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212 日本の消費者物価(2023年4月) まだデフレ

4月 消費者物価指数 前年同月比3.4%上昇 3か月ぶり上昇率拡大 | NHK

4月の
生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比で3.4%上昇。
食料及びエネルギーを除く消費者物価指数は、前年同月比で2.5%上昇。

物価上昇率目標は「生鮮食品を除く総合指数」の前年同月比上昇率が安定的に2%になることだ。
何故2%かというと、世界的にそうだから。世界的にそうなのは基軸通貨国の米国がそうだから。米国がそうなのは経験的に名目GDP成長率と実質GDP成長率の差≒物価上昇率(消費だけでなく全ての)が2%のとき経済が均衡的(経済成長が安定的)だから、ということだ。

物価上昇が必要なのは、デフレだと消費を先延ばししがちだからである。物価が上がらないのであれば、買い急ぐ必要はない。つまり、物価上昇は購買意欲を刺激するからだ。 また、生産性を高めることが難しい職業においては。価格を上げなくては賃金は上がらない。生産性を高めることが難しい職業とは人件費のウェイトが高い職業だ。社交ダンスの先生などはマンツーマンで教えるのでその典型だ。
というわけで、適度な物価上昇が最も望まれるのはサービス業の価格である。逆に望まれないのは輸入品の価格だ。輸入品の価格上昇は日本国民の賃上げに全く寄与しない。
今の物価を押し上げている主要項目は、ついこの前までは輸入エネルギー、今は輸入食品(加工食品)が主だ。そこで、物価を見るときは、両者を除いた指数が重要になる。つまり、食料及びエネルギーを除く消費者物価だ。注意すべきは食料は生鮮食品でなく、加工食品も含んだ食料全体だ。

というわけで、食料及びエネルギーを除く消費者物価 と サービス価格 を見てみると、食料及びエネルギーを除く消費者物価はようやく動き出した。デフレ脱却の可能性が高まっている。しかし、サービス価格はまだまだだ。これが上昇してこないと、デフレ脱却とは言えない。

幸いにして、生鮮食品を除く消費者物価は、これから低下していく見込みである。日銀は、低金利・円安を続けて、食料及びエネルギーを除く消費者物価の2%上昇を目指すことができるだろう。
もう少しで、日本は本格的にデフレ脱却できると思う。そうなれば、利上げ、円高に向かい日本経済は復活すると思う。

輸入物価から判断して、これから、生鮮食品を除く消費者物価上昇率は急低下していく見込みである。

円安は食料及びエネルギーを除く消費者物価の2%上昇を達成できる可能性が高いことを示唆している。

円インデックスは複数の通貨に対する円の強さを示す。高い方が円高である。グラフの右軸は逆目盛になっている。


なお、今のインフレの背景などについては前回の記事を参照ください。
192 日本の消費者物価(2023年3月) まだデフレ
166 日本の消費者物価(2023年2月) まだデフレ


日本の物価では、サービス価格がまだ上昇してきていない。人件費のウェイトが高いサービス業の価格が上昇してこなければ、完全デフレ脱却とは言えないだろう。




上記の通り、まだ明瞭ではないが、「賃金と物価のスパイラルな上昇という好循環」が始まりつつある。これは、今後2-3 年の短期決戦になる。ここに政策資源を集中させるときである。

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