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修了生サポートをちょっと改造しました

Kamiya English Coaching (KEC) のプログラムを受講し、すべての課題を終えた修了生には「修了生サポート」という特典が与えられます。今回、その内容を少しだけ変更しました。


修了生サポートとは

KEC のプログラムには修了/卒業があります。受講生が自立し巣立っていく大切な節目です。

しかし、修了後しばらく経って、仕事や居住地、家族や親戚との関係などさまざまな変化により、それまでとは違う英語や学び方が必要になってくることがあります。また、英語がさらに上達することで、新たな疑問や「今の自分の英語をコーチに見てもらいたい」という欲求がわいてくる場合もあります。

そういう修了生のために用意しているのが「修了生サポート」です。

そもそも、なぜ”卒業”なのか

卒業、つまり申込みの時点で「終わり」を決める仕組みは2010年の開業時からある KEC の特徴です。当時の私はアメリカで英語教育の研究をしており、学習者一人ひとりへ関心が移りつつあるものの、まだ興味の中心は教育システムにありました。大きく言えば「日本の英語教育を変えたい」と思っていた頃です。

そんな私が「変えたい」と思っていたことの1つが、「英語教室をやめたいのにやめられない」という、日本の学習者に見られる不思議なジレンマでした。特に大人が英語を学ぶ場合、多くは営利目的で開いている教室に通うわけで、それがほぼ無期限になんとなく続くというのは教育システムとしておかしいと思っていました。「効果はないけど続けている」「やめちゃうのは不安」と言って時間とお金をつぎこんでいる学習者をなんとかしたい。そこでまず自ら「終わりがあるシステム」を提示してみることにしたのです。

今でこそ、数カ月から半年で完結するプログラムは珍しくありませんが、英語とコーチングの組み合わせですら「何ですか、それ?」だった当時は「え、卒業なんて設けたら客が減っちゃうんじゃないですか?」とよく言われたものです。懐かしい。

卒業の設定にともない、修了生サポートが生まれました。サポートの開始は「プログラム修了後1年経過した日」と定めました。

1年経過しないとはじまらない理由は、しばらくは自分の力でがんばってほしいから。「自立した学習者として巣立った以上、すぐ戻ってきちゃダメだよ」というメッセージです。

『他との違いを考える 6."卒業"後もサポート』(2019)

「終わりがある」を提示する試みは、ありがたいことにご好評をいただき、特に受講生にとっては英語コーチングという未知の世界に足を踏み入れるときのハードルを下げる効果があることがわかりました。体験セッションで「このくらいの期間で終わりたい」と意志を示す学習者や、終わりがあるからこそ意欲的に学び、受講をより楽しもうとする学習者と出会うこともできました。

ところが一部の学習者には、終わりがあることがマイナスに作用していました。

”卒業”によって生まれた問題

「要するに、卒業したら1年間は出禁ってことですよね?」。ある日、修了の近づいた受講生が悲しい顔で言いました。私はショックを受けました。

出禁。

無駄遣いを防ぎ自立を促すためと思ってしていたことを、受講生は出禁ととらえていた。でも、言われてみれば確かにそう見えても仕方がない気もします。受講生の中には、せっかくここまで一緒に来たのに、修了と同時に二人三脚の紐をブチッと切られ、ガシャンと扉が閉じ、締め出されるように感じる人もいるのかもしれません。いくら「1年経ったらまたおいで」と言っても、彼らの耳には「出禁」の宣告に聞こえていたのです。

ショックでしたが、実は私には思い当たる節がありました。「セッションがなくなると思うと寂しい」「このまま何年か続けたい」と訴える受講生たちに対して、どうケアしたらよいか結論が出ていなかったからです。あるいは、プログラムがはじまって最初の1~2カ月は好調でぐんぐん伸びていくのに、後半に差しかかると勢いを失う受講生が気になっていたからです。ゴールの再確認とあわせて卒業の意義や自立の利点を思い出してもらっても効果は薄く、中には受講期間を引き延ばせるだけ引き延ばし、結局フェードアウトしてしまう事例もありました。

私の博士論文のテーマは「日本人英語学習者と甘え」。甘えについてはさんざん読んで学んだはずですが、やはりまだ理解が浅かったのでしょう。私は受講生の甘えに対して冷たく突き放していました。それでは自立が遠くなるのに。もう一度、原点に帰ってこの本を読み直し、考えを改めました。

そして、改造

新しくなった「修了生サポート」はこんな感じです。

プログラムを修了し、1年間の独学*期間を経験した方を対象に、コーチング・セッションが無料で受けられる特典を付与いたします。

*独学とは、KEC Liteを含むプログラムや相談セッション、Touch Baseなどコーチと対話する機会を利用しないで学習を続けることを指します。

修了生サポート

もしコーチのもとを離れて一人で1年間学習を続けることができたら、やっぱりそれは立派なことだと思うので特典は残しました。ただ、「そんな特典より、またすぐ戻ってきたい」「早く Lite を受けたい」と思ってくださる方にはそれも選べるようにしました。突き放しも出禁もナシです。これによってより安心してそれぞれの目標に向かって学習を進めてもらえるのなら何よりです。


Photo by Mikhail Vasilyev on Unsplash

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