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22年12月 雇用統計とISMサービス業 サプライズ

2023年1月6日(金)二つの重要な経済指標の発表があった。
(1)雇用統計の最も注目される時給増加率 減速
アメリカの12月雇用統計、非農業部門雇用者数は22.3万人増|会社四季報オンライン
米雇用統計 12月は失業率低下3.5%、雇用22.3万人増: 日本経済新聞
(2)ISMサービス業(非製造業)景況感指数 大幅悪化 50割れ
米ISMサービス業景況感も「不況」 12月、2年7カ月ぶり: 日本経済新聞

FRBの目標は物価抑制。財の価格は減速しつつあり、サービス価格の下落(抑制)が焦点。そのため、需要抑制(要は景気悪化)⇒賃金抑制⇒物価抑制が狙い。今回、雇用統計で賃金上昇率の伸び減速が示され(一時的かもしれないので、その点は注意)、ISMサービス業で景気悪化が示された(今後、多少の反動増はあるかもしれないが、この傾向は間違いないだろう)。

1月12日発表のCPIにもよるが、FRBは2月1日に0.25%の利上げを行うことは確かだが、その後、これまでの(累積的)利上げ効果を見るため、利上げをストップさせる可能性もある。勿論、予想の本線は、3月22日にも0.25% の利上げを行い、FFレートの誘導目標を4.75-5.0%にして様子見に入るというものだ。(今のところ、FRBはさらに0.25%引き上げることを示唆している。)

市場は、今回のISMサービス業景況感を見て、今年後半には景気後退を背景に利下げサイクルに入っていくと予想しているようだ。たった今10年債利回りは3.56%。FFレートが来年2月に5%(上限)に引き上げられたら、1.3%程度の逆イールドになる。

今日のデータを受けて、金利は低下(2年債でさえ4.25%に低下。今年後半からの利下げがいかに大きくなるかと、市場が見ていることを示している)、金利が低下するのでPERが押し上げられて(PERは金利と反比例する)株価は上昇、ドルは下落。

ここから先は難しい。短期金利はまだ上昇が続く。長期金利のさらなる低下は難しいかもしれない。景気の悪化が続く。企業業績が悪化していく。今年後半からの利下げ期待が、将来の景気回復を期待させる。市場はそんな先まで織り込みに行くのか? 波乱がないわけはない。今日株価は上昇したが、株価については、景気後退から今年前半は下落するも、その後、上昇に転ずるという見方が主流のようである。

時給の伸びは減速

時給の伸び率は低下してきている。

時給の伸びは減速しているが、3か月前比で見ると、まだ高い。このまま低下していくかどうかは予断を許さない。

米ISMサービス業景況感は大きく低下
一時的なリバウンドはあっても、今までの利上げ効果から下落トレンドは変わらないだろう。2000年代初めのITバブル崩壊時、08年のリーマンショック時並みに低下する可能性もある。

気になるのは、ISMサービス業(非製造業)景況感指数がここまで落ち込んだのに、価格指数はまだ高いこと。来週発表のCPIでは、前回FOMC後の記者会見でバーナンキ議長が注目していると述べたコアサービス価格(エネルギーサービスを除く)が注目される。


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