<MU>がひどい業績発表を行ったが、「業界の需給バランスは徐々に改善すると考えている。」と最悪期を脱し、復活の可能性を示唆したことから、半導体株中心に上昇している。
 
バー副議長の証言から;‐ シリコンバレー銀行(SVB)破綻の一因は、金利の急上昇による米国債や住宅ローン担保証券の価格下落で損失を被ったこと。SVBは放漫経営でこれに何も手を打たなかった(経営陣が明確な金利リスクと明確な流動性リスクに適切に対処しなかった)。SVBの破綻の責任は経営陣にある。こうした懸念について、当局は2021年11月に指摘していた(状況を把握していた)。

なので、今回の問題はSVB固有の問題で、他の銀行まで広がっていくことはないだろう。

但し、金利上昇は経済を減速させ、銀行は金利上昇による保有債券の損失だけでなく、融資の焦げ付きという問題にも直面する可能性がある。金利動向は不安定。円安が続くかどうかは予断を許さない。
それだけではない、商業用不動産について、半分以上空いたオフィスビルの所有者が債務の支払いに苦しむかもしれない。そうなれば、すでに価格が下落している商業用不動産担保証券に打撃を与えることになる。
 
さらに、預金者の預金引き出しが加速するリスクもある。米国の家計が2020年と21年に約2兆3000億ドル(300兆円)の「過剰貯蓄」を蓄積したため、銀行は新型コロナウイルス流行下で預金の流入を享受した。企業も、まずまずの利回りを安全に得ることが不可能だったこともあり、銀行に現金をため込んだ。それが、今は国債やMMFで預金より高い金利が得られるのだから、預金の流出が加速しても不思議はない。
 
というわけで、金融不安は後退したが、だからといって、利上げが進むかどうかは予断を許さない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?