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あえて無名のKECを選んで来てくれる人たち

「どんな人がKECを受講するんですか?」と尋ねられたとき、私はこれまで返事に困って「…さまざまです」というような答え方をしていました。別にごまかしているわけではなく、実際に「さまざま」だからです。

共通しているのは、母語が日本語で、英語を学んでいるということ。あと、たぶん年齢的にざっくり20歳前後から60代ぐらいまで。でも、調べたわけじゃないので正確なことはわかりません。受講生に対してマーケティングを仕掛けたり統計をとったりする気がないので、そのへんのことは知らないのです。

たとえば職業なら、学生、主婦、会社員、専門職、経営者など。お住まいは日本が多いけれど外国の場合もあるし、外国帰りもいるし、受講中に国をまたぐ引っ越しが発生する場合もあります。英語についても、日常的に使っている人、使う頻度が減った人、使いたいけど使う機会がない人、ずっと使っていなかったのに急に英語漬けにさせられてしまった人など。英語が好きで学びたくてしょうがない人も、嫌いだけどしょうがないから学ぶという人もいます。まさに “No two learners are the same”(2人と同じ学習者は存在しない)。それぞれに違う一人ひとりと向きあう私には、受講生をひとくくりにする習慣がありません。「さまざま」としか言いようがないのはそのためです。

でも、「どんな人が受講するんですか?」と尋ねたくなる気持ちも、「さまざま」なんて答えじゃ納得できないのもわかります。星の数ほどある英語系サービスの中で、あえて無名で広告も出していないKECを選ぶのはどんな人たちなんでしょう。

で、考えてみました。KECの受講生に共通する特徴は何か。

最初に思いついたのは「勇気がある」でした。サイトを読んでもよくわからないプログラムに挑戦するなんて、勇気がなければできないでしょう。でもすぐにこれは違うなと思いました。KECに限らず、なんでも新しいことをはじめるときは少なからず勇気が要るものだからです。また、法人契約で秘書や研修担当者が選んだ、知り合いに紹介されたなど、勇気もなにも、なんとなくの成り行きでスタートする場合もあります。

うーむ…。

いろいろ考えて、これかなと思う共通点にたどりつきました。それは、「聞いてほしいことがある」。KECのプログラムを受講する人たちには、英語を使ってやりたいこと、叶えたい夢があります。また、思うように英語が使えなくてもどかしいことや、心の中で渦巻いているモヤモヤ、苦い思い出もあります。うれしかったこと、わくわくすること、悔しかったこと、納得いかないこと。セッションでの対話を通じて、彼らは「聞いてほしいこと」を聞かせてくれます。受講生が「聞いてほしいこと」をシェアしてくれるから、私は情報をアップデートし、彼らと二人三脚の学びをつくっていくことができるのです。

もしかすると、そうやって伝えたいことを伝える経験自体が、言語コミュニケーションに対する興味や、よりよく伝えたいという意欲につながっているのかもしれません。調べたわけじゃないのでわかりませんが。笑

そして私は、受講生の「聞いてほしいこと」を聞くのが本当に好きなんだなぁと気づきました。受講生たちが、それぞれに異なる経験をして、それぞれに異なる感情、意見、考えをもつ。それらが一人ひとりの中で育っていくのを感じながら、そのことを、たとえば英語という言語を使って他の人にも通じるようにするにはどうしたらいいか一緒に考える。いやぁ、なんて幸せな仕事でしょう。ありがたいことです。



Photo by William Iven on Unsplash

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