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192 日本の消費者物価(2023年2月) まだデフレ

2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準 | NHK | 物価高騰
消費者物価指数、3月3.1%上昇 電気代抑制でも高水準続く - 日本経済新聞

3月の
生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比で3.1%上昇。
食料及びエネルギーを除く消費者物価指数は、前年同月比で2.3%上昇。

いずれにしろ、物価の前年比上昇率は高い。くどいようだが、背景は、
(1)コロナ禍で世界的に工場閉鎖など(ロックダウン)が起き、物流・サプライチェーンが滞ったこと。<これは既に緩和している>
(2)ウクライナ紛争でエネルギー価格、農産物(特穀物)価格が高騰したこと。<既に前年比では低下している。>
(3)米国のコロナ禍対策で財政拡大⇒米消費急膨張⇒米インフレ⇒米金利上昇⇒ドル高/円安⇒(2)と相まって輸入物価高騰⇒日本の物価上昇
(4)前年がコロナ禍で消費減退⇒物価低下という、前年の物価が低くなっていた。それとの比較では、前年比物価上昇率は押し上げられる

既に、エネルギー価格の下落、持続的な円安が止まっていることから、これからは物価上昇率は低下していく見込み。

ところで、日本の物価水中の推移を長期的に見てみると、
日本の物価は上昇した(下図太線)。但し、上昇したのは専らエネルギー(電気代、ガス代など)と加工食品(輸入農産物)である。
これらを除くと、依然物価は上がっていない。(下図赤線)
日本がデフレ脱出したと言えるのは、食料・エネルギーを除く物価指数が上昇トレンドに入ることである。
日本の国内で生産されたもの、提供されるサービスの価格が上昇しなければデフレ脱却とは言えない。
電気代・ガス代(要は輸入原油・天然ガス)、輸入小麦などの価格が上昇するだけでは、悪い物価上昇である。

赤線に注目。少し上昇の兆しが見られる。これが前年比2%で上昇していけば脱デフレ。

物価上昇の最終目標は、電気代やガス代、加工食品などの値上がりによるものでなく、賃金と物価のスパイラルな上昇という好循環を定着させることである。そうすれば、健全な経済成長が期待できる。

上記の通り、まだ明瞭ではないが、「賃金と物価のスパイラルな上昇という好循環」が始まりつつある。これは、今後2-3 年の短期決戦になる。ここに政策資源を集中させるときである。

実は、黒田総裁が就任した時、チャンスがあった。その時は消費税増税でチャンスをつぶした。せっかく超金融緩和というアクセルを目いっぱいに踏んだのに、消費税増税というブレーキも踏んでしまった。その二の舞は避けなくてはならない。


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